パパの見た目は15歳〜童顔の大黒柱〜

スーパー・ストロング・マカロン

文字の大きさ
上 下
39 / 88
二章 長女、秋奈を守れ!

38

しおりを挟む
「駆け落ち?全てを捨てて逃げるの?」

「そうだよ。俺達、大人になったら結婚するだろ?
親に認めてもらえないなら、強硬手段にでるしかない。」

「まって。
私は家族を捨ててどこかへなんて行きたくない。
結婚はみんなに祝福されてするものだよ。」

「…確かにそうだね。
ちょっと、頭がカッとなってしまった…。
俺はどうかしていたよ。
まずは話してみないとね。
きっと、アイツらは俺とアキの交際を認めてはくれないだろうけど。」

深呼吸したあと、宗太郎は冷静になって秋奈に言った。

2人は宗太郎の自宅前に到着した。
宗太郎の自宅は二階建ての小さくて古いバラック小屋のようなアパートだ。

「俺、ちょっと緊張してきた。
自分の家なのにこんな気持ちになるなんて。」

「宗太郎くん以上に私の方が緊張していると思う。
ただでさえ宗太郎くんの家族に会うのも初めてなのに、初対面がこんな特殊な理由なんだよ。」

「ごめん、アキ。
男の俺がこんな弱気じゃダメだよな。
俺がアキを守る。
そして、アキとの交際を認めてもらい、エリカとは距離をおかせてもらうよ。
エリカにも親の言いなりにもなるつもりはないからね。」

宗太郎はアキにそう言うと、隣にいる白くて小さなかじかんだ手を強く握った。

「開けるよ。」

ポケットから鍵を取り出して、玄関ドアの鍵を開けた。

ガチャガチャ

2人は玄関ドアを開けて中へ入る。

男性用の黒い革靴と23.5センチくらいの白いスニーカーが並べて置いてある。

秋奈はそれを見て、激しく心臓が高鳴っていくのを自覚した。

なかから三人の笑い声が聞こえてくる。

まるで本当の家族のようだ。

一間しかない狭い部屋の為、エリカは宗太郎が帰宅した事にすぐ気付いた。

「ソウ、おかえ、ハァ!?なんで?」

「エリカちゃんどうしたの?」

宗太郎の母が驚くエリカに気付き、玄関へ向かう。

「どうしたんだ?」

エリカの父で宗太郎の母の彼氏も後に続き玄関へ向かった。

「こんな時間に突然、いなくなったと思ったら女の子なんか連れて来ていったいなにをしているの?」

母に分厚いダウンジャケットの肩を強く引っ張っられ、宗太郎はよろけた。

引っ張られた際、宗太郎の手に3人の視線がいく。

「宗太郎!あんたはエリカちゃんとお付き合いしているのにも関わらず、どこの誰かもわからない小娘と手を繋いで帰宅するとはいい度胸ね!」

顔を真っ赤にした宗太郎の母は、怒り狂い宗太郎にビンタをした。

「おまえはエリカちゃんのパパにどれだけお世話になっているかわかっているの!?」

「確かにあんたの彼氏には助けられているし感謝はしてる。
でも俺はまだ高校生だけど、自分の家族は自分で守りたい。
今まで通りの生活はできないけれど、来週からバイトも始まるし、ある程度の生活の目処はたってるんだ!」

「まだ子どものあんたに何ができるっていうの!
この人(彼氏)の、ありがたいお金で私達は養われているの!
生意気な事ばかり言ってないで、親を尊敬しなさい!」

「尊敬なんかできるわけねえよ!
アンタら、ただのセフレだろ?
あんたの彼氏より俺の父さんはもっとプライドがあった!」

宗太郎の母は再び、宗太郎にビンタをした。

「やめてください!」

すかさず秋奈が止めに入る。

「ソウ、酷いよ。
なんでこのブスがソウを庇ってんの?
これじゃあ、アベコベじゃない!ソウを庇うのは私の役目だよ!本命は私なのに!」

叫ぶエリカを見て宗太郎の母は発狂した。

「小娘とエリカちゃんとでは格が違うのよ!
家族じゃない、赤の他人である小娘はさっさと出ていきなさい!
汚らわしい!」

暴言を浴びせられた秋奈は耐えきれる筈がなく、猫の額ほどしかない、狭い玄関を出て行った。

「アキ!!」

秋奈の後ろ姿を追う前に、宗太郎は母親を睨みつけて怒鳴った。

「ちっくしょう!
アキに酷い事を言いやがって!ふざけんじゃねえよクソババア!!」




















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...