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"スイーツニャンコ"がみんなに会いにやってきた"
デパートの催事場で大々的に行われており親子連れでごった返している。
俺と翔馬は開店と同時に入店したのだが、人の多さに少しびっくりした。
入り口付近にいるスイーツニャンコのトレーナーを着たお姉さんや年配の警備員がこちらでお並びくださいと誘導している。
俺は決してスイーツニャンコのファンではないが自分のテンションが上がってきたのがわかる。
そういや子どもの頃、特撮系ヒーローショーにドキドキ胸を高鳴らせていたのを思い出した。
この雰囲気、嫌いじゃないな。寧ろ好きだ。
「後楽園ゆうえんちで僕と握手!」この感動が蘇ってきて嬉しい。
俺の右隣にいて視界にさえ入らない幼児体型の翔馬を見下ろす。
表情がわからなくても頭頂部だけで翔馬の興奮が伝わってくる。
特設会場の舞台周辺にはロープが張り巡らされている。
俺達は幸運な事に1番前だ。
2階から見ているファンも大勢いてショーが始まるのを今か今かとみんなが待っている。
もちろん翔馬も例外ではない。
「ニャン助たちはいつくるの?」
翔馬が下から俺を見上げて言った。
俺はポケットに入れているスマホを取り出して時刻を確認した。
ショーが始まる1分前だった。
「もうすぐ始まるよ!」
周囲にいた子連れのパパやママが俺を見る。
声が大きかった事に自分でも気づいていた。
やはりテンションが上がっているようだ。
他人の視線がちょっと恥ずかしかった。
突如、アニメ「スイーツニャンコ」のオープニング曲である「タイヘン!応答せよ!スイーツニャンコ」が流れてきた瞬間、場内はカリスマロックバンドやオタクに支持されているアイドル歌手にも負けないくらいの熱狂ぶりで迎えられた。
翔馬も他の子達と同様にオープニング曲を大熱唱している。
曲の途中で進行役のお姉さんとスイーツニャンコのキャラクター達、そして声を担当している豪華な声優が登場。
「ニャン助だ!ニャン助がいるよ!」
翔馬にとって特に好きなキャラであるニャン助を間近で見ることができて大はしゃぎだ!
俺達はスイーツニャンコのショーを見た後、同じデパートの最上階にあるレストランで昼食を食べた。
翔馬は期間限定の"スイーツニャンコのお子様ランチ"を食べている。
旗は国旗ではなくニャン助のイラストが描いてある旗だ。
「おいしいー!」
ひと口食べた後、翔馬は餅のように膨れたほっぺたに手を当てて食べている。
「良かった!ショーも楽しかったね。」
俺は昨日、近所のファミレスで初めて翔馬と食事をした時とは違って自然と笑みが溢れた。
あの時の強張っていた表情はない。
「ねぇ!これみて!ジャーン!」
ショーが終わった後、物販で翔馬に買ってあげた物はニャン助がプリントされた可愛いデザインのリュックサックとスイーツニャンコのシール、それから今回のデパートで行われたイベント限定品であるスイーツニャンコのスマホの玩具だ。
買ってあげた物の中でも、特にお気に入りの物はスイーツニャンコのスマホだろう。
このスマホは玩具とはいえ本格的で写真も撮れるし通話もできるなかなかの優れもの。
「お兄ちゃんのもみせてよ!」
実は翔馬に頼まれてもう一台、同じ物を買った。
2台あれば通話が出来ると物販のお兄さんに言われて翔馬がスマホの玩具に飛びついた。
他に買った物と比べてスマホの玩具はなかなか高額だった。
おかげで俺の財布から金が飛ぶように無くなったよ。
「オッケー。」
スイーツニャンコのデザインされたビニール袋から取り出して本体を渡した。
「あはは、これもいいね~。」
俺のはイエローで主人公の小学生"遠山サイ"(ニャン助の飼い主)がデザインされた物だ。
「えっとね、これでね、おはなしがね、できるよ!」
興奮した翔馬はキッズチェアから身を乗り出した時テーブルに置いてあるコーラに小さな腕が当たりひっくり返してしまった。
「わぁ!」
コーラが辺り一面に溢れる。
グラスはテーブルから落下する事はなく割れはしなかった。
「大丈夫か?」
俺は翔馬に近づき、急いでお手拭きで拭いた。
近くにいた大学生風のウェイターがすぐにこちらへ来て後片付けをしてくれた。
翔馬は青ざめたような顔して頭を両手で庇っているような仕草をしている。
「どうしたの?大丈夫?どこか痛いのかい?」
翔馬は今にも泣き出しそうな顔でこちらを見ている。
「さっきのコーラ、殆ど飲めなかったでしょ?今、お店の人を呼んでコーラを注文してあげるよ。だから元気出して。」
翔馬はこくりと頷いた。
テーブルに備え付けられている呼び出しボタンを押すと、先ほど後片付けを手伝ってくれた大学生風のウェイターが笑顔で接客をしてくれた。
デパートの催事場で大々的に行われており親子連れでごった返している。
俺と翔馬は開店と同時に入店したのだが、人の多さに少しびっくりした。
入り口付近にいるスイーツニャンコのトレーナーを着たお姉さんや年配の警備員がこちらでお並びくださいと誘導している。
俺は決してスイーツニャンコのファンではないが自分のテンションが上がってきたのがわかる。
そういや子どもの頃、特撮系ヒーローショーにドキドキ胸を高鳴らせていたのを思い出した。
この雰囲気、嫌いじゃないな。寧ろ好きだ。
「後楽園ゆうえんちで僕と握手!」この感動が蘇ってきて嬉しい。
俺の右隣にいて視界にさえ入らない幼児体型の翔馬を見下ろす。
表情がわからなくても頭頂部だけで翔馬の興奮が伝わってくる。
特設会場の舞台周辺にはロープが張り巡らされている。
俺達は幸運な事に1番前だ。
2階から見ているファンも大勢いてショーが始まるのを今か今かとみんなが待っている。
もちろん翔馬も例外ではない。
「ニャン助たちはいつくるの?」
翔馬が下から俺を見上げて言った。
俺はポケットに入れているスマホを取り出して時刻を確認した。
ショーが始まる1分前だった。
「もうすぐ始まるよ!」
周囲にいた子連れのパパやママが俺を見る。
声が大きかった事に自分でも気づいていた。
やはりテンションが上がっているようだ。
他人の視線がちょっと恥ずかしかった。
突如、アニメ「スイーツニャンコ」のオープニング曲である「タイヘン!応答せよ!スイーツニャンコ」が流れてきた瞬間、場内はカリスマロックバンドやオタクに支持されているアイドル歌手にも負けないくらいの熱狂ぶりで迎えられた。
翔馬も他の子達と同様にオープニング曲を大熱唱している。
曲の途中で進行役のお姉さんとスイーツニャンコのキャラクター達、そして声を担当している豪華な声優が登場。
「ニャン助だ!ニャン助がいるよ!」
翔馬にとって特に好きなキャラであるニャン助を間近で見ることができて大はしゃぎだ!
俺達はスイーツニャンコのショーを見た後、同じデパートの最上階にあるレストランで昼食を食べた。
翔馬は期間限定の"スイーツニャンコのお子様ランチ"を食べている。
旗は国旗ではなくニャン助のイラストが描いてある旗だ。
「おいしいー!」
ひと口食べた後、翔馬は餅のように膨れたほっぺたに手を当てて食べている。
「良かった!ショーも楽しかったね。」
俺は昨日、近所のファミレスで初めて翔馬と食事をした時とは違って自然と笑みが溢れた。
あの時の強張っていた表情はない。
「ねぇ!これみて!ジャーン!」
ショーが終わった後、物販で翔馬に買ってあげた物はニャン助がプリントされた可愛いデザインのリュックサックとスイーツニャンコのシール、それから今回のデパートで行われたイベント限定品であるスイーツニャンコのスマホの玩具だ。
買ってあげた物の中でも、特にお気に入りの物はスイーツニャンコのスマホだろう。
このスマホは玩具とはいえ本格的で写真も撮れるし通話もできるなかなかの優れもの。
「お兄ちゃんのもみせてよ!」
実は翔馬に頼まれてもう一台、同じ物を買った。
2台あれば通話が出来ると物販のお兄さんに言われて翔馬がスマホの玩具に飛びついた。
他に買った物と比べてスマホの玩具はなかなか高額だった。
おかげで俺の財布から金が飛ぶように無くなったよ。
「オッケー。」
スイーツニャンコのデザインされたビニール袋から取り出して本体を渡した。
「あはは、これもいいね~。」
俺のはイエローで主人公の小学生"遠山サイ"(ニャン助の飼い主)がデザインされた物だ。
「えっとね、これでね、おはなしがね、できるよ!」
興奮した翔馬はキッズチェアから身を乗り出した時テーブルに置いてあるコーラに小さな腕が当たりひっくり返してしまった。
「わぁ!」
コーラが辺り一面に溢れる。
グラスはテーブルから落下する事はなく割れはしなかった。
「大丈夫か?」
俺は翔馬に近づき、急いでお手拭きで拭いた。
近くにいた大学生風のウェイターがすぐにこちらへ来て後片付けをしてくれた。
翔馬は青ざめたような顔して頭を両手で庇っているような仕草をしている。
「どうしたの?大丈夫?どこか痛いのかい?」
翔馬は今にも泣き出しそうな顔でこちらを見ている。
「さっきのコーラ、殆ど飲めなかったでしょ?今、お店の人を呼んでコーラを注文してあげるよ。だから元気出して。」
翔馬はこくりと頷いた。
テーブルに備え付けられている呼び出しボタンを押すと、先ほど後片付けを手伝ってくれた大学生風のウェイターが笑顔で接客をしてくれた。
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