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迫り来る恐怖!
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「舞台袖で間違いないんだな?
さっそく、実行に移させてもらおう!」
猫背のミカミは通路を走り、ステージ袖でライブを観るソラへ一目散に向かって行った。
「アイツ、最低だな…。女性を襲う計画を立てていたなんて。」
「はい…。煽りはしましたが、さすがに性的な事をしたがっていたとは思いませんでしたからね。
あのようなクズとは金輪際、関わるのはよしましょう。」
「女神、俺の愛しき女神ぃ!待っていてね!」
曲が終わり拍手や歓声が湧きあがる。
「おまえらありがとうな!」
MCでウミはオーディエンスにクールに告げた。
ライブも終盤に差し掛かると、バンドは集中力を切らさず全力で曲を演奏した。
「you should love your self」
「消えてしまいたくなったらこちらへおいで
ここなら過去を捨てられるから
グルグルまわるキャンディ
果てない夢へ向かう列車
ハグが好きなクマのぬいぐるみ
あなたが望むなら
いつまでも扉は開いているよ
安らぎの空間とともに」
曲は間奏に入る。
マイクスタンドから数歩下がり、腕の長いウミは難なくギターソロを低いポジションで弾き始めた。
「はぁ、はぁ、はぁ…。あっ?いた!」
ミカミは引っ込んだ場所にあるトイレ付近の壁に身を潜めた。
「はぁ、はぁ…うぅぅ。」
胸の高鳴りを抑えようと呼吸を整えながらステージ袖を凝視している。
「案の定、妹ちゃんがいるのは想定内だとしても、他のメンツは…あのヤクザもいやがる!ガキどもまで!」
これではステージ袖に突入したところで捕まりに行くようなものだ。
ミカミは頭を抱えた。
「そろそろマイスクの皆さん、スタンバイお願いします。」
ニシがプロデュースするバンドのスタッフがザ・マイドリーム・スクラッチのドレッシングルームのドアを開けて伝えている。
「やってやる!やってやるぞ!」
さすがの変態ネズミも到底上手くいくとはサラサラ思っていなかったが、ミカミはこの戦法に賭けることにした。
「失礼しまーす!」
スタッフがドアを閉めた時、背後から近づいた。
「あ、あんたさ。
今すぐあそこにいる派手な格好をした女の子を呼んでくれないかな?
名前はソラだ。」
「はぁ?」
「俺は彼らが歌い終えるまでライブに必要な物を楽屋で探さなきゃならないんだが、自分1人では無理なんだ。
すぐ楽屋に来るよう言ってくれないか?」
見知らぬ男に、使いっ走りにされる事をボソボソ文句を言いつつも若いスタッフは揉めたくなかったようで拒否する事はなかった。
怠そうな足どりでソラがいるステージ袖に向かっていく。
スタッフの若い男はトイレ付近に屯ろすミカミを警戒する事はなかった。
きっとウミのバンドの関係者なのだろう。そう思っていたからだ。
その間にミカミは急いでウミの居たドレッシングルームに侵入していく。
「あの、ソラさんですか?」
「はい?」
「関係者の方が呼んでますけど。」
「え?関係者?」
ソラは周囲の人らに話しかけようとしたが、妹も母も熱心にライブを観ており、かつらやロックにまるっきり興味を持たなかったユウシンやトモキでさえも惹き込まれている。
邪魔をしてはならないという心遣いでスタッフから言われた事をみんなには伝えなかった。
「俺、伝えましたんで…。」
ド派手なメイクを施したとはいえ、美人なソラを見て固まったスタッフと話を切り上げ、呼び出す者が誰かわからないままドレッシングルームへ歩いた。
コンコン
返事はなく静まり返っている。
なんとなく異変を察したソラは身構えながらドアノブを回して開けた。
「あの?どなた?」
ミカミは質問には答えずソラを襲った。
さっそく、実行に移させてもらおう!」
猫背のミカミは通路を走り、ステージ袖でライブを観るソラへ一目散に向かって行った。
「アイツ、最低だな…。女性を襲う計画を立てていたなんて。」
「はい…。煽りはしましたが、さすがに性的な事をしたがっていたとは思いませんでしたからね。
あのようなクズとは金輪際、関わるのはよしましょう。」
「女神、俺の愛しき女神ぃ!待っていてね!」
曲が終わり拍手や歓声が湧きあがる。
「おまえらありがとうな!」
MCでウミはオーディエンスにクールに告げた。
ライブも終盤に差し掛かると、バンドは集中力を切らさず全力で曲を演奏した。
「you should love your self」
「消えてしまいたくなったらこちらへおいで
ここなら過去を捨てられるから
グルグルまわるキャンディ
果てない夢へ向かう列車
ハグが好きなクマのぬいぐるみ
あなたが望むなら
いつまでも扉は開いているよ
安らぎの空間とともに」
曲は間奏に入る。
マイクスタンドから数歩下がり、腕の長いウミは難なくギターソロを低いポジションで弾き始めた。
「はぁ、はぁ、はぁ…。あっ?いた!」
ミカミは引っ込んだ場所にあるトイレ付近の壁に身を潜めた。
「はぁ、はぁ…うぅぅ。」
胸の高鳴りを抑えようと呼吸を整えながらステージ袖を凝視している。
「案の定、妹ちゃんがいるのは想定内だとしても、他のメンツは…あのヤクザもいやがる!ガキどもまで!」
これではステージ袖に突入したところで捕まりに行くようなものだ。
ミカミは頭を抱えた。
「そろそろマイスクの皆さん、スタンバイお願いします。」
ニシがプロデュースするバンドのスタッフがザ・マイドリーム・スクラッチのドレッシングルームのドアを開けて伝えている。
「やってやる!やってやるぞ!」
さすがの変態ネズミも到底上手くいくとはサラサラ思っていなかったが、ミカミはこの戦法に賭けることにした。
「失礼しまーす!」
スタッフがドアを閉めた時、背後から近づいた。
「あ、あんたさ。
今すぐあそこにいる派手な格好をした女の子を呼んでくれないかな?
名前はソラだ。」
「はぁ?」
「俺は彼らが歌い終えるまでライブに必要な物を楽屋で探さなきゃならないんだが、自分1人では無理なんだ。
すぐ楽屋に来るよう言ってくれないか?」
見知らぬ男に、使いっ走りにされる事をボソボソ文句を言いつつも若いスタッフは揉めたくなかったようで拒否する事はなかった。
怠そうな足どりでソラがいるステージ袖に向かっていく。
スタッフの若い男はトイレ付近に屯ろすミカミを警戒する事はなかった。
きっとウミのバンドの関係者なのだろう。そう思っていたからだ。
その間にミカミは急いでウミの居たドレッシングルームに侵入していく。
「あの、ソラさんですか?」
「はい?」
「関係者の方が呼んでますけど。」
「え?関係者?」
ソラは周囲の人らに話しかけようとしたが、妹も母も熱心にライブを観ており、かつらやロックにまるっきり興味を持たなかったユウシンやトモキでさえも惹き込まれている。
邪魔をしてはならないという心遣いでスタッフから言われた事をみんなには伝えなかった。
「俺、伝えましたんで…。」
ド派手なメイクを施したとはいえ、美人なソラを見て固まったスタッフと話を切り上げ、呼び出す者が誰かわからないままドレッシングルームへ歩いた。
コンコン
返事はなく静まり返っている。
なんとなく異変を察したソラは身構えながらドアノブを回して開けた。
「あの?どなた?」
ミカミは質問には答えずソラを襲った。
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