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再会の朝
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「クソ。俺が被害者なのにどうしてこうも後味が悪りぃんだ?
いつからこんなお人好しになっちまったんだ。」
モモ達は出頭して警察に包み隠すことなく全てを話した事により、胸糞の悪さは変わらないがある程度納得できた。
「いやウミくんは100パー被害者なんだ。間違っていないよ。
何をとち狂ったか私がアホな事を言って、苦しめてしまった…。
申し訳なく思っているよ。」
モモを庇った事を重く感じているサナエは俯いた。
「ん?いやぁ、アンタが助けに来てくれなきゃ俺はヤバかったぜ?
感謝してんだ。
いきなし、電気でビリビリだもんよ。」
「私さ、あの娘の先輩でさ。
あんなふうになってしまった過去を知ってるんだ。
だからつい、庇ってしまって…。
本当にごめんなさいね。」
「まぁその気持ち、わからなくもないぜ。」
ウミは閃いたように疑問をサナエに聞いた。
「そういや、どうして俺を助けに来たんだ?」
サナエは質問にうんと言ってから答えた。
「それはね、退廃的で危なっかしいあの娘の行動が気になっていてさ。
前にも、ウミくんのお嫁さんの実家を襲撃に行ってたわけでしょ?
わたしゃ、なんども止めたんだけど気持ちを改めるどころかどんどんエスカレートしちゃって。
ウチで居候させたそばからいなくなったもんだから、あの娘の交友関係から探し出したんだ。」
「ふうん。」
理由は異なるもののウミも探し人がいる為、心にピンとくるものが少なからずあった。
「ウミくんは奥さんを探しているんだっけ?
早く見つかるといいな、奥さん。」
ウミは真夜中だったはずの公園のベンチから立ち上がり空を見上げると、白み始めた朝が迎えに来ていた。
「あぁ。疲れた。」
尻をパンパン叩いて砂を払った。
「スタンガンで突かれたわけだよ。身体は大丈夫?
病院に行く方がよくない?」
「大丈夫…かな?んー大丈夫だな!心配しないでくれ。」
ヨロヨロ歩くウミは蚊に刺された首筋をボリボリ掻きながら公園を出た。
「本当に大丈夫?」
ウミの足取りを見て、不安に思ったサナエはベンチから立ち上がって声をかけた。
振り返る事もなくウミは右手を挙げるだけだった。
「送るよ。どこまで行くの?」
サナエはウミの元へ駆け寄り腕を掴んだ。
「ダメなんだ。もし俺が女であるおたくと一緒にいるのを万が一ソラに見られたら、また全てが白紙。やり直しにされちまう。」
「あーあ。眠いぜ…バンド活動をしなきゃならねえのになんもできてねぇ…仕事はどうでもいいけど。」
ソラが宿泊しているビジネスホテルのロビーのソファに倒れ込むように寝そべると即眠りに堕ちた。
一方、夕べ眠りにつけなかったソラは客室を出てエレベーターでロビーへ降りた。
観葉植物が置かれ各種朝刊が配置されているフロアを歩く。
ソラの長い黒髪に爽やかな朝の光が当たり輝きが増している。
平日の朝とはいえ宿泊客は何人もおり、活気があった。
そんななか、受付の制服を着た女性がソファに寝ている人物に話しかけている。
ソラは特に興味があったわけではないが、独りのさみしさを打ち消そうと2人の元へ向かった。
いつからこんなお人好しになっちまったんだ。」
モモ達は出頭して警察に包み隠すことなく全てを話した事により、胸糞の悪さは変わらないがある程度納得できた。
「いやウミくんは100パー被害者なんだ。間違っていないよ。
何をとち狂ったか私がアホな事を言って、苦しめてしまった…。
申し訳なく思っているよ。」
モモを庇った事を重く感じているサナエは俯いた。
「ん?いやぁ、アンタが助けに来てくれなきゃ俺はヤバかったぜ?
感謝してんだ。
いきなし、電気でビリビリだもんよ。」
「私さ、あの娘の先輩でさ。
あんなふうになってしまった過去を知ってるんだ。
だからつい、庇ってしまって…。
本当にごめんなさいね。」
「まぁその気持ち、わからなくもないぜ。」
ウミは閃いたように疑問をサナエに聞いた。
「そういや、どうして俺を助けに来たんだ?」
サナエは質問にうんと言ってから答えた。
「それはね、退廃的で危なっかしいあの娘の行動が気になっていてさ。
前にも、ウミくんのお嫁さんの実家を襲撃に行ってたわけでしょ?
わたしゃ、なんども止めたんだけど気持ちを改めるどころかどんどんエスカレートしちゃって。
ウチで居候させたそばからいなくなったもんだから、あの娘の交友関係から探し出したんだ。」
「ふうん。」
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「ウミくんは奥さんを探しているんだっけ?
早く見つかるといいな、奥さん。」
ウミは真夜中だったはずの公園のベンチから立ち上がり空を見上げると、白み始めた朝が迎えに来ていた。
「あぁ。疲れた。」
尻をパンパン叩いて砂を払った。
「スタンガンで突かれたわけだよ。身体は大丈夫?
病院に行く方がよくない?」
「大丈夫…かな?んー大丈夫だな!心配しないでくれ。」
ヨロヨロ歩くウミは蚊に刺された首筋をボリボリ掻きながら公園を出た。
「本当に大丈夫?」
ウミの足取りを見て、不安に思ったサナエはベンチから立ち上がって声をかけた。
振り返る事もなくウミは右手を挙げるだけだった。
「送るよ。どこまで行くの?」
サナエはウミの元へ駆け寄り腕を掴んだ。
「ダメなんだ。もし俺が女であるおたくと一緒にいるのを万が一ソラに見られたら、また全てが白紙。やり直しにされちまう。」
「あーあ。眠いぜ…バンド活動をしなきゃならねえのになんもできてねぇ…仕事はどうでもいいけど。」
ソラが宿泊しているビジネスホテルのロビーのソファに倒れ込むように寝そべると即眠りに堕ちた。
一方、夕べ眠りにつけなかったソラは客室を出てエレベーターでロビーへ降りた。
観葉植物が置かれ各種朝刊が配置されているフロアを歩く。
ソラの長い黒髪に爽やかな朝の光が当たり輝きが増している。
平日の朝とはいえ宿泊客は何人もおり、活気があった。
そんななか、受付の制服を着た女性がソファに寝ている人物に話しかけている。
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