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ラスト あれから
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エレベーターで1階まで降りるつもりだったが、しばらく待っても最上階で止まったまま下に降りてくる気配がなかった。
イラつき始めたウミは階段を猛ダッシュして駆け降りていく。
ダダダダダッ!
1階に辿り着いたウミはエレベーターに目をやると、最上階で止まったままピクリとも動かないエレベーターに呆れていた。
マンション周辺は所々に街灯があり、オオニシの住むアパートとの間に植えられている桜の木が美しくライトアップされている。
考えもなしに闇雲に探し回ろうと身体が動いたが、沿道から花ビラがヒラヒラ舞い落ちる夜桜を目にした時、ソラが桜を見たがっていたのを思い出した。
ウミが立っているオオニシのアパート付近の桜の木は20メートルくらい先まで花ビラを咲かせているが、その先は高架下にぶつかりけたたましくトラックが高速道路を走り抜ける。
探す当てがない為、有力な手がかりがないなか、ソラの発言や性格をもとに探すほかなかった。
結局ウミはあっという間に高架下まで辿り着き、発見できたのは昼に降った雨がコンクリートの天井からつたってできた水溜りのみだ。
ノイズを撒き散らす高架下から大切な耳を守る為、無意識に両耳を手で塞ぎながらもう一度、オオニシが住むアパートまで小走りで戻った。
スマホから着信が鳴る。
自然とソラから連絡が入ったと思い、ジーンズのポケットから急いで取り出そうとして、桜の木が植えられている土に落としてしまった。
落としたスマホを素早く拾い上げ、画面を見る。
妻ではなく義妹からだった。
「ユウシンもユウシンのご両親も見かけてないって。
お義兄さんは姉貴を見つけられた?」
「いや、俺も以前に桜が見たいって言っていたのを思い出して、桜が咲く高架下周辺付近を探しに行ったんだけどいなかったよ。」
「そっか。姉貴のヤツほんとにどこ行っちゃったんだろう?
まったく世話を焼かせるんだから、あのバカ!」
セラは声を荒げたが、どことなく寂しげだったし、心配をかけてしまった義兄に気を遣っていたのだ。
2人はひととおり話を済ませて、ソラの捜索を再開した。
ソラが良く利用するコンビニや引越し後、初詣で訪れた神社、川付近にある散歩コースに最適な遊歩道ーーーー
様々なスポットを見て回ったが妻を見つける事はできずにいた。
若く体力のあるウミではあるが疲労の色が濃く、たまたま発見した公園のブランコに腰をおろして休もうとした時、マンションとマンションの間に存在する街全体を見晴らす事ができるスポットを思い出して、急傾斜の長い階段を走り出した。
タッタッタッタッ
疲れた身体に鞭を打って階段を上って行く。
息を切らして上った階段が頂上付近まで差し掛かった時、ウミは落胆してその場にへたり込んでしまった。
大方予想はしていたが妻の姿はなかった。
ウミは最後まで上りきらず、顔の位置を階段方向ではなく景色が見渡せる方向に向けた。
額から滝のような汗が流れ、手の甲で拭くが目に汗が入って痛みを感じている。
「アイツ、ふぅ、ふぅ、どこに行きやがったんだ…ふぅ、ふぅ…。」
寝転がるような姿勢になり、前方の景色から真上の空を眺めた。
「あー疲れた…。」
黒い雲が月を覆い隠したかと思えばまた姿を見せる。
珍しさなどない、よくある日常の風景ではあるが何度見ようと幻想的であるのは間違いない。
ソラもあの雲みたいに、俺にベタベタくっついたりなんの前触れもなく突然離れたり…よくわかんねえ女だよな。
心の中でウミは呟く。
呼吸も整い少し体力も回復したので、ウミは残りの5段を上がり切った。
ビル風が吹きウミのサラサラな青髪が風に靡く。
強風のせいで汗で濡れた身体がみるみる冷えてしまった。
「そういやアイツ…ブッ!」
ウミは景色を見て、とある出来事を思い出す。
風の冷たさなんて忘れ白い歯を見せて笑った。
現在住むマンションに引っ越してきたばかりの頃、ソラと軽トラックでドライブをしていた時だ。
助手席に座るソラはやや左斜め前方のマンションとマンションの間の階段がある辺りを指を差した。
富士山が見えるから近くで眺めたい。
車からおろして欲しいと懇願され、ウミは断る理由もなかったので軽トラックを路肩に停めて富士山を眺めに行く事にした。
ソラはフワフワな胸の谷間に食い込むように埋もれたシートベルトを手際よく外し、階段側へかけて行った。
軽トラックをおりてドアロックをかけている際、小学生のようにはしゃぐ妻が両手を振って早く来てと呼んでいた。
ウミがソラの近くまで寄ると、武装するソラがシュゴシュゴと呼吸音をいつもより鳴らして興奮気味に富士山を見ていた。
特にこれといって富士山には思い入れがなかったウミでさえ、太陽に照らされ雪化粧を施して雄大にそびえ立つ富士山に瞳を輝かせたほどだ。
隣にいるソラはウサギのようにピョンピョン飛び跳ねてウミに抱きついた。
新生活をスタートさせたばかりの街でも、富士山が見える事を喜ぶソラに対して、なぜだがウミは同調する素振りは見せずそっけない態度をとった。
理由は今もわからない。
段数も多く急な階段だからだろうか。
階段を上る人どころか下る人もいない。
しばらく無言で富士山を眺めた後、あれだけうるさかったソラが静かになっている事に気付き、ウミは首を横にしてソラを見ると先にソラがウミを見つめていた。
ここなら武装を外しても誰もいないから平気よねと言いソラは武装を外した顔でニッコリ笑っていた。
ソラの背後から吹くビル風が黒髪を靡かせて白い頬を撫でていた。
再びソラは視線をウミから見晴らしの良い場所に変えて景色を眺めながら言った。
私達が住むマンションは見えるかな?
セラの散らかったお部屋は?
私が働く写真スタジオやオオニシさんの住むアパートも見える?
ソラはまた口数が多くなった。
私ね観光地にしかない特別な景色も好きだけど、多くの人が見向きもしない普通の景色が大好きなの。
だって私の隣にいるのがウミだよ?
愛する旦那様と一緒にいる街はどれも全部特別なんだ。
あの無愛想なおばさんがいるスーパーも、こないだ連れて行ってくれたバッティングセンターも、あとはね、んーと、どこだ?あったあった!
あの砂城院家が経営するドラッグストアも!
みんな、みんなぜーんぶ。
建物に指を差しながらソラは笑顔で言った。
よく晴れた昼下がり、ありふれた住宅街を一望したウミはソラの影響を少なからず受けて目の前の風景が美しく見えた。
ソラはこの見晴らしの良い場所から、あのジオラマのような街で私達は夫婦として生活をしている。
この見晴らしの良い場所から私達が日常を過ごす自分達を見れたら面白いね。
今ここにいる自分が、風景の一部として存在する自分を見るって事か?
不思議な事を言うヤツだなとウミは思った時、ソラは悲鳴をあげた。
履いていたミニのレザースカートが風で舞い上がり、太腿から尻にかけて丸見えになった。
すぐに手で押さえたが、今度は反対に鼠蹊部側が風で捲れた。
ウミはジオラマの街に住む俺達がおまえのパンツを見ているぜと言った。
ソラは小馬鹿にされて怒り出し、やり返してやろうとウミのジーパンを脱がしにかかった時、強いビル風が吹き抜けてゆき、またもやソラのレザースカートを捲った。
人通りはないものの誰かに見られたのではないかと心配になり、たまらずソラは白い顔を赤く染めて恥ずかしそうに車を停めた場所へ戻った。
イラつき始めたウミは階段を猛ダッシュして駆け降りていく。
ダダダダダッ!
1階に辿り着いたウミはエレベーターに目をやると、最上階で止まったままピクリとも動かないエレベーターに呆れていた。
マンション周辺は所々に街灯があり、オオニシの住むアパートとの間に植えられている桜の木が美しくライトアップされている。
考えもなしに闇雲に探し回ろうと身体が動いたが、沿道から花ビラがヒラヒラ舞い落ちる夜桜を目にした時、ソラが桜を見たがっていたのを思い出した。
ウミが立っているオオニシのアパート付近の桜の木は20メートルくらい先まで花ビラを咲かせているが、その先は高架下にぶつかりけたたましくトラックが高速道路を走り抜ける。
探す当てがない為、有力な手がかりがないなか、ソラの発言や性格をもとに探すほかなかった。
結局ウミはあっという間に高架下まで辿り着き、発見できたのは昼に降った雨がコンクリートの天井からつたってできた水溜りのみだ。
ノイズを撒き散らす高架下から大切な耳を守る為、無意識に両耳を手で塞ぎながらもう一度、オオニシが住むアパートまで小走りで戻った。
スマホから着信が鳴る。
自然とソラから連絡が入ったと思い、ジーンズのポケットから急いで取り出そうとして、桜の木が植えられている土に落としてしまった。
落としたスマホを素早く拾い上げ、画面を見る。
妻ではなく義妹からだった。
「ユウシンもユウシンのご両親も見かけてないって。
お義兄さんは姉貴を見つけられた?」
「いや、俺も以前に桜が見たいって言っていたのを思い出して、桜が咲く高架下周辺付近を探しに行ったんだけどいなかったよ。」
「そっか。姉貴のヤツほんとにどこ行っちゃったんだろう?
まったく世話を焼かせるんだから、あのバカ!」
セラは声を荒げたが、どことなく寂しげだったし、心配をかけてしまった義兄に気を遣っていたのだ。
2人はひととおり話を済ませて、ソラの捜索を再開した。
ソラが良く利用するコンビニや引越し後、初詣で訪れた神社、川付近にある散歩コースに最適な遊歩道ーーーー
様々なスポットを見て回ったが妻を見つける事はできずにいた。
若く体力のあるウミではあるが疲労の色が濃く、たまたま発見した公園のブランコに腰をおろして休もうとした時、マンションとマンションの間に存在する街全体を見晴らす事ができるスポットを思い出して、急傾斜の長い階段を走り出した。
タッタッタッタッ
疲れた身体に鞭を打って階段を上って行く。
息を切らして上った階段が頂上付近まで差し掛かった時、ウミは落胆してその場にへたり込んでしまった。
大方予想はしていたが妻の姿はなかった。
ウミは最後まで上りきらず、顔の位置を階段方向ではなく景色が見渡せる方向に向けた。
額から滝のような汗が流れ、手の甲で拭くが目に汗が入って痛みを感じている。
「アイツ、ふぅ、ふぅ、どこに行きやがったんだ…ふぅ、ふぅ…。」
寝転がるような姿勢になり、前方の景色から真上の空を眺めた。
「あー疲れた…。」
黒い雲が月を覆い隠したかと思えばまた姿を見せる。
珍しさなどない、よくある日常の風景ではあるが何度見ようと幻想的であるのは間違いない。
ソラもあの雲みたいに、俺にベタベタくっついたりなんの前触れもなく突然離れたり…よくわかんねえ女だよな。
心の中でウミは呟く。
呼吸も整い少し体力も回復したので、ウミは残りの5段を上がり切った。
ビル風が吹きウミのサラサラな青髪が風に靡く。
強風のせいで汗で濡れた身体がみるみる冷えてしまった。
「そういやアイツ…ブッ!」
ウミは景色を見て、とある出来事を思い出す。
風の冷たさなんて忘れ白い歯を見せて笑った。
現在住むマンションに引っ越してきたばかりの頃、ソラと軽トラックでドライブをしていた時だ。
助手席に座るソラはやや左斜め前方のマンションとマンションの間の階段がある辺りを指を差した。
富士山が見えるから近くで眺めたい。
車からおろして欲しいと懇願され、ウミは断る理由もなかったので軽トラックを路肩に停めて富士山を眺めに行く事にした。
ソラはフワフワな胸の谷間に食い込むように埋もれたシートベルトを手際よく外し、階段側へかけて行った。
軽トラックをおりてドアロックをかけている際、小学生のようにはしゃぐ妻が両手を振って早く来てと呼んでいた。
ウミがソラの近くまで寄ると、武装するソラがシュゴシュゴと呼吸音をいつもより鳴らして興奮気味に富士山を見ていた。
特にこれといって富士山には思い入れがなかったウミでさえ、太陽に照らされ雪化粧を施して雄大にそびえ立つ富士山に瞳を輝かせたほどだ。
隣にいるソラはウサギのようにピョンピョン飛び跳ねてウミに抱きついた。
新生活をスタートさせたばかりの街でも、富士山が見える事を喜ぶソラに対して、なぜだがウミは同調する素振りは見せずそっけない態度をとった。
理由は今もわからない。
段数も多く急な階段だからだろうか。
階段を上る人どころか下る人もいない。
しばらく無言で富士山を眺めた後、あれだけうるさかったソラが静かになっている事に気付き、ウミは首を横にしてソラを見ると先にソラがウミを見つめていた。
ここなら武装を外しても誰もいないから平気よねと言いソラは武装を外した顔でニッコリ笑っていた。
ソラの背後から吹くビル風が黒髪を靡かせて白い頬を撫でていた。
再びソラは視線をウミから見晴らしの良い場所に変えて景色を眺めながら言った。
私達が住むマンションは見えるかな?
セラの散らかったお部屋は?
私が働く写真スタジオやオオニシさんの住むアパートも見える?
ソラはまた口数が多くなった。
私ね観光地にしかない特別な景色も好きだけど、多くの人が見向きもしない普通の景色が大好きなの。
だって私の隣にいるのがウミだよ?
愛する旦那様と一緒にいる街はどれも全部特別なんだ。
あの無愛想なおばさんがいるスーパーも、こないだ連れて行ってくれたバッティングセンターも、あとはね、んーと、どこだ?あったあった!
あの砂城院家が経営するドラッグストアも!
みんな、みんなぜーんぶ。
建物に指を差しながらソラは笑顔で言った。
よく晴れた昼下がり、ありふれた住宅街を一望したウミはソラの影響を少なからず受けて目の前の風景が美しく見えた。
ソラはこの見晴らしの良い場所から、あのジオラマのような街で私達は夫婦として生活をしている。
この見晴らしの良い場所から私達が日常を過ごす自分達を見れたら面白いね。
今ここにいる自分が、風景の一部として存在する自分を見るって事か?
不思議な事を言うヤツだなとウミは思った時、ソラは悲鳴をあげた。
履いていたミニのレザースカートが風で舞い上がり、太腿から尻にかけて丸見えになった。
すぐに手で押さえたが、今度は反対に鼠蹊部側が風で捲れた。
ウミはジオラマの街に住む俺達がおまえのパンツを見ているぜと言った。
ソラは小馬鹿にされて怒り出し、やり返してやろうとウミのジーパンを脱がしにかかった時、強いビル風が吹き抜けてゆき、またもやソラのレザースカートを捲った。
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