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覚醒!怒り狂うソラ!
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バンドメンバーやスタッフ以外の無関係な人々がステージ上に集結する異常事態になった。
「おいソラぁぁ!何してやがんだ!?
けぇーれ!けぇーれよ!」
妹と母は口々に、ソラを怒鳴るウミに駆け寄り怪我はないか聞いている。
かつらとともに砂城院家の従業員はソラに追いつき腕を掴んだ。
「痛いよぉぉぉ!離してぇ!
今から私はウミを傷つけたこの変態ネズミを殺すんだから邪魔しないでぇ!」
「ソラちゃん!?後はワタクシ達に任せて!」
「ダメ!コイツは私が始末するぅ!
ウミを虐めたら絶対に許さないんだからぁ!」
ヒロコもソラの説得を始めたが、頑として譲らない。
ミカミの近くで怒り狂う姉を追いかけてきた妹も観客席までやってきた。
「姉貴!?」
「アンタ、ナイフかなんか持ってない?
コイツのお腹をエグって内臓をグチャグチャにしてやる!」
「あ、あたしが凶器なんか持っているわけないじゃん!」
大切な人を傷つけられた怒りと憎しみの感情はますます膨れ上がり、ソラの顔は今までにない破壊的で狂気に満ちた、怪しくも美しい表情を魅せた。
「はぐぁ。め、女神…?
どうしてここへ?俺を避けて逃げ回っていたのに…。
ついに、俺を選んでくれたのかい?」
朦朧とする意識のなか、ソラの声を聞いたミカミは、目をカッと見開き期待に胸を弾ませた。
良薬を服薬する事や救命措置を施す事より効果があるのかもしれない。
口から垂れたヨダレを手で拭い、トランクスのみ着用している半裸の変態男は、血を垂らしながら産まれたての仔馬のようにヨロヨロおぼつかない足で立ち上がった。
「フッフッフ。女神…愛しているよ。
なんなら、みんなが見ている前でヤろうか?
旦那より満足させてあげるから。」
「あの変態、この後に及んでまだ言うか…。」
ヒロコが言った言葉を姉妹の母は聞いていた。
「こっちへ来るよ!
姉貴は危ないから引っ込んでて!」
セラの発言に、そばに居た関係者全員がミカミを取り押さえようとした。
「どけよてめえら!どけってんだ!」
人集りを一蹴しウミは威勢よくミカミを取り押さえようと向かって行った時だ。
ガシャッ!
近くにいた皆の耳に鈍い音が響き渡った。
どこからか見つけてきたパイプ椅子で、ソラはミカミの脳天を持てる力全てを出しきって叩いた。
ノックアウトされたミカミは受け身を取る事さえできず、そのまま固い床に前のめりで倒れた。
場内から一般客の悲鳴があがった!
間もなくミカミの頭部からおびただしい量の鮮血が流れ、血液があちらこちらに枝分かれして床を赤く染めていく。
「おまえの身体がドロドロになるまで止めないんだから!」
ソラの怒りは収まっておらず、更に追い打ちをかけるべくパイプ椅子を天井へ向けて振り上げた。
「やめろソラァ!」
頭上の1番高い位置から力いっぱい振り下ろす瞬間、乳房をプルンと揺らしたソラはウミに掌ごと、ガッチリ握られて止めた。
「なんでぇ?コイツ、ウミを襲ったんだよぉ!?」
「これ以上、コイツを痛めつけたら死ぬぞ。」
「そうよぉ!殺す為に私はやっているのよぉ!
こんな変態は殺した方がいいわ!」
「俺は大丈夫、ノーダメージだ。
ギグは良いとこで中断しちまったけどな。」
「そんならノーダメージではないじゃん!ちゃんと息の根を止めてやらなきゃならないわ!
死んだら砂城院家に頼んで、この変態ネズミの死骸をワニやハゲタカの餌にしてやるんだ!
あっ?まだ生きている!このおぉぉ!」
「ソラァ!!もう止めろってば!!」
錯乱するソラをウミは強く抱き寄せた。
ガチャン!
頑丈なパイプ椅子は繊細で美しいソラの手から滑り落ち床に落ちた。
ソラは正面から抱きしめられた事で、憑き物が落ちたように静かになると、クリクリした大きな黒目を潤ませてゆっくり瞬きした。
「ゆふれらいれしょ?最愛の人がおほわれちゃら…。(許せないでしょ?最愛の人が襲われたら…。)
愛するウミに一途でピュアなソラは無色透明の涙を流し、ウミの胸に顔を埋めてシクシク泣いた。
「消化器で襲われた俺の事を想ってやってくれたんだろ?
夫としてすげえ嬉しいよ!
同時にそんなおまえの気持ちを蔑しろにして悪かった。
でもな、これ以上はやらなくていいんだ。」
「はぁい…。」
「もうギグは終いだな。撤収するか。」
「待って、ウミィ…。私の事、何をしでかすかわからないアブナイ女だと思ったよね?」
「アブナイ女っつーか、ロックだなって思ったな、俺は。」
「ロック…。」
「そうだ。ロックだ!」
「…褒め言葉だよね?」
「サイコーの褒め言葉に決まってんじゃん!」
「愛してるぅぅぅ!」
ソラはウミの首を掴み、背伸びをしてキスをした。
「おまえ、みんな見てんだぞ!お義母さんだっているのに!」
「いいもん。ママが見ていようが関係ないわ。
結婚しているのだから、あの頃みたいにとやかく言わせないよぉ。」
ミカミを追っていたオオニシ、ユウシン、トモキも砂城院家の従業員とともに会場へやってきた。
茫然とする観客をよそに、サングラスをかけた従業員の男がミカミに腰紐を結び、怪我を考慮せず乱暴に拘束した。
「おいソラぁぁ!何してやがんだ!?
けぇーれ!けぇーれよ!」
妹と母は口々に、ソラを怒鳴るウミに駆け寄り怪我はないか聞いている。
かつらとともに砂城院家の従業員はソラに追いつき腕を掴んだ。
「痛いよぉぉぉ!離してぇ!
今から私はウミを傷つけたこの変態ネズミを殺すんだから邪魔しないでぇ!」
「ソラちゃん!?後はワタクシ達に任せて!」
「ダメ!コイツは私が始末するぅ!
ウミを虐めたら絶対に許さないんだからぁ!」
ヒロコもソラの説得を始めたが、頑として譲らない。
ミカミの近くで怒り狂う姉を追いかけてきた妹も観客席までやってきた。
「姉貴!?」
「アンタ、ナイフかなんか持ってない?
コイツのお腹をエグって内臓をグチャグチャにしてやる!」
「あ、あたしが凶器なんか持っているわけないじゃん!」
大切な人を傷つけられた怒りと憎しみの感情はますます膨れ上がり、ソラの顔は今までにない破壊的で狂気に満ちた、怪しくも美しい表情を魅せた。
「はぐぁ。め、女神…?
どうしてここへ?俺を避けて逃げ回っていたのに…。
ついに、俺を選んでくれたのかい?」
朦朧とする意識のなか、ソラの声を聞いたミカミは、目をカッと見開き期待に胸を弾ませた。
良薬を服薬する事や救命措置を施す事より効果があるのかもしれない。
口から垂れたヨダレを手で拭い、トランクスのみ着用している半裸の変態男は、血を垂らしながら産まれたての仔馬のようにヨロヨロおぼつかない足で立ち上がった。
「フッフッフ。女神…愛しているよ。
なんなら、みんなが見ている前でヤろうか?
旦那より満足させてあげるから。」
「あの変態、この後に及んでまだ言うか…。」
ヒロコが言った言葉を姉妹の母は聞いていた。
「こっちへ来るよ!
姉貴は危ないから引っ込んでて!」
セラの発言に、そばに居た関係者全員がミカミを取り押さえようとした。
「どけよてめえら!どけってんだ!」
人集りを一蹴しウミは威勢よくミカミを取り押さえようと向かって行った時だ。
ガシャッ!
近くにいた皆の耳に鈍い音が響き渡った。
どこからか見つけてきたパイプ椅子で、ソラはミカミの脳天を持てる力全てを出しきって叩いた。
ノックアウトされたミカミは受け身を取る事さえできず、そのまま固い床に前のめりで倒れた。
場内から一般客の悲鳴があがった!
間もなくミカミの頭部からおびただしい量の鮮血が流れ、血液があちらこちらに枝分かれして床を赤く染めていく。
「おまえの身体がドロドロになるまで止めないんだから!」
ソラの怒りは収まっておらず、更に追い打ちをかけるべくパイプ椅子を天井へ向けて振り上げた。
「やめろソラァ!」
頭上の1番高い位置から力いっぱい振り下ろす瞬間、乳房をプルンと揺らしたソラはウミに掌ごと、ガッチリ握られて止めた。
「なんでぇ?コイツ、ウミを襲ったんだよぉ!?」
「これ以上、コイツを痛めつけたら死ぬぞ。」
「そうよぉ!殺す為に私はやっているのよぉ!
こんな変態は殺した方がいいわ!」
「俺は大丈夫、ノーダメージだ。
ギグは良いとこで中断しちまったけどな。」
「そんならノーダメージではないじゃん!ちゃんと息の根を止めてやらなきゃならないわ!
死んだら砂城院家に頼んで、この変態ネズミの死骸をワニやハゲタカの餌にしてやるんだ!
あっ?まだ生きている!このおぉぉ!」
「ソラァ!!もう止めろってば!!」
錯乱するソラをウミは強く抱き寄せた。
ガチャン!
頑丈なパイプ椅子は繊細で美しいソラの手から滑り落ち床に落ちた。
ソラは正面から抱きしめられた事で、憑き物が落ちたように静かになると、クリクリした大きな黒目を潤ませてゆっくり瞬きした。
「ゆふれらいれしょ?最愛の人がおほわれちゃら…。(許せないでしょ?最愛の人が襲われたら…。)
愛するウミに一途でピュアなソラは無色透明の涙を流し、ウミの胸に顔を埋めてシクシク泣いた。
「消化器で襲われた俺の事を想ってやってくれたんだろ?
夫としてすげえ嬉しいよ!
同時にそんなおまえの気持ちを蔑しろにして悪かった。
でもな、これ以上はやらなくていいんだ。」
「はぁい…。」
「もうギグは終いだな。撤収するか。」
「待って、ウミィ…。私の事、何をしでかすかわからないアブナイ女だと思ったよね?」
「アブナイ女っつーか、ロックだなって思ったな、俺は。」
「ロック…。」
「そうだ。ロックだ!」
「…褒め言葉だよね?」
「サイコーの褒め言葉に決まってんじゃん!」
「愛してるぅぅぅ!」
ソラはウミの首を掴み、背伸びをしてキスをした。
「おまえ、みんな見てんだぞ!お義母さんだっているのに!」
「いいもん。ママが見ていようが関係ないわ。
結婚しているのだから、あの頃みたいにとやかく言わせないよぉ。」
ミカミを追っていたオオニシ、ユウシン、トモキも砂城院家の従業員とともに会場へやってきた。
茫然とする観客をよそに、サングラスをかけた従業員の男がミカミに腰紐を結び、怪我を考慮せず乱暴に拘束した。
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