49 / 92
49
しおりを挟む
アパートの階段を上がり3階に辿り着くとニャン助が猛スピードで俺のもとへ駆け寄ってきた。
一瞬、トオル達がやってきたかと不安になったが目の前にいたのは見知らぬハゲて太った中年の男がメデューサが住む玄関に立っている。
「ニャン助!どうしたの?」
翔馬の声で中年の男はこちらに気づいた。
ニャン助はそのまま階段を降りて行ってしまった。
「キミは翔馬?翔馬君かい?」
中年の男は翔馬に強い口調で語りかける。
「う、うん。」
翔馬は動揺して俺の顔を見た。
「翔馬君!キミのママはどこへ行ったんだい?それとも部屋にいるのかい?」
早口で捲し立てる。
「ボ、ボクわからない…。」
「わからないって事があるか!」
中年の男は怒鳴り始めた。
「うぁぁぁん。」
その怒号で幼い翔馬は泣き始めてしまった。
「あのどちらさんですか?突然やってきて小さな子供を怒鳴るなんてやめてください!」
俺も大きな声で怒鳴り返した。
「なんだ!お前は…!?あぁ、わかったぞ!お前もあの女、この子の母親のセフレだな!
言っておくがなぁ、恵子は私の女だぞ!私はお前を認めんぞ!」
中年の男は飛沫を飛ばしながら俺の両肩を掴み突っかかってきた!
「セフレだと?ふざけた事をぬかすな!離せ!」
俺も激しく抵抗した。
「じゃあお前はなんだと言うんだ?まさか恵子の旦那だと言うのか?アイツはシンママで再婚はしていないはずだぞ!」
「俺をお前なんかと一緒にするな!無関係だぞ!早くその手を離せ!」
呼吸の荒い中年の男は、ようやく俺から手を離してジャケットの胸ポケットからハンカチを取り出し興奮して汗だくになった額と禿げ上がった頭皮を拭き始めた。
翔馬はこの光景を見て号泣している。
俺がこの禿げ上がった中年の男に怒鳴られ、肩を強く掴まれた事が相当なショックだったのだろう…。
「じゃ、じゃあアンタは一体ぜんたいなんでここにいるんだ?それも、恵子の息子を連れて?」
「俺は隣りの301に住む住人だ。この子は訳あって俺が預かっている。」
中年の男の頭頂部にあるわずかな髪がペッタリ張り付ついてバーコードのようだ。
「何かしらの関係がなければ息子を預けたりしないだろうが!息子を預かる代わりに、恵子とセックスしたんだろう?ははは!そ、そうに違いない!それはそれは見事なパイズリだったろうな!ちくしょー!」
中年の男は自分自身で吐いた言葉で煽られて勝手にヒートアップしている。
そして、俺に再び掴み掛かろうとしてきた。
「いい加減にしろよ!このクソハゲ!お前なんぞと一緒にするな!この子を預かっているのは間違いないが、それと交換に何かをしたとかあるわけないんだよ!そもそも挨拶さえ交わす事もない関係で、ただの隣人なだけだ!」
俺は翔馬を見た。
両手を目元に当てがい、声を出して泣いている。
辺りを見渡すと、このボロアパートの隣りに存在するモダンなマンションに住むおばさん達が歩道から俺達を見上げて、何やらヒソヒソと話込んでいる。
このままここでバーコードハゲと立ち話をするのはまずい。
日曜、昼下がりの暇なおばさん達の恰好の餌食になってしまう。
バーコードハゲにしてもこのまま納得して帰ってくれないだろう。
俺自身もアホなバーコードハゲを謝らせないと気が済まない。
なにより幼い翔馬をここまで傷つけたのだから絶対に許すわけにはいかないだろう。
俺はバーコードハゲに部屋へ上がるように言った。
もちろん俺の住む301ではなくメデューサが居た302だ。
一瞬、トオル達がやってきたかと不安になったが目の前にいたのは見知らぬハゲて太った中年の男がメデューサが住む玄関に立っている。
「ニャン助!どうしたの?」
翔馬の声で中年の男はこちらに気づいた。
ニャン助はそのまま階段を降りて行ってしまった。
「キミは翔馬?翔馬君かい?」
中年の男は翔馬に強い口調で語りかける。
「う、うん。」
翔馬は動揺して俺の顔を見た。
「翔馬君!キミのママはどこへ行ったんだい?それとも部屋にいるのかい?」
早口で捲し立てる。
「ボ、ボクわからない…。」
「わからないって事があるか!」
中年の男は怒鳴り始めた。
「うぁぁぁん。」
その怒号で幼い翔馬は泣き始めてしまった。
「あのどちらさんですか?突然やってきて小さな子供を怒鳴るなんてやめてください!」
俺も大きな声で怒鳴り返した。
「なんだ!お前は…!?あぁ、わかったぞ!お前もあの女、この子の母親のセフレだな!
言っておくがなぁ、恵子は私の女だぞ!私はお前を認めんぞ!」
中年の男は飛沫を飛ばしながら俺の両肩を掴み突っかかってきた!
「セフレだと?ふざけた事をぬかすな!離せ!」
俺も激しく抵抗した。
「じゃあお前はなんだと言うんだ?まさか恵子の旦那だと言うのか?アイツはシンママで再婚はしていないはずだぞ!」
「俺をお前なんかと一緒にするな!無関係だぞ!早くその手を離せ!」
呼吸の荒い中年の男は、ようやく俺から手を離してジャケットの胸ポケットからハンカチを取り出し興奮して汗だくになった額と禿げ上がった頭皮を拭き始めた。
翔馬はこの光景を見て号泣している。
俺がこの禿げ上がった中年の男に怒鳴られ、肩を強く掴まれた事が相当なショックだったのだろう…。
「じゃ、じゃあアンタは一体ぜんたいなんでここにいるんだ?それも、恵子の息子を連れて?」
「俺は隣りの301に住む住人だ。この子は訳あって俺が預かっている。」
中年の男の頭頂部にあるわずかな髪がペッタリ張り付ついてバーコードのようだ。
「何かしらの関係がなければ息子を預けたりしないだろうが!息子を預かる代わりに、恵子とセックスしたんだろう?ははは!そ、そうに違いない!それはそれは見事なパイズリだったろうな!ちくしょー!」
中年の男は自分自身で吐いた言葉で煽られて勝手にヒートアップしている。
そして、俺に再び掴み掛かろうとしてきた。
「いい加減にしろよ!このクソハゲ!お前なんぞと一緒にするな!この子を預かっているのは間違いないが、それと交換に何かをしたとかあるわけないんだよ!そもそも挨拶さえ交わす事もない関係で、ただの隣人なだけだ!」
俺は翔馬を見た。
両手を目元に当てがい、声を出して泣いている。
辺りを見渡すと、このボロアパートの隣りに存在するモダンなマンションに住むおばさん達が歩道から俺達を見上げて、何やらヒソヒソと話込んでいる。
このままここでバーコードハゲと立ち話をするのはまずい。
日曜、昼下がりの暇なおばさん達の恰好の餌食になってしまう。
バーコードハゲにしてもこのまま納得して帰ってくれないだろう。
俺自身もアホなバーコードハゲを謝らせないと気が済まない。
なにより幼い翔馬をここまで傷つけたのだから絶対に許すわけにはいかないだろう。
俺はバーコードハゲに部屋へ上がるように言った。
もちろん俺の住む301ではなくメデューサが居た302だ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】愛犬との散歩は、恋の予感
Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
青春
愛犬を通じて好きな人と交流をしていくお話です。
中学三年生の大事な受験の時期に初恋を知って、お互いに勉強を励まし合いながら、恋をしていくお話です。
胸きゅんする……かな?
中高生向けの為、難しいお話ではなく、初々しい感じを目指してみました♪
_________________
「私、親が二人とも身長高いんだよね。だから、もしかしたら・・・身長超しちゃうかも」
「はっ、俺だって成長期だっての。自分だけ伸びると思ってんじゃねーよ」
_________________
一章 初恋
二章 嫉妬
三章 逢瀬
四章 結実
_________________
ファンタジーしか書いて来なかったので、このジャンルは中々書くのが難しかったですが、少女漫画をイメージしてみました♪
楽しんでいただけると嬉しいです♪
※完結まで執筆済み(予約投稿)
※10万文字以上を長編と思っているので、この作品は短編扱いにしています。
※長くなりそうだったので、ちょいちょいエピソードを割愛しています。
使用人の少女が全てをくれた
taro
大衆娯楽
戦争孤児を引き取った男は、不穏な国際情勢の中、男手一つで少女を育てる。 十年後聡明で美しく成長した少女は男を慕い『お父さん』と呼ぶが、男は決して認めない。
娘と認めず"使用人"と呼ぶ少女を最後まで愛し抜く。
全五話で、二万字ほどです。書き終わってます。
100%泣けるのでぜひ読んでみて下さい。舞台はドイツっぽい国です。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
想い出と君の狭間で
九条蓮@㊗再重版㊗書籍発売中
青春
約一年前、当時付き合っていた恋人・久瀬玲華から唐突に別れを告げられた相沢翔。玲華から逃げるように東京から引っ越した彼は、田舎町で怠惰な高校生活を送っていた。
夏のある朝、失踪中の有名モデル・雨宮凛(RIN)と偶然出会った事で、彼の日常は一変する。
凛と仲良くなるにつれて蘇ってくる玲華との想い出、彼女の口から度々出てくる『レイカ』という名前、そして唐突にメディアに現れた芸能人REIKA──捨てたはずの想い出が今と交錯し始めて、再び過去と対峙する。
凛と玲華の狭間で揺れ動く翔の想いは⋯⋯?
高校2年の夏休みの最後、白いワンピースを着た天使と出会ってから「俺」の過去と今が動きだす⋯⋯。元カノと今カノの狭間で苦しむ切な系ラブコメディ。
竜のおどろきしほど、この天下は滅ぶ なれば竜に与する者とななりそ
神永 遙麦
ファンタジー
――竜の目覚めた時、この天下は滅ぶ。だから竜に与する者となってはならない――。
その教えは代々伝え継げられていた。
両親を喪った少年は先祖代々の教えを破り、竜の封印を解いた。
その心底には両親をみすみすと死なせた神への強い憤りがあった。
Tell me eMotion
黒蝶
キャラ文芸
突きつけられるのは、究極の選択。
「生き返るか、僕と一緒にくるか...」
全てに絶望した少女・雪芽は、ある存在と出会う。
そしてその存在は告げる。
「僕には感情がないんだ」
これは、そんな彼と過ごしていくうちにお互いの心を彩づけていく選択の物語。
※内容が内容なので、念のためレーティングをかけてあります。
親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない
かがみもち
青春
同じ学年。
同じ年齢。
なのに、俺と親友で、なんでこんなによって来る人が違うんだ?!
俺、高橋敦志(たかはしあつし)は、高校で出会った親友・山内裕太(やまうちゆうた)と学校でもプライベートでも一緒に過ごしている。
のに、彼は、モテまくりで、机に集まるのは、成績優秀の美男美女。
対して、俺は、バカのフツメンかブサメンしか男女共に集まってこない!
そして、友情を更に作る可愛い系男子・三石遼太郎(みいしりょうたろう)と、3人で共に、友情とは、青春とは、何なのかを時にぶつかりながら探す、時にほっこり、時に熱い友情青春物語。
※※※
驟雨(@Rainshower0705)さんが、表紙、挿絵を描いてくれました。
「ソウルエクスキューター」という漫画をアルファポリスで描いてらっしゃるので是非一度ご覧ください!
※※※
ノベルアップ+様でも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる