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一章 長男、冬児を守れ!
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「センセイが来んのが早いなあ~。もう嗅ぎつけてきたってか。
仕方ねえや、マキゾー俺んちに来いよ。
ババアはパートでいねえから。」
「さっき、季節原って言ったよね?
僕の苗字は季節原って言うんだ。
もしかして僕に用があるんじゃないの?」
中牧は冬児が仲裁に入ってきた事で驚いていたが、すぐに嫌悪感を露わにした。
「季節原!おまえには関係ねえよ!」
「関係してるだろ~。元はおまえがコイツにむかついていて、俺に話した事から話が始まってんだから。」
冬児の友人達がやって来た教師に夢中で現状を報告している。
「いくら俺が14歳以下で、逮捕されない立場にあっても色々面倒なのよ。
季節原クンよ?チミは逃げないよな?
チンコがついてるなら逃げないよな?」
「逃げやしないよ。」
ニヤリと笑って冬児を見た鬼頭とは反対に、中牧は冬児を巻き込んでしまった事に後悔した表情だ。
止まるよう注意をする教師を無視して先頭を走る鬼頭を追い、2人も走っていく。
歩行者用の信号機が赤であるにも関わらず、絶え間なく走り出す自動車を挑発するかのように鬼頭は奇声をあげて突っ込んで行った。
赤信号で止まった冬児と中牧は、命知らずの鬼頭の奇行に開いた口が塞がらないでいる。
「…季節原、今ならバックレるチャンスだぞ。」
「あの中学生が鬼頭でしょ?今まで関わった事は皆無だけど僕も知っている。
だって有名だもん。」
「知ってるなら尚更だ。早く逃げな。
アイツは狂ってるから、おまえ殺されちゃうよ。」
2人は互いの顔を合わせる事はせず周辺にノイズを撒き散らし、我が物顔で走る自動車を見ている。
「あの人は僕を呼んでいるんだ。
仮に今逃げたって、どうせまた僕を狙いに来るでしょ。
その時、僕の友達や家族を巻き込みたくないからね。
だから今のうちに、悪い芽は摘んでおかないと。」
「おまえら!早くしろよ!」
ノイズに掻き消されないよう鬼頭は大声で叫びながら、ズボンとパンツを足首まで下ろし腰を曲げ自分の尻を見せつけふざけている。
歩道を歩く人々が見ていようがお構いなしだ。
信号機が青に変わった途端、勢いをつけて走り出した中牧は尻を出して笑う鬼頭の不意をつき、尻に力一杯蹴りを入れた。
蹴られた衝撃で鬼頭は古い家屋の塀に頭をぶつけて倒れた。
遅れてやってきた冬児には目もくれず、中牧は鬼頭の背中や腰を何度も強く踏みつける。
通行する人々は激しい暴行を加える中牧にはじめは凍りついていたが、正気を取り戻したようで中牧を止めにかかった。
中牧が取り押さえられている最中、鬼頭はゆっくり立ち上がる。
先ほどの幼稚性は鳴りを顰め、止めに入ってくれた人にまで容赦なく無差別に殴りかかった。
冬児は喧嘩の仲裁に入った人々が次から次へとバタバタ倒れていく惨劇を目の当たりした。
車のノイズが掻き消されてしまうかと思うほどの叫び声が冬児の耳に纏わりつく。
中牧を守ろうと、たまたまその場に居合わせた善意ある人々が気の狂っている鬼頭のおぞましい暴力によって叫びを聞いて冬児は何かが弾けた。
仕方ねえや、マキゾー俺んちに来いよ。
ババアはパートでいねえから。」
「さっき、季節原って言ったよね?
僕の苗字は季節原って言うんだ。
もしかして僕に用があるんじゃないの?」
中牧は冬児が仲裁に入ってきた事で驚いていたが、すぐに嫌悪感を露わにした。
「季節原!おまえには関係ねえよ!」
「関係してるだろ~。元はおまえがコイツにむかついていて、俺に話した事から話が始まってんだから。」
冬児の友人達がやって来た教師に夢中で現状を報告している。
「いくら俺が14歳以下で、逮捕されない立場にあっても色々面倒なのよ。
季節原クンよ?チミは逃げないよな?
チンコがついてるなら逃げないよな?」
「逃げやしないよ。」
ニヤリと笑って冬児を見た鬼頭とは反対に、中牧は冬児を巻き込んでしまった事に後悔した表情だ。
止まるよう注意をする教師を無視して先頭を走る鬼頭を追い、2人も走っていく。
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赤信号で止まった冬児と中牧は、命知らずの鬼頭の奇行に開いた口が塞がらないでいる。
「…季節原、今ならバックレるチャンスだぞ。」
「あの中学生が鬼頭でしょ?今まで関わった事は皆無だけど僕も知っている。
だって有名だもん。」
「知ってるなら尚更だ。早く逃げな。
アイツは狂ってるから、おまえ殺されちゃうよ。」
2人は互いの顔を合わせる事はせず周辺にノイズを撒き散らし、我が物顔で走る自動車を見ている。
「あの人は僕を呼んでいるんだ。
仮に今逃げたって、どうせまた僕を狙いに来るでしょ。
その時、僕の友達や家族を巻き込みたくないからね。
だから今のうちに、悪い芽は摘んでおかないと。」
「おまえら!早くしろよ!」
ノイズに掻き消されないよう鬼頭は大声で叫びながら、ズボンとパンツを足首まで下ろし腰を曲げ自分の尻を見せつけふざけている。
歩道を歩く人々が見ていようがお構いなしだ。
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蹴られた衝撃で鬼頭は古い家屋の塀に頭をぶつけて倒れた。
遅れてやってきた冬児には目もくれず、中牧は鬼頭の背中や腰を何度も強く踏みつける。
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