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妹のピンチ、姉は大ピンチ!?
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「えっ!」
セラの身体は痺れ、その直後鳥肌が立った。
「痛かったよ。お姉ちゃんの膝。
あんなん普通なら死ぬぞ。
でも痛さに比例して愛も感じ取れたよ。」
「兄貴がおまえなんぞに負けやしねえからよ!」
ヤナセは口を尖らせてセラに言った。
「もっと欲しいな。キミの憎しみの籠った愛を。」
唾液と混じり合って溜まった血液をペッと吐いた。
「…本当は足にきてるんだろ?立ってるのがやっとなはずだ。」
「あぁ、かなりのダメージを食らっているなあ。
次もヤバイ一撃を食らったら死ぬかも知れんよ?
でも、俺は負けられないさ。
キミが欲しいからね。
せっかちなキミは俺の話を聞いちゃくれなかったが、俺が勝った暁にはキミを頂く。
キミの立場はお決まりの情婦でもなければ女房でもない。
俺を憎んでいても、一生俺から離れられない。そんな関係を構築したい。」
セラは最後までケンスケの望みを聞いていた。
いや、ゾンビのような打たれ強さと、特殊な人格の持ち主に恐怖を感じて動けなくなってしまったという方が正しい。
「悔しい…。こんなビッチなんかに…。初めはただのマンネリを解消するだけの女だったのにさ…。」
モモの小さな声がケンスケに聞こえた。
「あの暴れん坊の美女を手に入れたら、マンネリは死ぬまでない。
俺に対して消える事のない憎悪を燃やしてくれる女から、愛を感じ取れるからな。
しょうもないはけ口であったイロのおまえは用無しだ。
ヤナセ、すまないがモモをおまえのイロにしてやってくれ。」
ヤナセは黙って頷いた後モモを見た。
モモは体育座りの姿勢で膝に顔を隠してメソメソ泣いた。
「コイツ狂ってる…。」
セラはケンスケが狂気じみている男だと再確認した。
自身のプライドに反するが逃げる事も視野にいれていた。
「お姉ちゃん。今さ、俺から逃げようと思ったろ?
とんずらこいたって、どこまでも追いかけてやるよ。
キミは最高の女なのだから。」
ユラユラ歩くケンスケが背筋を整えて素早くセラに近づき、ステップを踏んでいる。
打撃をするわけでもなく、ぐるぐる円を描くようにセラを取り囲む。
「俺はどうしてもキミを殴れない。美しいキミを殴ってしまえば、ベッドの上でキミが裸になった時、傷つき痣だらけになった身体を俺は見たくないんだ。」
そう言われたセラは目を見開き、閉じていた口を大きく開けて怒りを露わにした。
「なめんじゃねぇ!このタルン(タイ語でスケベ)ヤロー!」
腰を回転させて鋭いハイキックを左側頭部に放ったが、あっさり避けられてしまった。
その後も、ぐるぐる回るだけのケンスケに何度となくパンチやキックを放つが、1発も当たりはしなかった。
「はぁ、はぁ。」
セラは前屈みになり額から汗が滴り落ちている。
体力の消耗が激しく、肩で深く呼吸をしている。
「おぉ。これはいい眺め。」
ケンスケはセラの白いタンクトップから、くっきりと見えた谷間を指差した。
「黙れ、ど変態野郎…はぁはぁ。おまえ、なんか、やってん、のか?はぁはぁ…。」
右手で乳房を隠しながらセラは言った。
「俺に興味を持ってくれたんかい?光栄だよ。お姉ちゃん。
俺はさ、ジャッキー・チェンでお馴染みの酔拳をやってるのさ。」
疲労困憊ではあったセラは負けてたまるかと力を振り絞って肘打ちを試みた。
セラの身体は痺れ、その直後鳥肌が立った。
「痛かったよ。お姉ちゃんの膝。
あんなん普通なら死ぬぞ。
でも痛さに比例して愛も感じ取れたよ。」
「兄貴がおまえなんぞに負けやしねえからよ!」
ヤナセは口を尖らせてセラに言った。
「もっと欲しいな。キミの憎しみの籠った愛を。」
唾液と混じり合って溜まった血液をペッと吐いた。
「…本当は足にきてるんだろ?立ってるのがやっとなはずだ。」
「あぁ、かなりのダメージを食らっているなあ。
次もヤバイ一撃を食らったら死ぬかも知れんよ?
でも、俺は負けられないさ。
キミが欲しいからね。
せっかちなキミは俺の話を聞いちゃくれなかったが、俺が勝った暁にはキミを頂く。
キミの立場はお決まりの情婦でもなければ女房でもない。
俺を憎んでいても、一生俺から離れられない。そんな関係を構築したい。」
セラは最後までケンスケの望みを聞いていた。
いや、ゾンビのような打たれ強さと、特殊な人格の持ち主に恐怖を感じて動けなくなってしまったという方が正しい。
「悔しい…。こんなビッチなんかに…。初めはただのマンネリを解消するだけの女だったのにさ…。」
モモの小さな声がケンスケに聞こえた。
「あの暴れん坊の美女を手に入れたら、マンネリは死ぬまでない。
俺に対して消える事のない憎悪を燃やしてくれる女から、愛を感じ取れるからな。
しょうもないはけ口であったイロのおまえは用無しだ。
ヤナセ、すまないがモモをおまえのイロにしてやってくれ。」
ヤナセは黙って頷いた後モモを見た。
モモは体育座りの姿勢で膝に顔を隠してメソメソ泣いた。
「コイツ狂ってる…。」
セラはケンスケが狂気じみている男だと再確認した。
自身のプライドに反するが逃げる事も視野にいれていた。
「お姉ちゃん。今さ、俺から逃げようと思ったろ?
とんずらこいたって、どこまでも追いかけてやるよ。
キミは最高の女なのだから。」
ユラユラ歩くケンスケが背筋を整えて素早くセラに近づき、ステップを踏んでいる。
打撃をするわけでもなく、ぐるぐる円を描くようにセラを取り囲む。
「俺はどうしてもキミを殴れない。美しいキミを殴ってしまえば、ベッドの上でキミが裸になった時、傷つき痣だらけになった身体を俺は見たくないんだ。」
そう言われたセラは目を見開き、閉じていた口を大きく開けて怒りを露わにした。
「なめんじゃねぇ!このタルン(タイ語でスケベ)ヤロー!」
腰を回転させて鋭いハイキックを左側頭部に放ったが、あっさり避けられてしまった。
その後も、ぐるぐる回るだけのケンスケに何度となくパンチやキックを放つが、1発も当たりはしなかった。
「はぁ、はぁ。」
セラは前屈みになり額から汗が滴り落ちている。
体力の消耗が激しく、肩で深く呼吸をしている。
「おぉ。これはいい眺め。」
ケンスケはセラの白いタンクトップから、くっきりと見えた谷間を指差した。
「黙れ、ど変態野郎…はぁはぁ。おまえ、なんか、やってん、のか?はぁはぁ…。」
右手で乳房を隠しながらセラは言った。
「俺に興味を持ってくれたんかい?光栄だよ。お姉ちゃん。
俺はさ、ジャッキー・チェンでお馴染みの酔拳をやってるのさ。」
疲労困憊ではあったセラは負けてたまるかと力を振り絞って肘打ちを試みた。
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