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妹のピンチ、姉は大ピンチ!?

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ミカミは呼びかけられた声の方へ視線をやると、30歳前後の男がミカミの隣にいて、ミカミの視界には男の目と鼻だけしか見えなかった。

「うわっ!いつの間に?」

ミカミは驚きのあまり反射的に後退した。
すっ転んで尻餅をつきそうだったが、なんとか持ち直した。

「おまえはここで何をやっている。」

ベルルッティのシャツを着た男が座った目でミカミを見つめている。

無表情で話す男の冷酷な視線にミカミは苦しくなって目を逸らした。

「ここがどういう所かわからないのか?」

ミカミは男に言われて首を古いポンコツロボットのようにカクカクぎこちない動きで周囲を見渡した。

事務所の正面玄関には防犯カメラが3台あり、丸みを帯びた代紋が飾られていた。

「あ、あぁ…。」

「理解できたようだな。」

「うぅうぅうぅうぅ。」

バネが壊れたようにミカミは縦に首を素早く小刻みに振っている。

「敷地内に上がり込んで、汚ねぇ手でベタベタ触りやがって。
命知らずはおまえの方じゃないのか?」

黒塗りの重厚感溢れるセンチュリーから急いで手を離した。

「ずいません。ずぅいまじぇん。」

ミカミは押し寄せてくる涙を止める事ができなかった。

「クソ馬鹿が!」

男は声を荒げミカミの髪を鷲掴みして引っ張り始めた。

「ぎゃぁぁ!」

怒鳴り声をあげながら腕を大ぶりに強く上下に振ってミカミを痛めつけている。

「あばぁばぁばぁ。お許しくださぁい!」

髪を引っ張るのを止めてミカミの顔面に強く握りしめた拳を喰らわせようとした時、モモが駆け寄ってきた。

「ケンスケ!どうしたの?」

センチュリーを挟んだ向かい側からモモが話しかけている。

「おまえいたのか。コイツがいきなり事務所に上がり込んできたからよ。」

「ふ~ん。それは生意気ね。いつものモモならやっちゃおうよって言うだろうけど、今はもっとむかつく女がいるの。」

「女か。」

「そう女。モモより一回り若い女。」

腰に両手を添えてわざとらしく頬を膨らませながら言った。

「気になるな、その女。」

「あんさ、あんさ、モモがスカウトしようとしたら超態度悪くてむかつく女なの!
弱虫のくせに、いっぱしにガンたれてきたんだよ。」

「こんな界隈で誘ったってイイオンナはいないだろうよ。
遊びすぎて吹き出物だらけの汚い女か、頭が湧いたラリラリの女、または他の組の情婦か。」

ケンスケはモモに対して当てつけがましく言った。

「ねぇ、ケンスケ?それってモモも含まれてるの?
モモをこんな風にしたのは、ケンスケなんだよ!」

モモは声を張った後、涙声になった。

「ケンスケが望むから使
だから、だからモモはこんなになっちゃった…。捕まったらケンスケのせいだからね!うぅぅぅ。」

「悪かったよ。モモ。俺がちゃんとおまえの世話はする。安心しろ。」

ミカミの髪をパッと離してモモに近寄っていく。

「ほんとだよ。ケンスケの事を信じていいのね?ねぇったら。」

「ああ。」

ケンスケは涙を流すモモを微笑を浮かべて抱きしめたが、内心では死の街をさまよう女が醸し出す腐臭に顔を背けたかった。


















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