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第4部 姉貴を尾行!
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クマがデザインされた、がま口財布から小銭を取り出して投入している。
アームがソラの操作により動き始める。
古いせいかワンテンポずれている。
ターゲットはニャン助という猫でキャラクター人気投票でも常に上位に食い込む愛されキャラだ。
ソラはボタンを慎重に押して狙いを定めている。
「シュゴ、シュゴ、シュゴ」
セラは姉の息遣いが聞こえる距離にいる。
「暇潰しをする幼妻って感じかな。」
クレーンは見事にニャン助を挟むように抱えたものの、持ち上げる際に滑り落ちてしまった。
「悔しぃぃぃ!」
クレーンゲームの目の前でソラは垂直飛びをするかのように飛び跳ねた。
着地と同時に白いシャツの中で溢れんばかりに乳房が揺れる。
たまたま近くにいた男性店員や客がうっとりとした表情を浮かべてソラの乳房を見ていた。
カッとなって頭に血がのぼったソラはその場から離れ、隣のクレーンゲームの前に立った。
このクレーンゲームはソラが大好きなキャラクターであるクマシリーズだった。
「フン!私はこっちが好きなんだもんね。」
小銭を慣れた手付きで投入していく。
ソラが操作するアームの行方はオムツを履いた赤ちゃんクマがおしゃぶりを咥えているぬいぐるみだ。
「かなりビッグだから取りにくいけど、このクマの赤ちゃんはウミに無理やり履かせたパンツと同じデザインだから絶対ゲットする!」
ソラはお目当てのクマの赤ちゃんのぬいぐるみにロックオンした。
先ほどとは異なりガッチリ掴むというよりは壁際にあるぬいぐるみをアームの爪で引っ掛けて近くにある穴へ救い上げるやり方だ。
「これでどう?」
クマの赤ちゃんはソラの狙い通り、穴へ落ちて足元にある取り出し口から出てきた。
「やったぁ!1番欲しかったのよ!ウミのパンツと同じクマの赤ちゃん!」
ソラは大事そうに抱き上げ頬ずりをしている。
「姉貴ったら可愛いわね。」
妹のセラは少し頬を膨らませて少女のように喜ぶソラを見ている。
「ボクもあのオッパイの大きいお姉ちゃんと同じぬいぐるみが欲しいよぉ!」
「えっ?シュゴー。」
ソラは後ろを振り返るとそこには幼稚園児くらいの男の子が指を差してソラを見ている。
「レイ君。お姉ちゃんに指をさしてはダメよ。」
喚き散らす男の子の隣には白髪頭で杖をついた年配の女性がいた。
ソラに見られている事に気づいた白髪頭の女性は少し慌てながら言った。
「ごめんなさいね。ウチの孫が以前からそちらのぬいぐるみを欲しがっているんですが、私はどうもこういう機械が苦手でね~。」
「お婆ちゃん、今日こそ取ってよぉ!ねぇお婆ちゃん!ねぇったら!」
男の子は繋いだ右手をブンブン振っている。
「あぁ、はいはい。」
孫の言いなりの老婆はソラの隣に立って財布から渋々、小銭を取り出そうとしている。
「あら、どうしましょ。細かいお金もお札もないわ。
お財布に入れてきたはずなんだけど。」
「えっ?ゲームできないの?お婆ちゃん!?」
「レイ君、ごめんね。今日はお金がなくてできないのよ。」
レイ君と呼ばれている男の子は一気に顔面をクシャクシャに崩壊させて号泣した。
「今日こそ、取るって言ったよ!お婆ちゃんの嘘つき!」
孫はその場で小さい身体を揺らしたり飛び跳ねたりして周囲の目等を気にする事もなく感情を露わにしている。
「あわわ、私はどうすればいいのかしら。」
泣き叫ぶ孫に慌てふためくお婆さんは酷く動揺している。
「あ、あのう。もしよろしかったら私のをお孫さんに差し上げましょうか?シュ、ゴ…。」
「で、でも。」
「私ならまたゲットできますから。」
「今は持ち合わせがないので、お金をお渡しできません。後日ぬいぐるみのお題をお返ししたいのでご連絡先を…。」
お婆さんがソラに話している最中だったが、ソラは背丈の低い孫と同じ目線に落とす為、しゃがみ込んだ。
「はぁい。レイ君。お姉ちゃんからプレゼントだよ。だからもう泣かないでね。」
目を真っ赤に腫らしていた幼児は泣くのを止め、満面の笑顔になった。
「わぁ~!」
「ありがとうございます!ありがとうございます!ここまでしてくださって本当にありがとうございます。
あの、あなたのご連絡先を…。」
「シュゴー、では私は用事があるので失礼しまーす!」
お金は返さなくていいと手を左右に振った後、さようならのジャスチャーに切り替えた。
「オッパイのおっきいお姉ちゃんありがとう!」
ぬいぐるみを抱きながら幼児もソラに手を振って大きな声で言った。
幼児の声を聞いていた周辺の男女がソラを見ている。
恥ずかしそうに揺れる胸を両手で隠しながらゲームセンターを後にした。
「姉貴らしいな。」
笑顔のセラは引き続きソラの後を追った。
アームがソラの操作により動き始める。
古いせいかワンテンポずれている。
ターゲットはニャン助という猫でキャラクター人気投票でも常に上位に食い込む愛されキャラだ。
ソラはボタンを慎重に押して狙いを定めている。
「シュゴ、シュゴ、シュゴ」
セラは姉の息遣いが聞こえる距離にいる。
「暇潰しをする幼妻って感じかな。」
クレーンは見事にニャン助を挟むように抱えたものの、持ち上げる際に滑り落ちてしまった。
「悔しぃぃぃ!」
クレーンゲームの目の前でソラは垂直飛びをするかのように飛び跳ねた。
着地と同時に白いシャツの中で溢れんばかりに乳房が揺れる。
たまたま近くにいた男性店員や客がうっとりとした表情を浮かべてソラの乳房を見ていた。
カッとなって頭に血がのぼったソラはその場から離れ、隣のクレーンゲームの前に立った。
このクレーンゲームはソラが大好きなキャラクターであるクマシリーズだった。
「フン!私はこっちが好きなんだもんね。」
小銭を慣れた手付きで投入していく。
ソラが操作するアームの行方はオムツを履いた赤ちゃんクマがおしゃぶりを咥えているぬいぐるみだ。
「かなりビッグだから取りにくいけど、このクマの赤ちゃんはウミに無理やり履かせたパンツと同じデザインだから絶対ゲットする!」
ソラはお目当てのクマの赤ちゃんのぬいぐるみにロックオンした。
先ほどとは異なりガッチリ掴むというよりは壁際にあるぬいぐるみをアームの爪で引っ掛けて近くにある穴へ救い上げるやり方だ。
「これでどう?」
クマの赤ちゃんはソラの狙い通り、穴へ落ちて足元にある取り出し口から出てきた。
「やったぁ!1番欲しかったのよ!ウミのパンツと同じクマの赤ちゃん!」
ソラは大事そうに抱き上げ頬ずりをしている。
「姉貴ったら可愛いわね。」
妹のセラは少し頬を膨らませて少女のように喜ぶソラを見ている。
「ボクもあのオッパイの大きいお姉ちゃんと同じぬいぐるみが欲しいよぉ!」
「えっ?シュゴー。」
ソラは後ろを振り返るとそこには幼稚園児くらいの男の子が指を差してソラを見ている。
「レイ君。お姉ちゃんに指をさしてはダメよ。」
喚き散らす男の子の隣には白髪頭で杖をついた年配の女性がいた。
ソラに見られている事に気づいた白髪頭の女性は少し慌てながら言った。
「ごめんなさいね。ウチの孫が以前からそちらのぬいぐるみを欲しがっているんですが、私はどうもこういう機械が苦手でね~。」
「お婆ちゃん、今日こそ取ってよぉ!ねぇお婆ちゃん!ねぇったら!」
男の子は繋いだ右手をブンブン振っている。
「あぁ、はいはい。」
孫の言いなりの老婆はソラの隣に立って財布から渋々、小銭を取り出そうとしている。
「あら、どうしましょ。細かいお金もお札もないわ。
お財布に入れてきたはずなんだけど。」
「えっ?ゲームできないの?お婆ちゃん!?」
「レイ君、ごめんね。今日はお金がなくてできないのよ。」
レイ君と呼ばれている男の子は一気に顔面をクシャクシャに崩壊させて号泣した。
「今日こそ、取るって言ったよ!お婆ちゃんの嘘つき!」
孫はその場で小さい身体を揺らしたり飛び跳ねたりして周囲の目等を気にする事もなく感情を露わにしている。
「あわわ、私はどうすればいいのかしら。」
泣き叫ぶ孫に慌てふためくお婆さんは酷く動揺している。
「あ、あのう。もしよろしかったら私のをお孫さんに差し上げましょうか?シュ、ゴ…。」
「で、でも。」
「私ならまたゲットできますから。」
「今は持ち合わせがないので、お金をお渡しできません。後日ぬいぐるみのお題をお返ししたいのでご連絡先を…。」
お婆さんがソラに話している最中だったが、ソラは背丈の低い孫と同じ目線に落とす為、しゃがみ込んだ。
「はぁい。レイ君。お姉ちゃんからプレゼントだよ。だからもう泣かないでね。」
目を真っ赤に腫らしていた幼児は泣くのを止め、満面の笑顔になった。
「わぁ~!」
「ありがとうございます!ありがとうございます!ここまでしてくださって本当にありがとうございます。
あの、あなたのご連絡先を…。」
「シュゴー、では私は用事があるので失礼しまーす!」
お金は返さなくていいと手を左右に振った後、さようならのジャスチャーに切り替えた。
「オッパイのおっきいお姉ちゃんありがとう!」
ぬいぐるみを抱きながら幼児もソラに手を振って大きな声で言った。
幼児の声を聞いていた周辺の男女がソラを見ている。
恥ずかしそうに揺れる胸を両手で隠しながらゲームセンターを後にした。
「姉貴らしいな。」
笑顔のセラは引き続きソラの後を追った。
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