私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

文字の大きさ
上 下
250 / 275
ステージへ!

249

しおりを挟む
3人の呼吸がピッタリ合って、激しいステージになっている。
先ほどのようなアクシデントが嘘のようだ。

オーディエンスはヤジを飛ばすわけではないが、冷たい眼差しでステージ上の3人を見ている。


「彼らは、3曲ともコピーばかりだね。」

「頭の悪いウミの苦肉の策といったところでしょう。
まぁ、メンバーがいないからオリジナル曲ができないわけで。」




3人はマシンガンをぶっ放すように暴れ回った。
曲が終わるとステージ上の熱とは反対に覇気のない、まばらの拍手だ。

ウミは2人がグッタリしているのを見て、MCをする。

「あー、おまえら、何の話かわからないだろうが、俺達は誰かに作られたバンドじゃねえのさ。
音楽が、ロックが好きな集まりなんだ。」

再びブーイングが巻き起こる。

「おい!?おまえらさ、俺らにむかついてんだろ?
なぁ?おまえらの怒りってのは、こんなもんかよ!」

オーディエンスはウミに煽られて、更にヒートアップしていく。

「暴動を起こしてみろや!」

ウミはギターを弾きながら煽るのをやめない。

オーディエンスは猛り狂った。

「ウミはなんでお客さんと仲良くしないの?
喧嘩はダメよぉ…。」

ソラは両隣にいるセラとかつらの顔をキョロキョロ見ながら言った。

「ワタクシも、喧嘩はよくないと思います。」

「クラシックのコンサートとは違う事はわかるけど。」

困惑している3人娘の気持ちなど露知らず、ウミは燃料を投下するのをやめなかった。

「おいおいおい!!次はどうしようもねぇ、クソバンドが出てくる。
おまえらはそれを観にきてるんだろ?
それなら、おまえらもどうしようもねえ、クソだって事だ!」

マイクから耳をつんざくようなハウリングが生じた後、怒鳴り散らしたウミはわざとらしく高笑いをした。

会場の前方にいる観客、2階で観ている客から一斉にゴミが投げつけられた。

ステージ下にいるセキュリティや砂城院家の従業員が派手に暴れ回っている客を抑えつけ始めたが、ウミはその客がいる目の前まで近づき、舌を出して挑発している。

ここまで我慢に我慢を重ねて見ていたオオニシが、血相を変えてステージに立ち、喧嘩が発生している渦の中へ飛び込み、殴りかかった。

「オオニシさん!」

ヒロコは目が座ったオオニシを見て、カメラを止めて見ている。

3人娘も止める暇さえなかったし、鬼と化したオオニシを止めようにも止められないだろう。

オーディエンスは突然やってきて暴力を振るうオオニシの風貌、行動に恐れをなしている。

会場にいる誰もがステージを見るものはおらず、オオニシや暴れる観客に釘付けだ。

「ウミはこの後、どうするつもり?」

不安で張り裂けそうになっているソラが、かつらに言った時、後ろからの3人の男が慌てて走り出してきた。

「痛ッ!」

横切る際、かつらの肩に腕が少し当たったが男は謝る事なくステージ袖から飛び出して行った。




























しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

【完結】愛くるしい彼女。

たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。 2023.3.15 HOTランキング35位/24hランキング63位 ありがとうございました!

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...