パパの見た目は15歳〜童顔の大黒柱〜

スーパー・ストロング・マカロン

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二章 長女、秋奈を守れ!

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「駆け落ち?全てを捨てて逃げるの?」

「そうだよ。俺達、大人になったら結婚するだろ?
親に認めてもらえないなら、強硬手段にでるしかない。」

「まって。
私は家族を捨ててどこかへなんて行きたくない。
結婚はみんなに祝福されてするものだよ。」

「…確かにそうだね。
ちょっと、頭がカッとなってしまった…。
俺はどうかしていたよ。
まずは話してみないとね。
きっと、アイツらは俺とアキの交際を認めてはくれないだろうけど。」

深呼吸したあと、宗太郎は冷静になって秋奈に言った。

2人は宗太郎の自宅前に到着した。
宗太郎の自宅は二階建ての小さくて古いバラック小屋のようなアパートだ。

「俺、ちょっと緊張してきた。
自分の家なのにこんな気持ちになるなんて。」

「宗太郎くん以上に私の方が緊張していると思う。
ただでさえ宗太郎くんの家族に会うのも初めてなのに、初対面がこんな特殊な理由なんだよ。」

「ごめん、アキ。
男の俺がこんな弱気じゃダメだよな。
俺がアキを守る。
そして、アキとの交際を認めてもらい、エリカとは距離をおかせてもらうよ。
エリカにも親の言いなりにもなるつもりはないからね。」

宗太郎はアキにそう言うと、隣にいる白くて小さなかじかんだ手を強く握った。

「開けるよ。」

ポケットから鍵を取り出して、玄関ドアの鍵を開けた。

ガチャガチャ

2人は玄関ドアを開けて中へ入る。

男性用の黒い革靴と23.5センチくらいの白いスニーカーが並べて置いてある。

秋奈はそれを見て、激しく心臓が高鳴っていくのを自覚した。

なかから三人の笑い声が聞こえてくる。

まるで本当の家族のようだ。

一間しかない狭い部屋の為、エリカは宗太郎が帰宅した事にすぐ気付いた。

「ソウ、おかえ、ハァ!?なんで?」

「エリカちゃんどうしたの?」

宗太郎の母が驚くエリカに気付き、玄関へ向かう。

「どうしたんだ?」

エリカの父で宗太郎の母の彼氏も後に続き玄関へ向かった。

「こんな時間に突然、いなくなったと思ったら女の子なんか連れて来ていったいなにをしているの?」

母に分厚いダウンジャケットの肩を強く引っ張っられ、宗太郎はよろけた。

引っ張られた際、宗太郎の手に3人の視線がいく。

「宗太郎!あんたはエリカちゃんとお付き合いしているのにも関わらず、どこの誰かもわからない小娘と手を繋いで帰宅するとはいい度胸ね!」

顔を真っ赤にした宗太郎の母は、怒り狂い宗太郎にビンタをした。

「おまえはエリカちゃんのパパにどれだけお世話になっているかわかっているの!?」

「確かにあんたの彼氏には助けられているし感謝はしてる。
でも俺はまだ高校生だけど、自分の家族は自分で守りたい。
今まで通りの生活はできないけれど、来週からバイトも始まるし、ある程度の生活の目処はたってるんだ!」

「まだ子どものあんたに何ができるっていうの!
この人(彼氏)の、ありがたいお金で私達は養われているの!
生意気な事ばかり言ってないで、親を尊敬しなさい!」

「尊敬なんかできるわけねえよ!
アンタら、ただのセフレだろ?
あんたの彼氏より俺の父さんはもっとプライドがあった!」

宗太郎の母は再び、宗太郎にビンタをした。

「やめてください!」

すかさず秋奈が止めに入る。

「ソウ、酷いよ。
なんでこのブスがソウを庇ってんの?
これじゃあ、アベコベじゃない!ソウを庇うのは私の役目だよ!本命は私なのに!」

叫ぶエリカを見て宗太郎の母は発狂した。

「小娘とエリカちゃんとでは格が違うのよ!
家族じゃない、赤の他人である小娘はさっさと出ていきなさい!
汚らわしい!」

暴言を浴びせられた秋奈は耐えきれる筈がなく、猫の額ほどしかない、狭い玄関を出て行った。

「アキ!!」

秋奈の後ろ姿を追う前に、宗太郎は母親を睨みつけて怒鳴った。

「ちっくしょう!
アキに酷い事を言いやがって!ふざけんじゃねえよクソババア!!」




















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