パパの見た目は15歳〜童顔の大黒柱〜

スーパー・ストロング・マカロン

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一章 長男、冬児を守れ!

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「ギャハハハハ!大人の男かと思ったら、俺らと歳の近い、それもチビなガキでしたってか!
さぁ、どうするどうする?」

飛び跳ねて笑う鬼頭とは反対に、鼻を骨折している不良少年は苦しそうに話した。

「巻き込んじゃってごめん。
でも、警察に連絡すれば鬼頭だって…。」

震える不良少女は乱れた呼吸でスマホを使い110番通報をしている。

「まぁ、警察に捕まってしまったらだりぃしな。
しかたねえ、バックレまーす。
マキゾー、寄り道はこの辺にしての自宅へ行くぞ!」

男は"季節原"という言葉を聞いて表情にこそださなかったが、内心は驚いていた。

「待ちなさい。
これだけの事をおまえはやったのだぞ。
このまま帰らせるわけにはいかんよ。」

鬼頭はまた笑いだした。

「まさかよ警察が来るまで、おまえが俺を押さえつけるつもりかよ?」

「そのつもりだが。」

「舐めてんじゃねえぞ!クソガキぃ!
警察がやってくるまえに、ぶちのめしてやる!」

喧嘩の強い鬼頭は鬼の形相で男に殴りかかった。

中牧は体格差があって、凶悪な鬼頭と低身長でおとなしそうなとでは、喧嘩ではなく一方的な暴行になる。そう感じていた。

「いてぇぇ!」

ほら、このザマだ。
社会とは必ずしも正しい者が勝つとは限らないーーーー
寧ろ、正しき者はいつも悪党にぶちのめされているじゃないか。
現実はヒーローが存在する漫画の世界のようにはいかないんだよ。
残念ながら、弱い者は常に強い者の餌食にーーーー

えっ!?

中牧は目の前で繰り広げられている出来事を理解できずにいた。

背後に回っている男が鬼頭の右腕の関節を捻っている。

「小僧。おまえは今日までやりたい放題の生活を送っていたのではないかな?」

「うるせえ離せコラァ!!」

のだろうが、これはやり過ぎだろう?
倫理観が欠如したおまえはいったい全体どのような教育を受けてきたのかね?」

「キメエ話し方してんじゃねえよ!ぐわぁ!いってえ!!」

中高生のような顔した男子は鬼頭の肘関節を更に絞りあげていく。

「ぎゃぁぁぁ!痛えよ!」

「これで力の差がわかっただろう。小僧、誰の目から見てもおまえの負けだよ。
負けを認めたあとはわかるよな?」

「ぐっ、何がだよっ?」

「おまえはやらねばならん事があるだろうが。」

「あぁ?」

「わからんのか?」

「わかんねえよ!」

「それさえわからないとはお手上げだな。
近頃の子はどんな教育を受けているんだ?
親の顔が見てみたい。」

鬼頭の素行の悪さ、倫理のなさに嘆く男は、ブツブツ独り言を呟いている。

「ならば教えてやる。立て!」

極めていた肘関節を解き、自分よりも体格の良い鬼頭の首根っこを掴みながら、2人の顔を見渡して言った。

「君達、倒れている子をそこのベンチに座らせてあげなさい。」

中牧と不良少女は呆気にとられて身動き一つとれない。

「何をやっている。2人がかりで肩を貸してあげなさい。
ボケっとしてないで、さぁ早く!」

2人は男に言われたとうり倒れた不良少年を起き上がらせベンチに座らせた。

「さあ、小僧。
理由はともあれここまで激しく暴力を振るった事について誠心誠意、謝罪しろ。」

「謝れば離してくれるのか?」

「これで許すわけではない。
この後、駆けつけてくる警察には突き出すつもりさ。」

「そんなら、謝る意味ねえっての!」

「何をいうか!
ケダモノのまま成人を迎えてしまえば社会通年から大きく逸脱し、もはや矯正は難しくなる。
おまえは中学生だろう?
人格形成上、もっとも大切な時期だ。」

「ゴチャゴチャうるせえなあ!ガキのくせに生意気だぞ!
早よ離せや!コラァ!」

「黙れ!…やや形式的ではあるが、まずは謝罪をする事から始めねばならん。
今から私が直々に腐った性根を叩き直してやらねばなるまい。」

鬼頭は抵抗したが、逃すまいと男が腕を掴む握力にたじろいだ。
誰の目から見ても男の方が明らかに鬼頭より強いーーーー


男により不良カップルの目の前に立たされた鬼頭は、謝罪に追い込まれた。

「スイヤセン。」

「なんだ?ちっとも気持ちがこもっていないじゃないか。
"僕が悪かったです。すみませんでした。"だろう。」

「ぼ、僕が悪かったです…。すみませんでした。」

悔しそうに鬼頭は男を睨んだ。

男は4人掛けテーブルに散乱している菓子パンやスナック菓子に気付いた。

「おい。随分と豪勢だな。
菓子パンパーティーかい?」

しまった!

万引きしていた事がバレてしまう。
中牧は一気に青ざめた。


































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