私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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妹のピンチ、姉は大ピンチ!?

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セラの両胸を鷲掴みしようとしたが、セラは背後にいるケンスケの胸板にカンガルーキックをお見舞いしてきりぬけた。

「すげえな。裏拳が来るかと思いきや、まさかのカンガルーキックかい。プロレスラーみたいだ。」

キックの衝撃で背中を地面に強打したケンスケは寝そべった体勢から、上半身を起こした。

「キミの胸を揉むのにこりゃ難儀なんぎするわ。よっこらしょ。」

そう言って体操選手のように身軽に跳ね起きをした。

セラは起き上がったところを狙ってパンチを放った。

たまらずケンスケはクリンチをしようと試みたが、セラは身体を掴まれるのを嫌がり機敏にかわした。

「ムエタイやってんだろ。そのまんま組んでる状態から膝で俺をやればよかったんじゃない?」

汗だくのセラは無言で乳房を腕で隠した。

「俺の狙いがバレてんだね。やっぱ下心があるとすぐバレるんだな。」

遊ばれているセラは、このままではケンスケには勝てないしソラを救う事もできない。
現状を打破する方法を必死になって巡らせているが、考えれば考えるほど焦燥感しゅうそうかんに駆られてしまう。

「また手が止まっているよ。打ってこないなら遠慮なく俺から行くとしようかね~。」

大胆に正面から迫ってきたケンスケをセラは前蹴りで牽制する。

ケンスケは距離を詰めたり離れたりニヤつきながらステップしている。

ふざけた態度のケンスケとは反対にセラは真剣だ。




「もの好きな兄貴には困ったな。」

ヤナセは座り込んでいるモモに話しかけたが、モモはヤナセに目を合わせなかった。

セラとケンスケはしばらく膠着こうちゃくしている。

「そんな消極的な戦法じゃあ俺をやれないよ。」

防戦一方に陥ったセラは何度もタンクトップから弾ける乳房を気にしている。

「このまま揺れる胸ばかり見ていても先に進まない。
九分九厘くぶくりん、キミを手中におさめて力量の差を見せつけたわけだが、それでキミは納得しないだろ?
綺麗な身体に痣を作るのは不本意ではあるがそろそろ終わらせようかね。
一発だけだ。あとでちゃんとケアしてやるよ。」

先ほどまで掴みどころがなくセラを悩ますほど困惑させていたケンスケだったが、顔つきが変わりスパートをかけてきた。

ケンスケは右腕からストレートを繰りだす。

セラは迷わずカウンターで低い姿勢から素早く片足タックルを試みた。

背中から倒れたケンスケの右腕をすぐさま掴み腕ひしぎ十字固めで極める。

「うわわ、ヤバいぞ!兄貴!」

「がぁぁぁぁぁ!」

右腕をがっちり極められたケンスケは断末魔の叫び声だった。

ボキッ

骨が軋む音が技をかけたセラにはっきり聞こえた。
腕を折った事を確信してから、すぐ立ち上がり、ヌーブラの位置が気になったようで手を入れて整えている。

「はぁはぁ、あたしはさ、もともとはさ、女子高でレスリングを、はぁはぁ、やってたんだ…。
ムエタイの経験は、はぁはぁ、まだ、浅いんだから…。」

呼吸が荒く話すのがやっとであったが、深呼吸して整えたあと、再度、口を開いた。

「打撃はまだまだかもだけど、グラップリングは得意なんだよ。
アマチュアだけど総合格闘技やってんだ。
これでわかったろ?私の勝ち、お前の負け!」

「あ、兄貴ぃ~。」

ヤナセは両膝をついて、セラによって右腕を折られた兄貴分のケンスケを介抱しようとしているが、気が動転して何をすればいいかわからず頭を抱えている。

「情けない声出すなよ。おまえの兄貴、
ついていく相手を考えた方がいいんじゃない?」

シャッターを背もたれにして座り込んでいたモモは、立ち上がりそのまま路地裏に消えた。
それを見たセラはとくに気にもせず、自分も早く姉貴を探さなきゃと思い疲れきった身体に鞭を打ち、どこにいるかもわからないソラをミカミの魔の手から守る為、当てもなく走り出した。



一方その頃、ソラの夫であるウミは…

張り込みする捜査員や探偵を気取りアンパンをパクつき、パックの牛乳を飲みながらミカミの帰宅を待ちかまえていた。

「あの野郎、今日中には帰ってきやがるかな?」



























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