私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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第5部 追う人、逃げる人、悪い人。

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不敵な笑みを浮かべたモモは後ろを向き、ケンスケに手招きをした。

ケンスケはプイと顔を背けた。
肘に痛みがはしらないようゆっくりとした足取りで、もと来た道へ歩いて行く。

「ケンスケったら、セラ黒ギャルがいないからってテンションが激落ちしてる。
せっかく面白い見せ物が始まるっていうのに…まっいっか。」

「お友達?彼氏さんかしら。」

問いかけた姉妹の母は少し首を傾げながら愛くるしいえくぼをみせた。

「彼氏だったけどね、先日フラれちゃったの。」

「あらぁ。余計な事を聞いてしまったわね。」

姉妹の母は頬に手を当ててモモから花壇に咲く丹精込めて育てたキキョウに視線を変えた。

「いいの。気にしないで。モモは大丈夫だから。でも…。」

「待って?お話の続きはウチでしましょ?冷たい飲み物をお出しするわ。」

「冷たい飲み物を飲みながらか。。」

姉妹の母は髪を結った後、淡いグリーンの玄関ドアを開けた。
背後を歩くモモはほのかに漂う甘い匂い、黒髪で隠れていたうなじを見てその無防備さに気分が高まっていくのを感じていた。

「ソファにかけてちょっと待っていてね。アイスコーヒーでいいかしら?」

「おばさん、いえ、奥様。おかまいなく。」

キッチンへ向かった姉妹の母が氷をグラスに入れている音がする間、モモはバッグから何やら考えて選んでいる。

「ねぇえ?奥様。奥様の下の名前はなんていう名前?」

モモは幼さの残る口調だ。

「私はユラよ。この名前は気に入ってるの。名付けてくれた両親に感謝しているわよ。」

「ふーんユラさんていうんだ。素敵ね。あっ、だからセラとソラ?」

「そうよ。あの子達の名前は私が付けたのよ。
パパもあれこれ考えていたみたいだけど、シャットアウト。
パパの名前は一文字も受け継がれてないわ。
可哀想よね。パパは。」

ユラの品の良い笑い声が聞こえモモは合わせて笑った。

「はい。お待ちどうさま。」

氷の入ったグラスは汗をかいたように、水滴が付着しており見ているだけでも涼しげだ。

「ミルクやガムシロでお好みに調整してちょうだい。」

「ありがとうございます。ユラさん。」

モモはミルクとガムシロップを入れてストローでかき混ぜ氷のザクザクした音をたてながらユラに言った。

「ねぇユラさん。最近はどこか疲れたりしてない?」

「んー。そうね。ガーデニングに精を出しすぎているせいか肩や腰に疲れを感じる時があるわね。」

「あんさ、モモで良ければの事を気持ち良くしてあげよっか?」

モモはバッグから取り出した物をユラの目前にかざした。

「それはなにかしら?」

「これはね、とっても気持ち良くなる道具。
美熟女のユラちゃんを虜にしちゃうと思うよ。
さっそく、スカートを捲って股を突きだしな。
モモに引っ叩かれたくなきゃね!」











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