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二章 長女、秋奈を守れ!
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自宅までどうやって帰ってきたか全く覚えていない。
宗太郎から言い訳がましい電話やメッセージが大量に届く。
「嘘つきは死ね!」と攻撃的な返事をして燃え盛る怒りをぶつけた。
今までショッキングな事態に見舞われても食欲はあったのだが、ここにきて遂に何も口に出来なくなった。
「秋ちゃん、全然お夕飯に箸をつけなかったけど具合が悪いの?
もしかして例の彼氏の事で何かあったのかな?」
秋奈は心を閉ざした冬児とは異なり、放課後に宗太郎の自宅で起きた忌々しい出来事を夏子に伝えた。
「最低ね。エリカって子も大概だけど、宗太郎君が1番のクズだわ。
その子達のお父さんとお母さんも、私の持つ常識からかけ離れた所にいるわ。」
「みんなクズだよ!」
「間違いないわ。
念の為、秋ちゃんに聞いとくけれどね、彼氏とは別れたのよね?」
「まだ言ってないけど、今からメッセージで別れるって伝える。
未練なんかない。」
秋奈は母がいるその場で素早く、".嘘つきとは別れる。さようなら。"とメッセージを送った。
すぐに既読になったが、宗太郎から返事はなかった。
「もう一つ、秋ちゃんに聞きたい。
この事はお父さんに伝えておく?」
「いい!お父さんには伝えないで!」
首を横に激しく振って断った。
春彦は団子屋から帰宅後、食事を摂ってから入浴せず眠ってしまった。
慣れない畑違いの仕事に加えて、精神論を振りかざす春蔵のスパルタ指導に疲労困憊だったのだ。
これでは秋奈の異変に気付かないのは無理もない。
「わかった。お父さんには黙っておくわ。
でも、約束よ?もうその男子が言い寄ってきても絶対に復縁はしちゃダメ。」
「うん。」
秋奈は母に固く誓った。
"アキ。
いくら謝っても許されない事をしたのはわかっている。
アキだけとしか、セックスをしないと言った矢先に裏切ってしまった。
勝手ながら言い訳をすると、あの日の夜、アキに雑木林で置いてけぼりにされたのが、トラウマになってしまったのも事実。
俺の心が粉々に砕けて飛び散った時、エリカが俺を誘ってきたんだ!
いつもなら、無視できたけど何かに縋ってしまいたくなるほど寂しくてさ…。
つい、甘い言葉に乗せられてしまったんだよ。"
"何度も言わせないで。
私達は終わったの、別れたんだよ。"
"そんな事、言わないでくれ。
もう一度、チャンスをくれないかな?
そんなにセックスをするのが嫌なら、俺はもう求めないよ。
子どもを作る以外にババア達に俺とアキを認めさせる方法を2人で考えていこう?
なっ?"
"結婚なんかする気もない。
どうでもいいから。
もう連絡しないで"
"元はといえばアキがあの日、セックスを断ったのが原因だぞ。
俺だって深く傷ついたんだ。
おあいこだろうが!"
スマホを持つ秋奈の手は小刻みに震えた。
宗太郎の本音がみえた気がしたのだ。
感情的になった秋奈は返事を返そうと指先で文字を入力していると、宗太郎からメッセージが来た。
"俺に死ねって言ったよな?"
"待ってろよ!"
"好きな女に死ねと言われた悲しみをおまえにわからせてやる"
"俺だって本当なら遊び慣れしたエリカより、処女のアキとしたかった"
鳴り止まない通知に怖くなった秋奈はスマホの電源を切って枕とベッドの下に挟み込むようにして置いた。
宗太郎から言い訳がましい電話やメッセージが大量に届く。
「嘘つきは死ね!」と攻撃的な返事をして燃え盛る怒りをぶつけた。
今までショッキングな事態に見舞われても食欲はあったのだが、ここにきて遂に何も口に出来なくなった。
「秋ちゃん、全然お夕飯に箸をつけなかったけど具合が悪いの?
もしかして例の彼氏の事で何かあったのかな?」
秋奈は心を閉ざした冬児とは異なり、放課後に宗太郎の自宅で起きた忌々しい出来事を夏子に伝えた。
「最低ね。エリカって子も大概だけど、宗太郎君が1番のクズだわ。
その子達のお父さんとお母さんも、私の持つ常識からかけ離れた所にいるわ。」
「みんなクズだよ!」
「間違いないわ。
念の為、秋ちゃんに聞いとくけれどね、彼氏とは別れたのよね?」
「まだ言ってないけど、今からメッセージで別れるって伝える。
未練なんかない。」
秋奈は母がいるその場で素早く、".嘘つきとは別れる。さようなら。"とメッセージを送った。
すぐに既読になったが、宗太郎から返事はなかった。
「もう一つ、秋ちゃんに聞きたい。
この事はお父さんに伝えておく?」
「いい!お父さんには伝えないで!」
首を横に激しく振って断った。
春彦は団子屋から帰宅後、食事を摂ってから入浴せず眠ってしまった。
慣れない畑違いの仕事に加えて、精神論を振りかざす春蔵のスパルタ指導に疲労困憊だったのだ。
これでは秋奈の異変に気付かないのは無理もない。
「わかった。お父さんには黙っておくわ。
でも、約束よ?もうその男子が言い寄ってきても絶対に復縁はしちゃダメ。」
「うん。」
秋奈は母に固く誓った。
"アキ。
いくら謝っても許されない事をしたのはわかっている。
アキだけとしか、セックスをしないと言った矢先に裏切ってしまった。
勝手ながら言い訳をすると、あの日の夜、アキに雑木林で置いてけぼりにされたのが、トラウマになってしまったのも事実。
俺の心が粉々に砕けて飛び散った時、エリカが俺を誘ってきたんだ!
いつもなら、無視できたけど何かに縋ってしまいたくなるほど寂しくてさ…。
つい、甘い言葉に乗せられてしまったんだよ。"
"何度も言わせないで。
私達は終わったの、別れたんだよ。"
"そんな事、言わないでくれ。
もう一度、チャンスをくれないかな?
そんなにセックスをするのが嫌なら、俺はもう求めないよ。
子どもを作る以外にババア達に俺とアキを認めさせる方法を2人で考えていこう?
なっ?"
"結婚なんかする気もない。
どうでもいいから。
もう連絡しないで"
"元はといえばアキがあの日、セックスを断ったのが原因だぞ。
俺だって深く傷ついたんだ。
おあいこだろうが!"
スマホを持つ秋奈の手は小刻みに震えた。
宗太郎の本音がみえた気がしたのだ。
感情的になった秋奈は返事を返そうと指先で文字を入力していると、宗太郎からメッセージが来た。
"俺に死ねって言ったよな?"
"待ってろよ!"
"好きな女に死ねと言われた悲しみをおまえにわからせてやる"
"俺だって本当なら遊び慣れしたエリカより、処女のアキとしたかった"
鳴り止まない通知に怖くなった秋奈はスマホの電源を切って枕とベッドの下に挟み込むようにして置いた。
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