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二章 長女、秋奈を守れ!
37 危険地帯へ足を踏み入れる秋奈
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「今朝、ああいう発言をしてしまったのは悪かったよ。
でも、それにはわけがあってさ。
情けない話だけど、俺の母さんは彼氏にたくさんの金を援助してもらっている。
その金で家賃はおろか食費、俺の高校に支払う学費まで出してもらっているんだ。
そんな理由からどうしてもエリカには頭が上がらなかったし、母さんや母さんの彼氏にもバツが悪くて…。」
話が長くなってすまないが、もう少し俺の話を聞いてくれと宗太郎は心痛な面持ちの秋奈に対し、矢継ぎ早に話す。
「さっき俺は、母さんと彼氏は再婚願望はさらさらないって伝えたけれどさ、俺とエリカをくっつけて結婚させようと目論んでいるんだよ。
そうすれば夫婦ではないが近い関係になれるからってね。
でも、俺はエリカではなくアキが好きなんだ!
セフレ同士で付き合っている親の勝手な都合なんかで、エリカとは付き合えない。
エリカの好意も受け入れられない。
始めはゴリ押しで来るアキがちょっと苦手だったけど、一緒にいるうちにアキの優しさ、可愛さが俺の心の中に入ってきてさ、もう側にいてもらわなきゃ俺自身どうにかなってしまいそうなんだ。だからーーーー」
「じゃあ、なんで今朝は新富福町なんかで待ち合わせしたの?
私、見知らぬ男達に囲まれてすごく怖かった…。」
泣きそうな顔で宗太郎は秋奈へ話す。
「ごめんよ!あの件に関しては俺も悪いんだ!
あれは、俺とアキの関係に嫉妬したエリカの仕業なんだ。
アイツ、俺の前で堂々と言ったんだよ。
"ソウの彼女、治安の悪い新富福町の男達に襲われてしまえばいい"って。
だから、俺達近所に住んでるのにあんなヤバイ場所で待ち合わせをする事になってしまったんだよ。」
宗太郎の隣を歩く細身の秋奈は恐怖や悲しみで涙を流した。
「でもさ、俺も悪いんだ。
アキ…ほんとに俺…ほんとにごめん…守ってやれなくて。
結果的にエリカに逆らえなくて、アキを…深く傷つけてしまった。
俺はもうアキをこれ以上裏切りたくないよ。
だからこそ、こんな狂った生活から逃れる為に何が最善かを考えたんだ。」
冬の夜を照らす街灯の下で、秋奈は立ち止まって泣いている。
「俺にはアキという大好きな彼女がいる。
もうこれからはエリカや母さん達の言いなりにはならない。
大人になって働き出したら彼女のアキとゆくゆくは結婚したいって宣言するよ。
もし、その宣言が理由で母さんや彼氏との間に亀裂が生じて、ヤツからたんまり貰っていた生活費が止められてもかまわない。
寧ろ俺はそんな金なんて始めっからいらないんだ。
働けない母さんに代わり、バイトをして俺の金だけで生活する。
生活が苦しくなってもかまわないよ。
アイツらの言いなりになる人生よりずっとマシさ!」
涙を流して鼻を啜りながら、スマホのキャリアメールに届いたアルバイト先のメールを見せた。
合否について記載された文言を読んだ秋奈は、宗太郎が来週から初出勤となっている事を知った。
「アキ、今まではヘタレだったけど俺は生まれ変わった。
絶対にアキを守る。
だから今から俺の自宅に行き、母さん達の前で一緒に宣言してもらいたいんだ。
ちょうど母さんの彼氏とエリカかが家にやって来たばかりで、今夜は泊まっていくとかぬかしているんだよ…。」
「私が宗太郎くんと結婚前提にお付き合いしていると話たって、反対されるにきまっているじゃない…。」
「…それならだよ?もし俺達の邪魔をするなら一緒に駆け落ちしようよ!
口先だけで言ってるんじゃない、俺は本気だよ!」
でも、それにはわけがあってさ。
情けない話だけど、俺の母さんは彼氏にたくさんの金を援助してもらっている。
その金で家賃はおろか食費、俺の高校に支払う学費まで出してもらっているんだ。
そんな理由からどうしてもエリカには頭が上がらなかったし、母さんや母さんの彼氏にもバツが悪くて…。」
話が長くなってすまないが、もう少し俺の話を聞いてくれと宗太郎は心痛な面持ちの秋奈に対し、矢継ぎ早に話す。
「さっき俺は、母さんと彼氏は再婚願望はさらさらないって伝えたけれどさ、俺とエリカをくっつけて結婚させようと目論んでいるんだよ。
そうすれば夫婦ではないが近い関係になれるからってね。
でも、俺はエリカではなくアキが好きなんだ!
セフレ同士で付き合っている親の勝手な都合なんかで、エリカとは付き合えない。
エリカの好意も受け入れられない。
始めはゴリ押しで来るアキがちょっと苦手だったけど、一緒にいるうちにアキの優しさ、可愛さが俺の心の中に入ってきてさ、もう側にいてもらわなきゃ俺自身どうにかなってしまいそうなんだ。だからーーーー」
「じゃあ、なんで今朝は新富福町なんかで待ち合わせしたの?
私、見知らぬ男達に囲まれてすごく怖かった…。」
泣きそうな顔で宗太郎は秋奈へ話す。
「ごめんよ!あの件に関しては俺も悪いんだ!
あれは、俺とアキの関係に嫉妬したエリカの仕業なんだ。
アイツ、俺の前で堂々と言ったんだよ。
"ソウの彼女、治安の悪い新富福町の男達に襲われてしまえばいい"って。
だから、俺達近所に住んでるのにあんなヤバイ場所で待ち合わせをする事になってしまったんだよ。」
宗太郎の隣を歩く細身の秋奈は恐怖や悲しみで涙を流した。
「でもさ、俺も悪いんだ。
アキ…ほんとに俺…ほんとにごめん…守ってやれなくて。
結果的にエリカに逆らえなくて、アキを…深く傷つけてしまった。
俺はもうアキをこれ以上裏切りたくないよ。
だからこそ、こんな狂った生活から逃れる為に何が最善かを考えたんだ。」
冬の夜を照らす街灯の下で、秋奈は立ち止まって泣いている。
「俺にはアキという大好きな彼女がいる。
もうこれからはエリカや母さん達の言いなりにはならない。
大人になって働き出したら彼女のアキとゆくゆくは結婚したいって宣言するよ。
もし、その宣言が理由で母さんや彼氏との間に亀裂が生じて、ヤツからたんまり貰っていた生活費が止められてもかまわない。
寧ろ俺はそんな金なんて始めっからいらないんだ。
働けない母さんに代わり、バイトをして俺の金だけで生活する。
生活が苦しくなってもかまわないよ。
アイツらの言いなりになる人生よりずっとマシさ!」
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絶対にアキを守る。
だから今から俺の自宅に行き、母さん達の前で一緒に宣言してもらいたいんだ。
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