12 / 90
一章 長男、冬児を守れ!
11
しおりを挟む
「ギャハハハハ!大人の男かと思ったら、俺らと歳の近い、それもチビなガキでしたってか!
さぁ、どうするどうする?」
飛び跳ねて笑う鬼頭とは反対に、鼻を骨折している不良少年は苦しそうに話した。
「巻き込んじゃってごめん。
でも、警察に連絡すれば鬼頭だって…。」
震える不良少女は乱れた呼吸でスマホを使い110番通報をしている。
「まぁ、警察に捕まってしまったらだりぃしな。
しかたねえ、バックレまーす。
マキゾー、寄り道はこの辺にして季節原の自宅へ行くぞ!」
男は"季節原"という言葉を聞いて表情にこそださなかったが、内心は驚いていた。
「待ちなさい。
これだけの事をおまえはやったのだぞ。
このまま帰らせるわけにはいかんよ。」
鬼頭はまた笑いだした。
「まさかよ警察が来るまで、おまえが俺を押さえつけるつもりかよ?」
「そのつもりだが。」
「舐めてんじゃねえぞ!クソガキぃ!
警察がやってくるまえに、ぶちのめしてやる!」
喧嘩の強い鬼頭は鬼の形相で男に殴りかかった。
中牧は体格差があって、凶悪な鬼頭と低身長でおとなしそうな中高生くらいの男子とでは、喧嘩ではなく一方的な暴行になる。そう感じていた。
「いてぇぇ!」
ほら、このザマだ。
社会とは必ずしも正しい者が勝つとは限らないーーーー
寧ろ、正しき者はいつも悪党にぶちのめされているじゃないか。
現実はヒーローが存在する漫画の世界のようにはいかないんだよ。
残念ながら、弱い者は常に強い者の餌食にーーーー
えっ!?
中牧は目の前で繰り広げられている出来事を理解できずにいた。
背後に回っている男が鬼頭の右腕の関節を捻っている。
「小僧。おまえは今日までやりたい放題の生活を送っていたのではないかな?」
「うるせえ離せコラァ!!」
「この子達も素行は悪いのだろうが、これはやり過ぎだろう?
倫理観が欠如したおまえはいったい全体どのような教育を受けてきたのかね?」
「キメエ話し方してんじゃねえよ!ぐわぁ!いってえ!!」
中高生のような顔した男子は鬼頭の肘関節を更に絞りあげていく。
「ぎゃぁぁぁ!痛えよ!」
「これで力の差がわかっただろう。小僧、誰の目から見てもおまえの負けだよ。
負けを認めたあとはわかるよな?」
「ぐっ、何がだよっ?」
「おまえはやらねばならん事があるだろうが。」
「あぁ?」
「わからんのか?」
「わかんねえよ!」
「それさえわからないとはお手上げだな。
近頃の子はどんな教育を受けているんだ?
親の顔が見てみたい。」
鬼頭の素行の悪さ、倫理のなさに嘆く男は、ブツブツ独り言を呟いている。
「ならば教えてやる。立て!」
極めていた肘関節を解き、自分よりも体格の良い鬼頭の首根っこを掴みながら、2人の顔を見渡して言った。
「君達、倒れている子をそこのベンチに座らせてあげなさい。」
中牧と不良少女は呆気にとられて身動き一つとれない。
「何をやっている。2人がかりで肩を貸してあげなさい。
ボケっとしてないで、さぁ早く!」
2人は男に言われたとうり倒れた不良少年を起き上がらせベンチに座らせた。
「さあ、小僧。
理由はともあれここまで激しく暴力を振るった事について誠心誠意、謝罪しろ。」
「謝れば離してくれるのか?」
「これで許すわけではない。
この後、駆けつけてくる警察には突き出すつもりさ。」
「そんなら、謝る意味ねえっての!」
「何をいうか!
ケダモノのまま成人を迎えてしまえば社会通年から大きく逸脱し、もはや矯正は難しくなる。
おまえは中学生だろう?
人格形成上、もっとも大切な時期だ。」
「ゴチャゴチャうるせえなあ!ガキのくせに生意気だぞ!
早よ離せや!コラァ!」
「黙れ!…やや形式的ではあるが、まずは謝罪をする事から始めねばならん。
今から私が直々に腐った性根を叩き直してやらねばなるまい。」
鬼頭は抵抗したが、逃すまいと男が腕を掴む握力にたじろいだ。
誰の目から見ても男の方が明らかに鬼頭より強いーーーー
男により不良カップルの目の前に立たされた鬼頭は、謝罪に追い込まれた。
「スイヤセン。」
「なんだ?ちっとも気持ちがこもっていないじゃないか。
"僕が悪かったです。すみませんでした。"だろう。」
「ぼ、僕が悪かったです…。すみませんでした。」
悔しそうに鬼頭は男を睨んだ。
男は4人掛けテーブルに散乱している菓子パンやスナック菓子に気付いた。
「おい。随分と豪勢だな。
菓子パンパーティーかい?」
しまった!
万引きしていた事がバレてしまう。
中牧は一気に青ざめた。
さぁ、どうするどうする?」
飛び跳ねて笑う鬼頭とは反対に、鼻を骨折している不良少年は苦しそうに話した。
「巻き込んじゃってごめん。
でも、警察に連絡すれば鬼頭だって…。」
震える不良少女は乱れた呼吸でスマホを使い110番通報をしている。
「まぁ、警察に捕まってしまったらだりぃしな。
しかたねえ、バックレまーす。
マキゾー、寄り道はこの辺にして季節原の自宅へ行くぞ!」
男は"季節原"という言葉を聞いて表情にこそださなかったが、内心は驚いていた。
「待ちなさい。
これだけの事をおまえはやったのだぞ。
このまま帰らせるわけにはいかんよ。」
鬼頭はまた笑いだした。
「まさかよ警察が来るまで、おまえが俺を押さえつけるつもりかよ?」
「そのつもりだが。」
「舐めてんじゃねえぞ!クソガキぃ!
警察がやってくるまえに、ぶちのめしてやる!」
喧嘩の強い鬼頭は鬼の形相で男に殴りかかった。
中牧は体格差があって、凶悪な鬼頭と低身長でおとなしそうな中高生くらいの男子とでは、喧嘩ではなく一方的な暴行になる。そう感じていた。
「いてぇぇ!」
ほら、このザマだ。
社会とは必ずしも正しい者が勝つとは限らないーーーー
寧ろ、正しき者はいつも悪党にぶちのめされているじゃないか。
現実はヒーローが存在する漫画の世界のようにはいかないんだよ。
残念ながら、弱い者は常に強い者の餌食にーーーー
えっ!?
中牧は目の前で繰り広げられている出来事を理解できずにいた。
背後に回っている男が鬼頭の右腕の関節を捻っている。
「小僧。おまえは今日までやりたい放題の生活を送っていたのではないかな?」
「うるせえ離せコラァ!!」
「この子達も素行は悪いのだろうが、これはやり過ぎだろう?
倫理観が欠如したおまえはいったい全体どのような教育を受けてきたのかね?」
「キメエ話し方してんじゃねえよ!ぐわぁ!いってえ!!」
中高生のような顔した男子は鬼頭の肘関節を更に絞りあげていく。
「ぎゃぁぁぁ!痛えよ!」
「これで力の差がわかっただろう。小僧、誰の目から見てもおまえの負けだよ。
負けを認めたあとはわかるよな?」
「ぐっ、何がだよっ?」
「おまえはやらねばならん事があるだろうが。」
「あぁ?」
「わからんのか?」
「わかんねえよ!」
「それさえわからないとはお手上げだな。
近頃の子はどんな教育を受けているんだ?
親の顔が見てみたい。」
鬼頭の素行の悪さ、倫理のなさに嘆く男は、ブツブツ独り言を呟いている。
「ならば教えてやる。立て!」
極めていた肘関節を解き、自分よりも体格の良い鬼頭の首根っこを掴みながら、2人の顔を見渡して言った。
「君達、倒れている子をそこのベンチに座らせてあげなさい。」
中牧と不良少女は呆気にとられて身動き一つとれない。
「何をやっている。2人がかりで肩を貸してあげなさい。
ボケっとしてないで、さぁ早く!」
2人は男に言われたとうり倒れた不良少年を起き上がらせベンチに座らせた。
「さあ、小僧。
理由はともあれここまで激しく暴力を振るった事について誠心誠意、謝罪しろ。」
「謝れば離してくれるのか?」
「これで許すわけではない。
この後、駆けつけてくる警察には突き出すつもりさ。」
「そんなら、謝る意味ねえっての!」
「何をいうか!
ケダモノのまま成人を迎えてしまえば社会通年から大きく逸脱し、もはや矯正は難しくなる。
おまえは中学生だろう?
人格形成上、もっとも大切な時期だ。」
「ゴチャゴチャうるせえなあ!ガキのくせに生意気だぞ!
早よ離せや!コラァ!」
「黙れ!…やや形式的ではあるが、まずは謝罪をする事から始めねばならん。
今から私が直々に腐った性根を叩き直してやらねばなるまい。」
鬼頭は抵抗したが、逃すまいと男が腕を掴む握力にたじろいだ。
誰の目から見ても男の方が明らかに鬼頭より強いーーーー
男により不良カップルの目の前に立たされた鬼頭は、謝罪に追い込まれた。
「スイヤセン。」
「なんだ?ちっとも気持ちがこもっていないじゃないか。
"僕が悪かったです。すみませんでした。"だろう。」
「ぼ、僕が悪かったです…。すみませんでした。」
悔しそうに鬼頭は男を睨んだ。
男は4人掛けテーブルに散乱している菓子パンやスナック菓子に気付いた。
「おい。随分と豪勢だな。
菓子パンパーティーかい?」
しまった!
万引きしていた事がバレてしまう。
中牧は一気に青ざめた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる