194 / 275
ソラを探して新富福町へ
193
しおりを挟む
ソラとかつらは手を繋ぎながら仲良く部屋に入り隣同士で座った。
「姉貴、お義兄さんだけでなく友達とも再会できて良かったね。
なんかさ、あたしも嬉しくて心が熱くなってきたよ。」
セラは感じ取っていた。
2人の間で起きた関係は、他人の介入や時間の経過による修復ではないという事を。
細く白い手と手がガッチリ握り合うのを見て、キッチンに立ちグラスに氷を入れいた。
「ねぇ、かつらちゃん今度ウチに泊まりにおいでよ。」
「いや俺んちのボロアパートより、コイツの屋敷の方がいいぜ?
門を潜ってかつらの部屋に行くまででっけぇ公園みてえな庭を歩くんだ。
なかなか屋敷に辿りつけねえんだよ。」
姫君時代ゾッコンだったウミと親友となったソラに挟まれ、会話の中心になった事がかつらにとってこの上なく幸せだった。
「は、はい。ワタクシのお家でよろしければ。」
かつらは白い顔を赤に染めた。
「かつらちゃん、ほっぺたが赤くなっているよぉ。可愛い。」
ソラは人差し指でかつらの頬を触った。
「ソラよ、あんましかつらを揶揄うなよな。
砂城院家の従業員を動員した事で、おまえを見つけ出す事ができたんだからよ。
俺だけではアリンコの巣に入って探すくらいしんどかったはずだ。」
「神園くん。気になさらないで。」
「…ウミは何をしていたの?」
ソラは首を傾げて聞いた。
「何って?」
「砂城院家の従業員さん達が尽力してくれたわけでしょ?
ウミは私を探す為に何をしていたかを聞いているの。」
「おっ?ああ。そうだな…。」
嫌な予感がウミの頭を過ぎった。
「お待たせ~みなさぁん!」
セクシーなセラがわざとらしくキュートなアニメキャラのような声で、トレーから飲み物をテーブルに置いた。
「ウミ!私はアンタに自力でか弱い私を見つけ出して欲しいといったはずよ。」
2人に挟まれたかつらは不穏な空気を察して、顔を小刻みに左右に振って2人の表情を見ている。
「ちょっと?どうしたのよ?姉貴。」
セラは前屈みの状態で静止した。
「ウミの言った事を聞いてなかったの?
かつらちゃんちの会社である砂城院家の従業員さんが調べあげて私を発見したようなの。
それって、かつらちゃんと砂城院家の方々のおかげであってウミは何にもしてないって事よ?」
ウミはグラスに入ったキンキンに冷えた水を飲んだ。
「ソ、ソ、ソラちゃん。神園くんはソラちゃんの事をとても心配なさっていたわ。
貴女に会いたい一心でワタクシに協力を要請したのですから。」
ソラを"ちゃん"付けするのに照れがあり、ぎこちなかったがウミの気持ちを代弁した。
「違うのよぉ。かつらちゃん。
私はね、どれだけ心配されようともウミが自力で私を探し出さなければ意味がないの。」
「ソラァ?俺はただの人間だぜ?
漫画やゲームに登場するようなーーーー」
ソラはウミを遮って自分の気持ちを主張した。
「ヤダヤダヤダ!言い訳は聞きたくないのぉ!
ウミは私にとってただの旦那様じゃないわ!
私にとって、ウミは漫画やゲームに登場するヒーローよぉ!」
ウミは、"またかよ"と言った表情を浮かべ、かつらはオロオロしている。
セラはソラに向かって静かな口調で言った。
「姉貴、もうこんな事はやめようよ。
これ以上みんなに迷惑をかけるんなら…。」
「出ていけって言いたいの?
いいもん。私、出て行ったっていいもん。
それくらい私にとっては大切な事なんだから。」
「姉貴、お義兄さんだけでなく友達とも再会できて良かったね。
なんかさ、あたしも嬉しくて心が熱くなってきたよ。」
セラは感じ取っていた。
2人の間で起きた関係は、他人の介入や時間の経過による修復ではないという事を。
細く白い手と手がガッチリ握り合うのを見て、キッチンに立ちグラスに氷を入れいた。
「ねぇ、かつらちゃん今度ウチに泊まりにおいでよ。」
「いや俺んちのボロアパートより、コイツの屋敷の方がいいぜ?
門を潜ってかつらの部屋に行くまででっけぇ公園みてえな庭を歩くんだ。
なかなか屋敷に辿りつけねえんだよ。」
姫君時代ゾッコンだったウミと親友となったソラに挟まれ、会話の中心になった事がかつらにとってこの上なく幸せだった。
「は、はい。ワタクシのお家でよろしければ。」
かつらは白い顔を赤に染めた。
「かつらちゃん、ほっぺたが赤くなっているよぉ。可愛い。」
ソラは人差し指でかつらの頬を触った。
「ソラよ、あんましかつらを揶揄うなよな。
砂城院家の従業員を動員した事で、おまえを見つけ出す事ができたんだからよ。
俺だけではアリンコの巣に入って探すくらいしんどかったはずだ。」
「神園くん。気になさらないで。」
「…ウミは何をしていたの?」
ソラは首を傾げて聞いた。
「何って?」
「砂城院家の従業員さん達が尽力してくれたわけでしょ?
ウミは私を探す為に何をしていたかを聞いているの。」
「おっ?ああ。そうだな…。」
嫌な予感がウミの頭を過ぎった。
「お待たせ~みなさぁん!」
セクシーなセラがわざとらしくキュートなアニメキャラのような声で、トレーから飲み物をテーブルに置いた。
「ウミ!私はアンタに自力でか弱い私を見つけ出して欲しいといったはずよ。」
2人に挟まれたかつらは不穏な空気を察して、顔を小刻みに左右に振って2人の表情を見ている。
「ちょっと?どうしたのよ?姉貴。」
セラは前屈みの状態で静止した。
「ウミの言った事を聞いてなかったの?
かつらちゃんちの会社である砂城院家の従業員さんが調べあげて私を発見したようなの。
それって、かつらちゃんと砂城院家の方々のおかげであってウミは何にもしてないって事よ?」
ウミはグラスに入ったキンキンに冷えた水を飲んだ。
「ソ、ソ、ソラちゃん。神園くんはソラちゃんの事をとても心配なさっていたわ。
貴女に会いたい一心でワタクシに協力を要請したのですから。」
ソラを"ちゃん"付けするのに照れがあり、ぎこちなかったがウミの気持ちを代弁した。
「違うのよぉ。かつらちゃん。
私はね、どれだけ心配されようともウミが自力で私を探し出さなければ意味がないの。」
「ソラァ?俺はただの人間だぜ?
漫画やゲームに登場するようなーーーー」
ソラはウミを遮って自分の気持ちを主張した。
「ヤダヤダヤダ!言い訳は聞きたくないのぉ!
ウミは私にとってただの旦那様じゃないわ!
私にとって、ウミは漫画やゲームに登場するヒーローよぉ!」
ウミは、"またかよ"と言った表情を浮かべ、かつらはオロオロしている。
セラはソラに向かって静かな口調で言った。
「姉貴、もうこんな事はやめようよ。
これ以上みんなに迷惑をかけるんなら…。」
「出ていけって言いたいの?
いいもん。私、出て行ったっていいもん。
それくらい私にとっては大切な事なんだから。」
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる