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二章 長女、秋奈を守れ!
60 捜索開始
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あまりにも居心地の悪さを感じて店内から逃げ出そうか思案したが、自分は何もやましい事はしていない、娘のクラスメイトが勝手に画像を送ってきただけだ。
春彦は呪文を唱えるように何度も心で呟いた。
「もう、このような画像を送るのはよしてくれ。」
「ハルちゃん怒ってる?」
当たり前だろとメッセージを送ろうとした直後、女の子からメッセージが届いた。
「ゴメンね。悪い事しちゃったみたいだね。」
「わかってくれたのなら、もういいよ。それより聞きたい事があるんだ。
今、大丈夫かな?」
「なに?」
「ちょっと待っていてね?」
先ほどの画像をウェイトレスに見られた事で、倫理観を重んじる春彦にとって、社会から抹殺されてしまうほどの脅威を勝手に感じていた為、その影響で思考回路がショートして上手く文字が打てなかった。
「ちょっと老眼でね。清書もするから待ってください。」
「ハルちゃんウケる!」
文章に誤字脱字がないかチェックをした後送信した。
春彦は大きくため息をつき返信を待つ。
「秋奈さんの行方。
私、少しだけ知ってるかも。
ほんと少しだけ。」
背もたれにもたれていた春彦は、一気に前傾姿勢になりスマホの画面を食い入るように覗き込んだ。
「本当かい!?教えて欲しい。」
「ほんと。
私がバイト先から帰る時、お腹が痛くてしかたなく新富福町で下車したの。
そしたらね、秋奈さんがいたよ。
青っぽい髪色になってたけど、たぶん秋奈さんじゃないかな?」
青っぽい髪色で確信した。
秋奈である可能性が高い。
そして、秋奈のクラスメイトは嘘をついてはいない。
「ありがとう!他に知っている事はあるかな?
どんな些細な事でもいいよ。」
既読はすぐに付いたが、少し間があってからメッセージが返信されてきた。
「どんな、の次の漢字2文字が読めないけど。
他に知っている事はもうないよ。ごめんね。」
「漢字2文字は些細(ささい)と読みます。
謝らないでね、秋奈に関しての貴重な情報を教えてくれてありがとう。」
「よかった!ハルちゃんのお役に立てて!」
「前の大学生の彼氏なんかと違って、優しいハルちゃんが好き!
今夜、会えないかな?」
「ごめんね。これから秋奈を探さなきゃならない。」
「いつなら会えるの?」
「秋奈ちゃんはいいなぁ。
ハルちゃんに大切にしてもらえて。
まるで、娘を心配する優しいお父さんみたい。
私は母子家庭だから。」
春彦は悩んでしまった。
いとも簡単にスマホで裸体を見せつける破廉恥な少女であるから、いつもの春彦なら長々と説教をしたであろう。
しかし社会経験の乏しさと、彼女のピュアな一面を垣間見て頭ごなしに怒鳴りつけるのは逆効果となり傷つけてしまう可能性がある。
彼女の為を思うなら叱りつける事だけが、大人の対応ではない。
春彦は思った。
春彦は呪文を唱えるように何度も心で呟いた。
「もう、このような画像を送るのはよしてくれ。」
「ハルちゃん怒ってる?」
当たり前だろとメッセージを送ろうとした直後、女の子からメッセージが届いた。
「ゴメンね。悪い事しちゃったみたいだね。」
「わかってくれたのなら、もういいよ。それより聞きたい事があるんだ。
今、大丈夫かな?」
「なに?」
「ちょっと待っていてね?」
先ほどの画像をウェイトレスに見られた事で、倫理観を重んじる春彦にとって、社会から抹殺されてしまうほどの脅威を勝手に感じていた為、その影響で思考回路がショートして上手く文字が打てなかった。
「ちょっと老眼でね。清書もするから待ってください。」
「ハルちゃんウケる!」
文章に誤字脱字がないかチェックをした後送信した。
春彦は大きくため息をつき返信を待つ。
「秋奈さんの行方。
私、少しだけ知ってるかも。
ほんと少しだけ。」
背もたれにもたれていた春彦は、一気に前傾姿勢になりスマホの画面を食い入るように覗き込んだ。
「本当かい!?教えて欲しい。」
「ほんと。
私がバイト先から帰る時、お腹が痛くてしかたなく新富福町で下車したの。
そしたらね、秋奈さんがいたよ。
青っぽい髪色になってたけど、たぶん秋奈さんじゃないかな?」
青っぽい髪色で確信した。
秋奈である可能性が高い。
そして、秋奈のクラスメイトは嘘をついてはいない。
「ありがとう!他に知っている事はあるかな?
どんな些細な事でもいいよ。」
既読はすぐに付いたが、少し間があってからメッセージが返信されてきた。
「どんな、の次の漢字2文字が読めないけど。
他に知っている事はもうないよ。ごめんね。」
「漢字2文字は些細(ささい)と読みます。
謝らないでね、秋奈に関しての貴重な情報を教えてくれてありがとう。」
「よかった!ハルちゃんのお役に立てて!」
「前の大学生の彼氏なんかと違って、優しいハルちゃんが好き!
今夜、会えないかな?」
「ごめんね。これから秋奈を探さなきゃならない。」
「いつなら会えるの?」
「秋奈ちゃんはいいなぁ。
ハルちゃんに大切にしてもらえて。
まるで、娘を心配する優しいお父さんみたい。
私は母子家庭だから。」
春彦は悩んでしまった。
いとも簡単にスマホで裸体を見せつける破廉恥な少女であるから、いつもの春彦なら長々と説教をしたであろう。
しかし社会経験の乏しさと、彼女のピュアな一面を垣間見て頭ごなしに怒鳴りつけるのは逆効果となり傷つけてしまう可能性がある。
彼女の為を思うなら叱りつける事だけが、大人の対応ではない。
春彦は思った。
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