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二章 長女、秋奈を守れ!

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「待てよアキ。
俺はアイツらの言いなりにはならない!」

追いかける宗太郎と秋奈の距離はみるみる縮まっていく。

「アキ!俺の話を聞いてくれよ。
頼むよ!!!」

号泣している秋奈は立ち止まり、声を振り絞って言った。

「深夜に大声を出したらご近所迷惑でしょ。
高校生にもなってそんな事もわからないの?」

「そうだね。大声を出した事は悪かった。
でも、アキに伝えたい事があるからさ。」

黄色いタクシーが1台、2人の横を通り過ぎて行く。

「宗太郎くんのお母さんは私の事が嫌いみたい。
"小娘"とか言われたのは、初めてだったからショックだったし怖かった…。」

秋奈は再び泣き出した。

「あのババアはチンピラと変わらないよ。
アキに対してあんな暴言を吐くんだからな。
息子がこの場をかりて、謝罪させてもらうよ。
本当に悪かった、ごめんなさい…。」

宗太郎は深々と頭を下げて、しばらくは顔をあげなかった。

秋奈は何も言わず佇んでいる。
謝罪を拒否しているのではなく、どう接すればよいかがわからないだけだ。

「アキ…俺さ?考えたんだけどね。
駆け落ちはアキの言う通り、誰からも祝福されない。
まるで指名手配犯が警察の捜査網から逃れようとしているようで、居心地が悪い。」

宗太郎は秋奈の手を握った。

「あの、俺とアキでさ、ほら?その、なんだろ。」

「なあに?」

「俺達は、キ、キスさえまだしてないのにさ、うん。こんな事を言うのはおかしく思うかもだけど。」

秋奈は宗太郎に両手で握られた、かじかむ手から宗太郎が震えているのが伝わってくる。
寒さのせいではなく緊張のせいだ。

「セックスしようよ。
子供を作ればあのババアだって認めざるを得なくなるし、エリカだって俺の事を諦めるよ。」

宗太郎の緊張して震えていた手は力がこもり、秋奈は圧迫されて痛みを感じた。

「痛い、宗太郎くん痛いよぉ。離して。」

「何度かセックスすれば妊娠するだろう?
一回で身籠る事だってあるし。
それにさクラスの奴らだって、もうヤッた話を自慢げに話しているよ。
俺達は付き合いが長いのに遅いくらいだ。」

「いきなりそんな事をして赤ちゃん作ってどうするの?
学校は?お金だって必要だよ?
私の家族にはなんて説明するの?」

「いずれは俺達、結婚するんだよ。
確かに大変な事もあるだろうけど、ババア達を認めさせるには今すぐセックスして子供を作るしかないよ。」

興奮した宗太郎は目がカッと見開いている。
まさかの展開と宗太郎の目力に恐怖を感じた秋奈は隙をついて手を離した。

「ちょっと宗太郎くん。なんかいつもと違うよ、怖いよ。」

「怖いだなんて言うなよ?
俺は快楽の為だけでセックスをしたいって言っているわけじゃないんだ。
だから俺の大事なところを舐めさせたりはしないし、中学時代に比べてアキの成長した胸に俺のを挟んでもらおうだなんて、考えちゃいない。」

住宅街をキョロキョロした後、宗太郎はギラギラした顔で秋奈に言った。

「この近くにある雑木林に行こう。
あそこなら誰もいないから人目を気にせず最後までセックスできる。
そりゃ本当ならアキのオッパイを見たいし揉みたいけど、俺はヤリたいだけだと思われたくないから、下だけ脱いで早く済ますつもりだから。」

秋奈は恐怖で後退りした。

「なんで逃げるんだ?
俺の事、好きなんだろ?もしかしてアレは嘘なのか?
本当は俺以外の男と隠れて付き合っているんじゃないのか?」

「変なこと言わないで。
私は宗太郎くん以外の男子と付き合ってなんかいないよ。」

「じゃあなんでセックスを拒む?」

秋奈は黙り込む。

「答えてくれよ。
なんでセックスを拒むんだ?
わかった!過去に浮気をして他の男に処女を捧げたんだな?」

「私は過去も今も浮気なんかした事ない!」

2人の間にしばし沈黙が流れる。

「アキが嘘をついていないって信じたいよ。
でも、これ以外で俺達が結ばれる方法はないんだ。
何度も言うけど子供さえ作ればババアは諦める。
初めのうちは文句をたれるだろうが、そのうち孫が可愛いから態度をかえるはずだ。」

宗太郎は秋奈に近づき、再び秋奈の手を両手で握った。

「もし、ここで俺とのセックスを断ったら…アキは浮気をしているって俺は捉えるよ。」










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