53 / 88
二章 長女、秋奈を守れ!
52
しおりを挟む
「ハルちゃんはなんで秋奈ちゃんの情報が欲しいわけ?」
赤い髪の女子高校生、翔子が質問する。
「それは…実を言うと季節原秋奈とは幼馴染なんだ。
だから、カフェで秋奈の話を耳にして気になってしまってね。」
覚悟を決めた春彦は嘘を吐く事が板についてきた。
そんな自分に嫌悪感を抱きながらもそのまま話を続けた。
正直に秋奈の父親だと話したところで見た目が幼過ぎて信じてはもらえないし、話がややこしくなる事を避けたかった。
目の前では2人の女子高校生がマイクを握って、アイドルのヒット曲を熱唱している。
「ふーん。そういう関係なんだ。幼馴染ねぇ。」
「カフェで耳にした内容だと秋奈は悩んでいてーーーー」
「あぁ、彼氏との野外セックスの事かな?」
春彦は不意を突かれて咳こんでしまった。
「やだ、大丈夫?」
「ゴホッゲホッ!大丈夫だ。
ちょっと咽せてしまっただけ。話を続けて。」
「私さ、盗み聞きしたかったわけじゃないんだけどね?
こないだ秋奈ちゃんが付き合っている彼氏が偶然、私のバイト先に新人として働きにきたの。
そんで私の休憩時間中に、まだ勤務中のはずのアイツ(宗太郎)がコソコソ外に出て行くからつけてったの。
だって、初日から仕事サボってんだよ。むかつくじゃん。
貰っている時給は同じだよ。」
春彦は1番優しい雰囲気の女子と2人で相槌をうって、熱心に翔子の話を聞いている。
「ついていくと誰もいない職場の駐車場付近で秋奈ちゃんに電話してんの。」
「それで!?」
爆音で歌う2人組がやかましいせいで翔子の声が聞き取りづらい。
春彦は耳をそばだてながら翔子に顔を近づけた。
「それで電話で話始めたから、店長にチクッてクビにしてやれって気持ちになってさ。
私は店長がいる所に戻ろうとしたの。
そしたら、"本当に好きな女はエリカじゃないアキだけだ"
"野外セックスをしようとしたのは、悪かった。
"結婚する為には俺の子を妊娠してくれ"
だとか、おっきい声で喚いてんの。
いくら誰も居ないからってヤバイくない?」
「その会話に登場する"アキ"という人物は、本当に季節原秋奈だってわかるのか?」
「それはわかるよ。
だって私は秋奈ちゃんの友達だし、その秋奈ちゃんの彼氏は普段から秋奈ちゃんをアキって呼んでるんだもん。
電話の相手が秋奈ちゃんで間違いなくない?」
隣にいる友人も翔子の話に異論がないようで相槌をしている。
「秋奈ちゃん。
その件以降、学校に来てからかなり悩んでて。
友達だし相談に乗ろうかなって思ったんだけど、なかなかね…。」
「秋奈ちゃん、今日は学校に来てるかな?
私達は学校をサボっているから、わかんない。」
友人が独り言のように言う。
「今日、秋奈は学校を休んでいる!」
大きい声で春彦は言った。
2人の女子高校生は、まだあどけない顔で目を合わせた。
「秋奈ちゃんが今日学校を休んでいる事を知ってるくらいの関係なら、いつでも本人と話ができるじゃん。
なんでわざわざ、私達に話しかけてきたわけ?
ハルちゃんは真面目っぽいけど、やっぱナンパが目的でしょ?」
2人目がアップテンポの曲を歌ううるさい環境のなか、耳をそばだてて翔子に顔を近づけていた春彦に突然、翔子は唇にキスをしようとした。
赤い髪の女子高校生、翔子が質問する。
「それは…実を言うと季節原秋奈とは幼馴染なんだ。
だから、カフェで秋奈の話を耳にして気になってしまってね。」
覚悟を決めた春彦は嘘を吐く事が板についてきた。
そんな自分に嫌悪感を抱きながらもそのまま話を続けた。
正直に秋奈の父親だと話したところで見た目が幼過ぎて信じてはもらえないし、話がややこしくなる事を避けたかった。
目の前では2人の女子高校生がマイクを握って、アイドルのヒット曲を熱唱している。
「ふーん。そういう関係なんだ。幼馴染ねぇ。」
「カフェで耳にした内容だと秋奈は悩んでいてーーーー」
「あぁ、彼氏との野外セックスの事かな?」
春彦は不意を突かれて咳こんでしまった。
「やだ、大丈夫?」
「ゴホッゲホッ!大丈夫だ。
ちょっと咽せてしまっただけ。話を続けて。」
「私さ、盗み聞きしたかったわけじゃないんだけどね?
こないだ秋奈ちゃんが付き合っている彼氏が偶然、私のバイト先に新人として働きにきたの。
そんで私の休憩時間中に、まだ勤務中のはずのアイツ(宗太郎)がコソコソ外に出て行くからつけてったの。
だって、初日から仕事サボってんだよ。むかつくじゃん。
貰っている時給は同じだよ。」
春彦は1番優しい雰囲気の女子と2人で相槌をうって、熱心に翔子の話を聞いている。
「ついていくと誰もいない職場の駐車場付近で秋奈ちゃんに電話してんの。」
「それで!?」
爆音で歌う2人組がやかましいせいで翔子の声が聞き取りづらい。
春彦は耳をそばだてながら翔子に顔を近づけた。
「それで電話で話始めたから、店長にチクッてクビにしてやれって気持ちになってさ。
私は店長がいる所に戻ろうとしたの。
そしたら、"本当に好きな女はエリカじゃないアキだけだ"
"野外セックスをしようとしたのは、悪かった。
"結婚する為には俺の子を妊娠してくれ"
だとか、おっきい声で喚いてんの。
いくら誰も居ないからってヤバイくない?」
「その会話に登場する"アキ"という人物は、本当に季節原秋奈だってわかるのか?」
「それはわかるよ。
だって私は秋奈ちゃんの友達だし、その秋奈ちゃんの彼氏は普段から秋奈ちゃんをアキって呼んでるんだもん。
電話の相手が秋奈ちゃんで間違いなくない?」
隣にいる友人も翔子の話に異論がないようで相槌をしている。
「秋奈ちゃん。
その件以降、学校に来てからかなり悩んでて。
友達だし相談に乗ろうかなって思ったんだけど、なかなかね…。」
「秋奈ちゃん、今日は学校に来てるかな?
私達は学校をサボっているから、わかんない。」
友人が独り言のように言う。
「今日、秋奈は学校を休んでいる!」
大きい声で春彦は言った。
2人の女子高校生は、まだあどけない顔で目を合わせた。
「秋奈ちゃんが今日学校を休んでいる事を知ってるくらいの関係なら、いつでも本人と話ができるじゃん。
なんでわざわざ、私達に話しかけてきたわけ?
ハルちゃんは真面目っぽいけど、やっぱナンパが目的でしょ?」
2人目がアップテンポの曲を歌ううるさい環境のなか、耳をそばだてて翔子に顔を近づけていた春彦に突然、翔子は唇にキスをしようとした。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる