パパの見た目は15歳〜童顔の大黒柱〜

スーパー・ストロング・マカロン

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一章 長男、冬児を守れ!

5 凶暴、凶悪…ヤンキー中学生・鬼頭。

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「おい、待てよ季節原。」

中牧は冬児の座る机に両手を置いて睨みつけた。

「どうしたの?」

「"どうしたの"、じゃねえだろ季節原ぁ?
今朝の事、担任にチクりやがってよ。」

「それは潮田ウッシーを殴って怪我をさせた中牧くんが悪いから先生に言いつけたんだ。」

「怪我だぁ?鼻血くれえで大袈裟なんだよ。
アイツが先に生意気にも俺のスニーカーを踏んづけやがったんだぞ。」

後ろにいる潮田を指差しながら冬児に顔を近づけて言った。

指を指された潮田は挙動不審な行動をとって、教室から一目散に飛び出した。

「中牧くん!言いつけられたからって冬くんに突っかかっていくのはやめなよ!」

女子が冬児を庇って間に入る。

「うるせえ。何にも知らねえくせに口挟むなよ馬鹿女。」

「佐藤さんありがとう。でも僕なら大丈夫。
佐藤さんもみんなも悪いけど先に帰ってよ。」

この後の展開を読めた冬児は友人達を巻き込んでしまう事を恐れて先に下校するよう伝えた。
不安げな顔で友人達は教室に冬児を残し下校していく。


「でも間違えて踏んだと僕はウッシーから聞いているよ。
それ以前に殴るのはダメだろ。」

「俺はな見境がなく殴ったわけじゃない!
潮田は謝りはしたが、わざと俺に気付かれるようにブツブツ何か言ってよ、小馬鹿にして笑いやがるんだぞ!
そんで我慢ならなかったんだ!」

「人って緊張し過ぎると笑ってしまう事ってあるよね。
きっとそれだったんだよ。」

「その場にいなかったおまえにいくら話しても無駄のようだな。
とにかく俺はアイツに小馬鹿にされたんだ。
殴る正当な理由はあった!
それによ、季節原?
潮田は自分の事で揉め事が起きているのに、庇ってくれたおまえを置いて逃げるような奴だぜ?
アイツの性格を見抜けないおまえもかなりのマヌケだ。」

「止めろよ!
僕の友達を悪く言わないでくれ!」

「潮田は仲間を見捨てる卑怯者、いつも猫背で歩く髪が長い陰湿クソ野郎だ!」

友人を貶された冬児は席から立ち上がり中牧を睨んだ。

「なんだ?いい度胸だな。
おまえは俺に喧嘩で勝てると思ってんのかよ?」

冬児は何も答えず中牧を睨み続ける。

「おまえ、マジで俺と喧嘩しようってのか?おい?」

微動だにしない冬児を見て馬鹿にされたと思い、中牧の怒りは燃え上がる。

「このチビ!!」

中牧は叫びながら冬児の顔面にパンチを繰り出したが、反射神経の良い冬児は首を横にしてパンチを避けた。

パンチを避けられた中牧は更に怒りが増し、冬児に猛烈な勢いで接近すると服を掴んで投げ飛ばそうとした。

接近してきた中牧を冬児は足をかけて転ばせた。
机や椅子がない通路ならぶつけて怪我をする事はないだろうと、冬児なりに配慮をした結果だ。

ズデン

「いてて…。季節原ぁ、クソッ!」

すぐに起き上がり中牧は再び冬児に襲いかかろうとするものの、冬児はランドセルを背負って教室を素早く抜け出し、階段を駆け降りて行く。

「待てよ!!まだ終わってねえぞ!!」

階段を下っていく冬児の足音の方が、遥かに早くリズミカルだ。

負けじと息を切らし追ったが、下駄箱のある昇降口に到着した時には冬児は既に門をくぐり抜けており、後ろ姿が米粒に見えるほど小さくなっていた。

「はぁはぁ…。」

パンチを避ける反射神経といい、足の速さといい、もしかして俺より格上なのか。
夕陽が差す校舎の出入り口で転んだ時にぶつけた膝を手でさすった。

そんなはずがない、身長も力も俺の方が上だ。
季節原は身体が身軽なだけじゃないかと心の中で自分自身に言い聞かせた。

しかし、どんなに自分が勝っていると言い聞かせても、冬児に敗北したという気持ちが拭い去れず自宅までの足取りは重かった。
校舎がある住宅街を通り抜け、アパートやスナックが多い幹線道路を俯いて中牧は歩いていく。

「マキゾー!」

「あっ、鬼頭くん。」

髪を刈り上げたフェードスタイルの中学生が、わざとらしいガニ股で中牧に近づいていく。

「暗い顔してどうしたんだ?」

「いや、別に…?」

「別にって事ないべ。なんかあったんだろ?」

「とくに何もないよ。」

「嘘つけぇ。ぜってぇーなんかあった顔だ。
俺に隠す必要ねえべ。」

中牧は自宅とは反対の方向へ進路を変えると、鬼頭は顔色が変わった。

「マキゾー、先輩の俺が心配してやってんのにその態度はなんのつもりだ。
おめえの家はそっち方面じゃねえべ。
俺を避けてんのか?
まだチン毛も生えてねえガキのくせに生意気だぞ。」

鬼頭は中牧の首に腕を回してチョークスリーパーをかけ始めた。
呼吸ができなくなった中牧はジタバタ暴れて首を締め付ける腕を解こうとするが、中学生の腕力には敵わずもがき苦しんでいる。

「言わないとこのままじゃ失神するぞ。
どうする?吐くか?」

まるでラットを締め殺す蛇のようにギュッギュッと首を容赦なく締め付ける。

「ぐぅ、い、言う、言うよ。」

「言ったな?二言はねえだろうな。」

意識が遠のいていく中牧は腕を力無くタップした。

「よーし、おまえの負けだ。約束は守れよ。」

中学生離れした太く逞しい腕を持つ鬼頭は中牧を解放してやった。
































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