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ソラを探して新富福町へ

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ソラとかつらは手を繋ぎながら仲良く部屋に入り隣同士で座った。

「姉貴、お義兄さんだけでなく友達とも再会できて良かったね。
なんかさ、あたしも嬉しくて心が熱くなってきたよ。」

セラは感じ取っていた。
2人の間で起きた関係は、他人の介入や時間の経過による修復ではないという事を。

細く白い手と手がガッチリ握り合うのを見て、キッチンに立ちグラスに氷を入れいた。

「ねぇ、今度ウチに泊まりにおいでよ。」

「いや俺んちのボロアパートより、コイツの屋敷の方がいいぜ?
門を潜っての部屋に行くまででっけぇ公園みてえな庭を歩くんだ。
なかなか屋敷に辿りつけねえんだよ。」

姫君時代ゾッコンだったウミと親友となったソラに挟まれ、会話の中心になった事がかつらにとってこの上なく幸せだった。 

「は、はい。ワタクシのお家でよろしければ。」

かつらは白い顔を赤に染めた。

「かつらちゃん、ほっぺたが赤くなっているよぉ。可愛い。」

ソラは人差し指でかつらの頬を触った。

「ソラよ、あんましかつらを揶揄からかうなよな。
砂城院家の従業員を動員した事で、おまえを見つけ出す事ができたんだからよ。
俺だけではアリンコの巣に入って探すくらいしんどかったはずだ。」

「神園くん。気になさらないで。」

「…ウミは何をしていたの?」

ソラは首を傾げて聞いた。

「何って?」

「砂城院家の従業員さん達が尽力してくれたわけでしょ?
ウミは私を探す為に何をしていたかを聞いているの。」

「おっ?ああ。そうだな…。」

嫌な予感がウミの頭を過ぎった。

「お待たせ~みなさぁん!」

セクシーなセラがわざとらしくキュートなアニメキャラのような声で、トレーから飲み物をテーブルに置いた。

「ウミ!私はアンタにといったはずよ。」

2人に挟まれたかつらは不穏な空気を察して、顔を小刻みに左右に振って2人の表情を見ている。

「ちょっと?どうしたのよ?姉貴。」

セラは前屈みの状態で静止した。

「ウミの言った事を聞いてなかったの?
かつらちゃんちの会社である砂城院家の従業員さんが調べあげて私を発見したようなの。
それって、かつらちゃんと砂城院家の方々のおかげであってウミは何にもしてないって事よ?」

ウミはグラスに入ったキンキンに冷えた水を飲んだ。

「ソ、ソ、ソラちゃん。神園くんはソラちゃんの事をとても心配なさっていたわ。
貴女に会いたい一心でワタクシに協力を要請したのですから。」

ソラを"ちゃん"付けするのに照れがあり、ぎこちなかったがウミの気持ちを代弁した。

「違うのよぉ。かつらちゃん。
私はね、どれだけ心配されようともウミが自力で私を探し出さなければ意味がないの。」

「ソラァ?俺はただの人間だぜ?
漫画やゲームに登場するようなーーーー」

ソラはウミを遮って自分の気持ちを主張した。

「ヤダヤダヤダ!言い訳は聞きたくないのぉ!
ウミは私にとってただの旦那様じゃないわ!
私にとって、ウミは漫画やゲームに登場するヒーローよぉ!」

ウミは、"またかよ"と言った表情を浮かべ、かつらはオロオロしている。

セラはソラに向かって静かな口調で言った。

「姉貴、もうこんな事はやめようよ。
これ以上みんなに迷惑をかけるんなら…。」

「出ていけって言いたいの?
いいもん。私、出て行ったっていいもん。
それくらい私にとっては大切な事なんだから。」































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