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妹のピンチ、姉は大ピンチ!?
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「うぉ…。」
目元を押さえたケンスケは、跪いた状態で下からセラを見上げた。
「兄貴ぃ!」
「やだケンスケッ!このクソ女ー!」
モモが怒りに満ちた表情でセラに向かって行こうとしたが、ヤナセに羽交締めにされ力ずくで止められた。
「放してよぉ!バカ!バカバカバカバカー!」
両手をがむしゃらに振り回してヤナセを振り解こうとしているが力では敵わない。
「ヤナセ、そのままモモを放さないでくれよ。」
片膝をついていたケンスケはスクッと立ち上がり、殴られた目を何度も早く瞬きさせている。
「おい、おまえ如きではあたしには敵わないよ。
あたしはさ、大切な人を守らなきゃいけない立場にいるんだ。
おまえらにかまってあげられる暇は1秒もないの。わかる?」
「…お姉ちゃん、キミ、格闘技をやっているのかな?
とてもエグいパンチだね。」
セラは後ろを振り返ってソラがまだ視界に入っているのを確認した後、ケンスケに言った。
「本当はさ、立っているのもやっとなんだろ?
そのピンクや後輩がいるから、ビシッとしたとこ見せたいのはわかるけどさ。
ハッキリ言っちゃえば、あたしの方が強いから。
でも"男のプライド"ってあたしはけっこう好きなんだ。
だからさ、あたしの言わんとしている事の意味、もうわかるでしょ?
さすがにあたしもこれ以上は、おまえに追い打ちをかけないよ。
さぁ、帰んな。」
セラは再び後ろを振り返ってソラを確認している。
ドン
「てめぇ兄貴になんて口をきいてやがる!ちょっとイイオンナだからって、図に乗りやがってよぉ!」
よそ見をしたセラの隙をついてヤナセはセラの尻を蹴飛ばした。
実のところ、兄貴を庇った発言は口実でフラれた腹いせである部分が大きい。
ヤナセから解放されたモモは一瞬、飛び掛かろうか考えたが罵詈雑言を浴びせるだけに留まり、結局はヤナセの背中に身を隠した。
「なんだぁ~。そのヘナチョコキックは?そんなんであたしをどうにかできると思う?
ハハハ、早く帰んなよ。ね?
さっきも言ったけど、あたしは大切なーーーー」
ガツン!
セラが話ている途中、ケンスケは顔面を電柱にぶつけた。
「な、なにをやってんすか?兄貴ぃ!」
「ケンスケ、アタマ?顔?から血がでてるぅ…。」
二人はケンスケの奇行に目を丸くして狼狽している。
「ヤナセよ、おまえが余計な事をして俺とお姉ちゃんの2人だけの甘美なセカイを邪魔したからさ。
本当はおまえを小突きまわしてやりたかったが、俺を思っての行動だろ…?
行き場のない感情を落ち着かせるにはこうするしかないんだよ。」
額からツゥーと垂れてきた真っ赤な血液を舌でペロッと舐めた。
「何やってんだ?おまえ…。」
セラはモモやヤナセほどではないが動揺しているのは間違いない。
「お姉ちゃん、俺はどうしてもキミが欲しい…。
その美しい顔とセクシーな身体だけが目当てではないんだ。
気性が激しく、自我を通す強さ、ステゴロにも自信があって女としても解放的…。
嗚呼、待っていたよ、キミのような女を。」
額から流れ出る血液を止血することもなく、目を細め、半開きの口を時折りパクパクさせて静かに語りかけている。
「な、何を言ってんだ?コイツ…。ちょっとアブナイ奴かな?」
正面を向いていたセラは、やや身体を斜めにして腕を組んだ。
腕組みした事により、ただでさえボリュームのある乳房の谷間が協調されていた事に気付く。
決して露出が趣味ではないが、自由な服装を好み今まで肌を見せる事にオープンだったセラがケンスケのような掴みどころのない、怪しくてデタラメな人物から特別な目を向けられた事で、本能的に踊るように揺れる乳房を腕で隠した。
目元を押さえたケンスケは、跪いた状態で下からセラを見上げた。
「兄貴ぃ!」
「やだケンスケッ!このクソ女ー!」
モモが怒りに満ちた表情でセラに向かって行こうとしたが、ヤナセに羽交締めにされ力ずくで止められた。
「放してよぉ!バカ!バカバカバカバカー!」
両手をがむしゃらに振り回してヤナセを振り解こうとしているが力では敵わない。
「ヤナセ、そのままモモを放さないでくれよ。」
片膝をついていたケンスケはスクッと立ち上がり、殴られた目を何度も早く瞬きさせている。
「おい、おまえ如きではあたしには敵わないよ。
あたしはさ、大切な人を守らなきゃいけない立場にいるんだ。
おまえらにかまってあげられる暇は1秒もないの。わかる?」
「…お姉ちゃん、キミ、格闘技をやっているのかな?
とてもエグいパンチだね。」
セラは後ろを振り返ってソラがまだ視界に入っているのを確認した後、ケンスケに言った。
「本当はさ、立っているのもやっとなんだろ?
そのピンクや後輩がいるから、ビシッとしたとこ見せたいのはわかるけどさ。
ハッキリ言っちゃえば、あたしの方が強いから。
でも"男のプライド"ってあたしはけっこう好きなんだ。
だからさ、あたしの言わんとしている事の意味、もうわかるでしょ?
さすがにあたしもこれ以上は、おまえに追い打ちをかけないよ。
さぁ、帰んな。」
セラは再び後ろを振り返ってソラを確認している。
ドン
「てめぇ兄貴になんて口をきいてやがる!ちょっとイイオンナだからって、図に乗りやがってよぉ!」
よそ見をしたセラの隙をついてヤナセはセラの尻を蹴飛ばした。
実のところ、兄貴を庇った発言は口実でフラれた腹いせである部分が大きい。
ヤナセから解放されたモモは一瞬、飛び掛かろうか考えたが罵詈雑言を浴びせるだけに留まり、結局はヤナセの背中に身を隠した。
「なんだぁ~。そのヘナチョコキックは?そんなんであたしをどうにかできると思う?
ハハハ、早く帰んなよ。ね?
さっきも言ったけど、あたしは大切なーーーー」
ガツン!
セラが話ている途中、ケンスケは顔面を電柱にぶつけた。
「な、なにをやってんすか?兄貴ぃ!」
「ケンスケ、アタマ?顔?から血がでてるぅ…。」
二人はケンスケの奇行に目を丸くして狼狽している。
「ヤナセよ、おまえが余計な事をして俺とお姉ちゃんの2人だけの甘美なセカイを邪魔したからさ。
本当はおまえを小突きまわしてやりたかったが、俺を思っての行動だろ…?
行き場のない感情を落ち着かせるにはこうするしかないんだよ。」
額からツゥーと垂れてきた真っ赤な血液を舌でペロッと舐めた。
「何やってんだ?おまえ…。」
セラはモモやヤナセほどではないが動揺しているのは間違いない。
「お姉ちゃん、俺はどうしてもキミが欲しい…。
その美しい顔とセクシーな身体だけが目当てではないんだ。
気性が激しく、自我を通す強さ、ステゴロにも自信があって女としても解放的…。
嗚呼、待っていたよ、キミのような女を。」
額から流れ出る血液を止血することもなく、目を細め、半開きの口を時折りパクパクさせて静かに語りかけている。
「な、何を言ってんだ?コイツ…。ちょっとアブナイ奴かな?」
正面を向いていたセラは、やや身体を斜めにして腕を組んだ。
腕組みした事により、ただでさえボリュームのある乳房の谷間が協調されていた事に気付く。
決して露出が趣味ではないが、自由な服装を好み今まで肌を見せる事にオープンだったセラがケンスケのような掴みどころのない、怪しくてデタラメな人物から特別な目を向けられた事で、本能的に踊るように揺れる乳房を腕で隠した。
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