私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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妹のピンチ、姉は大ピンチ!?

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「くっちゃべてないで早くかかって来いよ!ごちゃごちゃ喋る男は嫌いなんだ!」

変装用の伊達メガネを外して手招きをしている。

ケンスケはフッと静かに息を吐いた。

「せっかちだなぁ~。キミにとって人生を左右する大事な日になるかもしれないんだぞ。
俺がキミに勝った場合にはーーーー」

ゆっくり口を開くケンスケを遮ってセラは声を荒げて捲し立てた。

「こっちは時間がねえの!
早くかかって来いって言ってんじゃん!
余裕あるようにみせてあたしが怖いんだろ?
あたしが勝ったらもう付き纏うな!それだけだよ!」

「そんなに俺が嫌いかい。参ったな。出会い方は重要だな。」

セラはケンスケが話している最中だったが、素早く右腕からストレートを繰り出す。

パンチをかわした際、ケンスケの前髪が風圧でなびいた。

「フハハ、俺がまだ話しているってのに、わぉ!」

すぐさま左肘で顔面を狙いにいく。それをリズミカルな動きで避け切ってみせた。

「すごいぞお姉ちゃん。もしやムエタイをやってんのかい?」

嬉しそうな表情を浮かべたケンスケは、ステップをふんでいる。

「キミの胸がガキの頃観たアニメみてえに揺れてるよ。」

!」(タイ語でファックの意味)

怒りで頭に血が昇っているセラは力任せにパンチを繰り出した。

「うぉ、まさかのロシアンフックだ。でもムエタイにこんな技はあったかい?
色々できちゃうキミは器用だな。」

自分の打撃を簡単に避けて軽口をたたくヤクザにセラは瞬きを止め、ただただ見つめている。

「あれ?手が止まったけどもう殴らないの?
さっきのロシアンフックは意表をついて良かったと思う。
でもいくらなんでも大振り過ぎだ。
あれじゃ当たんないって。」

「兄貴すげえっす!」

ヤナセが声を張った。

ズボンのポケットに長い手を突っ込んでユラユラ近づきセラに言った。

「欲しいなぁ。この胸。」

ゆっくり右手を伸ばし、セラの小麦色に焼けた身体を覆うタンクトップ越しから乳房を掴もうとした。

「触らせるかよ!」

セラはバネがあるかのように、ケンスケの顎先に飛び膝を繰り出した。

ガツン!

「兄貴!」

ヤナセが倒れ込むケンスケに駆け寄り、上体を起こしている。
セラの飛び膝は見事なもので顎を粉砕するくらいの威力であった。

「…今のでわかったよな。あたしの勝ちだよ。
意識がもうないかも知んないから、おまえ(ヤナセ)からコイツに勝敗を伝えておいて。
可愛い女の子にTKO負けしたから、金輪際こんりんざいあたしに付き纏うなよって。」

セラはわざとらしく大きな声で笑った。

「あっ、そうそうそれからねー。」

二、三歩ほど歩いてから言い忘れた事を思い出して、後ろを振り返るとケンスケが立ち上がってセラの真後ろで西陽を背負い、影を作っていた。
















































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