212 / 275
悪行止まらず
211
しおりを挟む
ガチャン
「誰か入ってきたんじゃない?」
チグサは音がする玄関側に耳を傾けて言った。
「よっぴいに鍵かけるように頼んだよね。」
「はい。ボク、間違いなくお店を閉めましたよ。」
ガチャガチャ!
今度はドアノブを力づくで回す音が4人に聞こえた。
「やだぁ?誰よ?」
ベッドに座り込むチグサはタオルケットを羽織った。
モモはケンスケがやってきたのかと頭をよぎったが、ケンスケはここを毛嫌いしており誘っても立ち寄る事は一度もなかった。
異変を感じた4人は、しばし息を殺して乱痴気撮影会を中断し、音の行方に注視した。
「…止まった?静かになった、よね?」
モモはチグサの顔を見た。
ガチャガチャ!
「キャアァァァ!」
4人は叫んだ。
一度は鳴り止んだかに思われたがドアノブを捻る音はいっそう強くなり、不安は高まり恐怖に変わっていく。
「めっちゃ怖いよ。」
常連客のサッチーは、よっぴいの背後に周り抱きついた。
「よっぴい、アンタが見に行きなさいよ。最後に店仕舞いをしたのはアンタだから。」
チグサは責任を従業員になすりつけた。
「そんなぁ酷いですよ。ボクだって怖いんだから。」
「男装は伊達なのかな?
こんなんじゃ、キャラを作ってるその辺のボクっ娘と変わらないじゃんね?そう思わない?
ねぇ、モモちゃんもそう思わない?」
モモはチグサに問われ深く考えずなんとなく同意した。
「わかりました。見に行けばいいんでしょ?」
ヤケになったよっぴいは立ち上がり、部屋を出ようとした。
「よっぴい、さすがにそんな格好で玄関出ちゃダメよ。
まぁ、誰もいやしないだろうけどね。」
サッチーが脱ぎ捨てられたよっぴいのシャツやパンツを持って手渡した。
「ありがとう、サッチーさん。」
サッチーに抱きつきキスをした。
「チュパチュパうるさいな。早く見てきなさいなぁ!」
イラつくチグサに追い立てられ、よっぴいはみんながいる6畳の部屋を出て行った。
サッチーはチグサを見つめる。
「なにその目線?止めてくれない?そんな目で私を見るのはさぁ。
心配ならついていきなよ?」
サッチーは意を決して下着姿のまま、よっぴいの後を追った。
「だからちゃんと羽織ってきなさいったら。
見せたがりなわけ?」
チグサは呆れながらくたびれたブラジャーの肩紐を付け直した。
「でも店は閉めているんでしょ?いったい誰かな?」
「モモちゃんは心当たりある?」
モモは頬杖ついた。
ケンスケは大嵐家の一件以降、連絡はない。
セラやソラはこの場所どころかウミの置かれている状況さえ把握していない。
「私は酔っ払いが自宅と間違えてると思うんよ。」
何も答えられず頬杖をついたまま黙り込むモモに、不安が募るチグサは希望的観測を述べた。
バタン
静かにドアが閉まった音がモモとチグサに聞こえた。
怒鳴り声も聞こえてこない。
「あの娘達、大丈夫そうね。」
チグサはタオルケットを放って大きな尻をモモに向け、四つん這いでウミの元へ行く。
失神して無防備な状態でいるウミの隣で米俵の如くゴロンと横になり、腕枕をして円をかくように引き締まったウミの胸板を愛しげに撫でている。
「もう少し待っててね、一緒に気持ちよくなろう?ねぇー。」
チグサはウミの耳元で呟いた。
「誰か入ってきたんじゃない?」
チグサは音がする玄関側に耳を傾けて言った。
「よっぴいに鍵かけるように頼んだよね。」
「はい。ボク、間違いなくお店を閉めましたよ。」
ガチャガチャ!
今度はドアノブを力づくで回す音が4人に聞こえた。
「やだぁ?誰よ?」
ベッドに座り込むチグサはタオルケットを羽織った。
モモはケンスケがやってきたのかと頭をよぎったが、ケンスケはここを毛嫌いしており誘っても立ち寄る事は一度もなかった。
異変を感じた4人は、しばし息を殺して乱痴気撮影会を中断し、音の行方に注視した。
「…止まった?静かになった、よね?」
モモはチグサの顔を見た。
ガチャガチャ!
「キャアァァァ!」
4人は叫んだ。
一度は鳴り止んだかに思われたがドアノブを捻る音はいっそう強くなり、不安は高まり恐怖に変わっていく。
「めっちゃ怖いよ。」
常連客のサッチーは、よっぴいの背後に周り抱きついた。
「よっぴい、アンタが見に行きなさいよ。最後に店仕舞いをしたのはアンタだから。」
チグサは責任を従業員になすりつけた。
「そんなぁ酷いですよ。ボクだって怖いんだから。」
「男装は伊達なのかな?
こんなんじゃ、キャラを作ってるその辺のボクっ娘と変わらないじゃんね?そう思わない?
ねぇ、モモちゃんもそう思わない?」
モモはチグサに問われ深く考えずなんとなく同意した。
「わかりました。見に行けばいいんでしょ?」
ヤケになったよっぴいは立ち上がり、部屋を出ようとした。
「よっぴい、さすがにそんな格好で玄関出ちゃダメよ。
まぁ、誰もいやしないだろうけどね。」
サッチーが脱ぎ捨てられたよっぴいのシャツやパンツを持って手渡した。
「ありがとう、サッチーさん。」
サッチーに抱きつきキスをした。
「チュパチュパうるさいな。早く見てきなさいなぁ!」
イラつくチグサに追い立てられ、よっぴいはみんながいる6畳の部屋を出て行った。
サッチーはチグサを見つめる。
「なにその目線?止めてくれない?そんな目で私を見るのはさぁ。
心配ならついていきなよ?」
サッチーは意を決して下着姿のまま、よっぴいの後を追った。
「だからちゃんと羽織ってきなさいったら。
見せたがりなわけ?」
チグサは呆れながらくたびれたブラジャーの肩紐を付け直した。
「でも店は閉めているんでしょ?いったい誰かな?」
「モモちゃんは心当たりある?」
モモは頬杖ついた。
ケンスケは大嵐家の一件以降、連絡はない。
セラやソラはこの場所どころかウミの置かれている状況さえ把握していない。
「私は酔っ払いが自宅と間違えてると思うんよ。」
何も答えられず頬杖をついたまま黙り込むモモに、不安が募るチグサは希望的観測を述べた。
バタン
静かにドアが閉まった音がモモとチグサに聞こえた。
怒鳴り声も聞こえてこない。
「あの娘達、大丈夫そうね。」
チグサはタオルケットを放って大きな尻をモモに向け、四つん這いでウミの元へ行く。
失神して無防備な状態でいるウミの隣で米俵の如くゴロンと横になり、腕枕をして円をかくように引き締まったウミの胸板を愛しげに撫でている。
「もう少し待っててね、一緒に気持ちよくなろう?ねぇー。」
チグサはウミの耳元で呟いた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

見えるものしか見ないから
mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。
第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

わたしを捨てた騎士様の末路
夜桜
恋愛
令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。
ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。
※連載
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる