パパの見た目は15歳〜童顔の大黒柱〜

スーパー・ストロング・マカロン

文字の大きさ
上 下
11 / 88
一章 長男、冬児を守れ!

10

しおりを挟む
「マキゾー、履いているジーパン脱げよ。」

中牧は言葉の意味はわかるが、なぜジーパンを脱がなきゃならないかまったく分からなかった。

「おまえ早よ脱げや~。
テンション下がるべ?熱々のピザが冷めたら不味いだろ?
それと同じだよ。」

まさかの展開に中牧はオロオロしている。

「おい!せっかくのイベントだ。時間が経っちまうと冷めちまうだろうが。」

不良少女の腕を掴み、中牧は倒れている不良少年の顔を跨いで中牧の側に歩み寄った。

「コイツのチンコをベロベロに舐めてやってくれ。
コイツは女とした経験がねえの。
ほんでな、コイツを男にしてやってくんねえかな?
マキゾー、ヤンキー姉ちゃんの気持ちが高まってきたら、本番をしてもいいからな。」

不良カップルは声にならない掠れ声で泣き出した。

公園の時計塔は20時を回った。
6月とはいえ日中に比べて気温が下がり半袖では肌寒い。
時折り吹きすさぶ風が、頬や二の腕を冷やす。
心身ともに追い込まれている3人は、逃げ場のない恐怖に震える実験用の小動物のようだ。

「うぅ…誰か助けて…。」

鬼頭は不良少女を無理やりしゃがみ込ませた。

「おら、いつまでも泣いてんじゃねぇよ!
そこの弱虫彼氏が見てる前でマキゾーのチンコを嬉しそうな顔で舐めろよ。
早くやれおらっ!」

髪を掴んで左右に引っ張る。

「痛い痛い!」

4人は木々に覆われて外側からでは公園の中の様子がうかがえない場所にいる。
いかんせん、昼間でも人通りはない公園だ。
夜間であれば尚更だ。

揉め事があれば通行人によって、学校へ告げ口される事に腹を立てている中牧だが、この時ばかりは通りがかる厄介者がいない現状に絶望した。

鬼頭の指示に逆らえない不良少女の手によって、ジーパンのファスナーが徐々に下されていくなか、中牧は暗闇から何かが動くのを目にした。

雑草が生い茂る放置されたレンガ敷きでできた歩道の先を目を凝らして見る。

暗闇から「ははぁん」とたんがからんだ時のような咳払いをした男の声が聞こえてきた。

その声は中牧だけに聞こえたわけではなかった。

不良少年は精一杯の声で、助けてくださいと叫ぶ。
不良少女は中牧のジーパンから手を離し、声がした方向へ助けを求めて走って行く。

命懸けで助けを乞う不良カップルは熊に襲われたかのような心境だった。

「なんだい。そこで何をしている?」

号泣している不良少女は暗闇からやってきた男の腕を掴み叫ぶ。
混乱している為、"殺される"、"助けて"と単語を述べ掴んだ腕を引っ張って、4人掛けベンチへ連れ出した。

不良少女が説明する間もなく倒れている少年を見つけて言った。

「おい、君は誰にやられたんだ?」

「あ、あの…。」

鼻が折れている不良少年は痛みに耐えながらも、鬼頭に指を差した。

男は指の方向を見ると不敵に笑う鬼頭と目が合う。

「これはおまえがやったのか?」

「関係ないだろ?
それよかおまえは誰よ?なんでここにいる?」

「質問に質問で返すのはよしなさい。
おまえはなぜ、この子達をいじめているんだ?」

「いじめ?コイツらから先に喧嘩を売ってきたんだぞ。
なぁ、マキゾー?」

「確かにウチらからチョッカイは出したけどーーーー」

「けど?なんだい?」

「…あ、大人を呼んできてもらえる?
てか、私は解放されたから警察に電話をすればいいか。」

不良少女は暗闇からやってきた男の顔を見て、頼れる大人ではなく同い年くらいの男子だと判断したのだ。







































しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...