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二章 長女、秋奈を守れ!

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団子屋での仕事が終わり自宅に到着した春彦は、鍵を開けて玄関ドアの把手とってを引っ張ろうとした時だ。

「秋ちゃん、どこへ行くの!?」

「どこだっていいでしょ。放っておいて。」

乱暴な手つきで秋奈は玄関ドアを開ける。

突然開いたドアに顔をぶつけそうになったものの、身のこなしがいい春彦はひらりとけた。

「秋奈?」

一瞬、驚いた表情をした後、秋奈は春彦をキッと睨みつけた。

「どけ邪魔だよ!子ども顔オヤジ!」

「お、おい?」

飛び出して行った秋奈に春彦は呆気にとられてしまった。

「秋ちゃん!
春くん帰ってたの?
お願いよ、秋ちゃんを追いかけて!」

「追いかけるって、秋奈をか?」

「そうよ!ほかに誰がいるの!?」

実家の団子屋で勤務している春彦は、リストラされた事を隠している為、カムフラージュで着ているコートとスーツ姿のまま後を追ったが、姿は見当たらなかった。

「もうどこにもいない。」

「ああ、思い詰めて家出をしたのかもしれない。
心配だわ、警察に連絡をした方がいいのかしら。」

夏子は酷く取り乱している。

「いったい何事だ?何があったか説明してほしい。」

「ずっと恋愛で悩んでいたじゃない。
それが原因よ、きっと。
とにかく家の中に入ってよ。」

玄関に入るとバダバタ足音が聞こえてくる。
秋奈の事で心配をした冬児が話しかけてきた。

「ねえ、お姉ちゃんはなんで暴れているの?」

夏子は冬児に大丈夫、大丈夫と呪文を唱えるように言っているが説得力がない。
表情は硬く青ざめているからだ。

リビングのソファに座り2人は向き合って話す。

「恋愛で悩んでいるのは知っている。
でも、家を飛び出す引き金はなんだい?」

「…あの子、日中にお出かけしたの。
買い物に行くって言ってね。
私としては秋ちゃんは家で篭ってばかりだったから、外出をすれば気分転換になっていいかなと思っていたのよ。」

「ああ。」

「私がお夕飯の準備をしていたら、部屋から秋ちゃんがやってきて髪の色が青々としていてね、両耳にピアスを開けた事を私に話してくれたの。」

春彦は相槌をうつ。

「きっと私がいけないの。
ピアスはしてもいい。反対はしないわ。
髪だって茶色にするくらいならいいけれど青はカラフル過ぎるから元に戻すように伝えたら、秋ちゃんはみるみる顔つきが険しくなって、"お母さんが私を否定するなんて思わなかった。"
"これじゃ春彦アイツと変わらないじゃん"と、声を荒げたのよ。」

「そうか。
では計画的に家を飛び出したわけではなそうだな。
衝動的に家を出た可能性がある。」

「衝動的?衝動的に家出をしたのなら尚更心配だわ。
何をしでかすかわからないじゃない…まさか自殺とか!
早く探しに行かないと!!」

取り乱した夏子は声を張り上げた。

「今から探しに行くよ。
でも無闇に探したって見つかりっこないさ。」



























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