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第4部 姉貴を尾行!
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ソラは商店街の端までやってきて立ち止まった。
お気に入りである、クマのがま口財布を取り出して所持金をその場で確認している。
右側にある「シューティング・スターカフェ」というチェーン店に入って行った。
「怖がりの姉貴が1人でカフェなんて。これは姉貴なりの策があるとみた!あたしも潜入した方がいいな。」
セラは慎重にカフェに入り、他の客と共に列に並んだ。
列の後方にいたソラだったが、前方の客が次々に注文を済ませていく。
徐々にソラの番が近づくにつれ、ソラの心に黒い雨雲のような不安が押し寄せてきた。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
雨雲は冷たい雨をソラの思考に降らす。
「あ、あう。シュ、シュゴ、シュゴ、シュゴ。」
激しく動揺したソラは後ろを振り返ると長蛇の列をなしていた。
後ろに並んでいるセラには気付いていない。
「あ、this is…あっ、私…。」
恐怖で声が震えている。
「姉貴、なぜ日本人同士で英語を使う?」
セラはおかしくなって笑いそうになったが、ソラが必死に注文をする姿を見てすぐに笑いを心の中にある墓地へ静かに埋葬した。
「今、当店おすすめのこちらはいかがでしょうか?」
なかなか注文しないソラに若い男性店員が優しく問いかけている。
「はい!YES!」
「かしこまりました。コーヒーのサイズをお選びください。」
「シュゴー、SMをくださぁい…ハッ、SMはうっかり言ってしまっただけで興味はないです。シュゴー、SMは何をどうするかも知りませんから。本当ですよ!信じてくださぁい!」
真後ろに並んでいる主婦らしき女性が後ろを振り返り別の女性客に目を合わせて笑っている。
「あーちっくしょう!姉貴が他人に笑われて悔しいな!これが尾行でなければ、姉貴の所へすっ飛んでいくのにぃ!」
Sサイズのアイスカフェオレとフルーツサンドが載ったおぼんを持って席へ向かう。
窓際に面した1人掛けの椅子にソラは腰を下ろした。
取り乱していたソラも、氷が入って水滴が付着した涼しげなグラス、ホイップクリームに挟まれたキウイ、イチゴ、マンゴーは彩りが良く、それらを見ているだけで少しずつ気持ちが安らいだようで、頭にばかりのぼっていた血液は身体の隅々に行き渡っていく。
ソラがポンプを外して小さな口をのぞかせながらストローを咥えた。
その姿をセラは大きなテーブルで井戸端会議を開く主婦やパソコンを使いリモートワークをする男性に混じって見つめている。
チャイに口をつけたセラはソラの行動を理解できずにいる。
「買い物して指輪を見てゲーセンで遊んだらカフェで一休み?
何かしらの策があんのかと思ったけど、あたしの見当違いかな?やっぱりミカミを捕まえるのは辞めたのかも。」
一目につきやすい窓際で座るソラはフルーツサンドには手をつけず、道行く人々を注意深く観察していた。
お気に入りである、クマのがま口財布を取り出して所持金をその場で確認している。
右側にある「シューティング・スターカフェ」というチェーン店に入って行った。
「怖がりの姉貴が1人でカフェなんて。これは姉貴なりの策があるとみた!あたしも潜入した方がいいな。」
セラは慎重にカフェに入り、他の客と共に列に並んだ。
列の後方にいたソラだったが、前方の客が次々に注文を済ませていく。
徐々にソラの番が近づくにつれ、ソラの心に黒い雨雲のような不安が押し寄せてきた。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
雨雲は冷たい雨をソラの思考に降らす。
「あ、あう。シュ、シュゴ、シュゴ、シュゴ。」
激しく動揺したソラは後ろを振り返ると長蛇の列をなしていた。
後ろに並んでいるセラには気付いていない。
「あ、this is…あっ、私…。」
恐怖で声が震えている。
「姉貴、なぜ日本人同士で英語を使う?」
セラはおかしくなって笑いそうになったが、ソラが必死に注文をする姿を見てすぐに笑いを心の中にある墓地へ静かに埋葬した。
「今、当店おすすめのこちらはいかがでしょうか?」
なかなか注文しないソラに若い男性店員が優しく問いかけている。
「はい!YES!」
「かしこまりました。コーヒーのサイズをお選びください。」
「シュゴー、SMをくださぁい…ハッ、SMはうっかり言ってしまっただけで興味はないです。シュゴー、SMは何をどうするかも知りませんから。本当ですよ!信じてくださぁい!」
真後ろに並んでいる主婦らしき女性が後ろを振り返り別の女性客に目を合わせて笑っている。
「あーちっくしょう!姉貴が他人に笑われて悔しいな!これが尾行でなければ、姉貴の所へすっ飛んでいくのにぃ!」
Sサイズのアイスカフェオレとフルーツサンドが載ったおぼんを持って席へ向かう。
窓際に面した1人掛けの椅子にソラは腰を下ろした。
取り乱していたソラも、氷が入って水滴が付着した涼しげなグラス、ホイップクリームに挟まれたキウイ、イチゴ、マンゴーは彩りが良く、それらを見ているだけで少しずつ気持ちが安らいだようで、頭にばかりのぼっていた血液は身体の隅々に行き渡っていく。
ソラがポンプを外して小さな口をのぞかせながらストローを咥えた。
その姿をセラは大きなテーブルで井戸端会議を開く主婦やパソコンを使いリモートワークをする男性に混じって見つめている。
チャイに口をつけたセラはソラの行動を理解できずにいる。
「買い物して指輪を見てゲーセンで遊んだらカフェで一休み?
何かしらの策があんのかと思ったけど、あたしの見当違いかな?やっぱりミカミを捕まえるのは辞めたのかも。」
一目につきやすい窓際で座るソラはフルーツサンドには手をつけず、道行く人々を注意深く観察していた。
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