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二章 長女、秋奈を守れ!
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「なにをする!?破廉恥なマネはよせ!」
翔子は一呼吸置いてゲラゲラ笑い転げている。
「そんなにおかしいか?
突然くちづけをする行為を、君のご両親が見たら嘆き悲しむぞ。」
唇を袖で拭いながら春彦は言った。
「おかしいよ、おかしいって。
可愛いなぁと思ったから、ちょっとキスしようとしただけでキレちゃうんだもん。」
翔子の行動を見ていた2人の勝ち気な女子はマイクを持ったまま、翔子に詰め寄った。
「今の見てたぞ!ハルちゃんになにしてんのー!?」
「アンタ達もなんでキレてんの?もうわけわからない。
てか、うるさいからマイク握ったまま叫ばないでよ!」
「あたし達の目を盗んでハルちゃんとベタベタしてたからだよ!」
「それなら、アンタ達もすればいいだけじゃん。」
春彦は事態が思わぬ方向に進み、嫌な予感がした。
「ハルちゃんにとってハーレムだよ。
この通り誰か1人を選ぶのは無理だから、4人まとめて相手してね。」
赤い髪の女子・翔子と、翔子に食ってかかっていった女子は丸みのある胸元のボタンを外そうとしている。
「胸をはだけてどうするつもりだ!バカなマネはよせ!」
「だってハルちゃんは秋奈ちゃんを出汁に使っただけで、実際はナンパが目的だったんでしょ?
私はそれにのってみただけ。
まぁ、別の意味で後でハルちゃんに乗ってもらうんだけどね。」
「違う!秋奈が目的だ!
確かに秋奈が学校を休んだ事は知ってはいるが、それを本人に聞き出したところで、本心を私には言わんだろう?
それくらい容易に想像がつく。
だから君らが知っている情報を聞き出したかったんだ。」
「本心を言わない?
そりゃ信頼できない人には言わないよ。」
「あたしなら、うちのオヤジには相談できない。」
「ウチもパパは無理かも。」
「私も無理!」
ほら見ろ!おまえらだって血の繋がった一家の大黒柱である父親を毛嫌いしているじゃないか。
春彦は虚しさに支配されて気が滅入ってしまった。
「でも、幼馴染でしょ?
普通に悩みがあるか聞けば早くね?」
髪を赤く染めた翔子は春彦の太ももに手を置いて、ズボンのファスナーを下げようと少しずつ股に手を伸ばしている。
「私は秋奈の父親…ではないが教えてはもらえんよ。」
春彦は翔子の手を振り払った。
「もらえんよってオヤジみたいな言い方。」
「改めて聞こう。
君らが知っている秋奈の情報を教えてくれないか?」
4人の女子高生は真面目な表情で見つめ合ったあと、一斉に春彦を見た。
それぞれ知っている情報はもうなにもないと春彦に言う。
「そうか。それなら仕方がない。
今日は私の都合に付き合わせてしまい申し訳なかった。
ここの支払いは私がだすつもりだ。
君らはあと何時間歌うんだい?」
シリアスな表情をしていた4人は一転して踊り出すほど喜び始めた。
翔子は春彦の膝に座り、わざとらしくアンアン言いながら腰を動かしている。
「だからそのような破廉恥な行為はやめたまえ!」
*****
すっかり陽が沈み、小学生くらいの子ども達は17時のチャイムに合わせて帰宅をしている。
春彦はコートの襟にやや頬を隠す。
冷たい北風から肌の露出を極力減らして身を守った。
「はぁ…。疲れた。」
カラオケ屋を出た後、押しの強い4人の女子高生から電話番号をしつこく聞かれてしまい、さすがの春彦も根負けして教えてしまっていたのだ。
まるで警察の拷問も辞さない厳しい取り調べのように、4人は春彦をなかなか解放しなかった。
「ただいま。」
けして広くはない部屋の中で小柄な冬児がドタバタ走って出迎えた。
「お父さんお帰りなさい!
夕飯はね、お姉ちゃんが好きなサイコロステーキだよ!」
テンションの高い冬児に腕を掴まれながら春彦はリビングへときた。
「あら、お帰り。」
夏子は換気扇を止めて春彦に微笑みかけた。
「秋奈の調子はどう?」
夏子が答えようとすると、冬児が口を挟む。
「お姉ちゃん、全然元気なくて寝てばかりだよ。」
「本当かい?」
「うん。」
夏子は寂しげに答えた。
翔子は一呼吸置いてゲラゲラ笑い転げている。
「そんなにおかしいか?
突然くちづけをする行為を、君のご両親が見たら嘆き悲しむぞ。」
唇を袖で拭いながら春彦は言った。
「おかしいよ、おかしいって。
可愛いなぁと思ったから、ちょっとキスしようとしただけでキレちゃうんだもん。」
翔子の行動を見ていた2人の勝ち気な女子はマイクを持ったまま、翔子に詰め寄った。
「今の見てたぞ!ハルちゃんになにしてんのー!?」
「アンタ達もなんでキレてんの?もうわけわからない。
てか、うるさいからマイク握ったまま叫ばないでよ!」
「あたし達の目を盗んでハルちゃんとベタベタしてたからだよ!」
「それなら、アンタ達もすればいいだけじゃん。」
春彦は事態が思わぬ方向に進み、嫌な予感がした。
「ハルちゃんにとってハーレムだよ。
この通り誰か1人を選ぶのは無理だから、4人まとめて相手してね。」
赤い髪の女子・翔子と、翔子に食ってかかっていった女子は丸みのある胸元のボタンを外そうとしている。
「胸をはだけてどうするつもりだ!バカなマネはよせ!」
「だってハルちゃんは秋奈ちゃんを出汁に使っただけで、実際はナンパが目的だったんでしょ?
私はそれにのってみただけ。
まぁ、別の意味で後でハルちゃんに乗ってもらうんだけどね。」
「違う!秋奈が目的だ!
確かに秋奈が学校を休んだ事は知ってはいるが、それを本人に聞き出したところで、本心を私には言わんだろう?
それくらい容易に想像がつく。
だから君らが知っている情報を聞き出したかったんだ。」
「本心を言わない?
そりゃ信頼できない人には言わないよ。」
「あたしなら、うちのオヤジには相談できない。」
「ウチもパパは無理かも。」
「私も無理!」
ほら見ろ!おまえらだって血の繋がった一家の大黒柱である父親を毛嫌いしているじゃないか。
春彦は虚しさに支配されて気が滅入ってしまった。
「でも、幼馴染でしょ?
普通に悩みがあるか聞けば早くね?」
髪を赤く染めた翔子は春彦の太ももに手を置いて、ズボンのファスナーを下げようと少しずつ股に手を伸ばしている。
「私は秋奈の父親…ではないが教えてはもらえんよ。」
春彦は翔子の手を振り払った。
「もらえんよってオヤジみたいな言い方。」
「改めて聞こう。
君らが知っている秋奈の情報を教えてくれないか?」
4人の女子高生は真面目な表情で見つめ合ったあと、一斉に春彦を見た。
それぞれ知っている情報はもうなにもないと春彦に言う。
「そうか。それなら仕方がない。
今日は私の都合に付き合わせてしまい申し訳なかった。
ここの支払いは私がだすつもりだ。
君らはあと何時間歌うんだい?」
シリアスな表情をしていた4人は一転して踊り出すほど喜び始めた。
翔子は春彦の膝に座り、わざとらしくアンアン言いながら腰を動かしている。
「だからそのような破廉恥な行為はやめたまえ!」
*****
すっかり陽が沈み、小学生くらいの子ども達は17時のチャイムに合わせて帰宅をしている。
春彦はコートの襟にやや頬を隠す。
冷たい北風から肌の露出を極力減らして身を守った。
「はぁ…。疲れた。」
カラオケ屋を出た後、押しの強い4人の女子高生から電話番号をしつこく聞かれてしまい、さすがの春彦も根負けして教えてしまっていたのだ。
まるで警察の拷問も辞さない厳しい取り調べのように、4人は春彦をなかなか解放しなかった。
「ただいま。」
けして広くはない部屋の中で小柄な冬児がドタバタ走って出迎えた。
「お父さんお帰りなさい!
夕飯はね、お姉ちゃんが好きなサイコロステーキだよ!」
テンションの高い冬児に腕を掴まれながら春彦はリビングへときた。
「あら、お帰り。」
夏子は換気扇を止めて春彦に微笑みかけた。
「秋奈の調子はどう?」
夏子が答えようとすると、冬児が口を挟む。
「お姉ちゃん、全然元気なくて寝てばかりだよ。」
「本当かい?」
「うん。」
夏子は寂しげに答えた。
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