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だってウミは王子様だもん!
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「どこかに手がかりはねぇのかよ。」
足の踏み場もないゴミ屋敷では、ソラの居場所を示す手がかりを見つけ出すのは海賊が隠した金銀財宝を見つけるのと同じくらい難しいだろう。
「こんなに散らかしやがって!変態野郎めが!」
苛立ったウミは手当たり次第に部屋中の物に当たり散らした。
締め切った部屋で埃が舞い上がり、強烈な臭いがウミの鼻を刺激する。
「ぐわぁ!だめだ、もう限界だぜ…。」
両手で鼻と口を押さえながらミカミの部屋を出た。
「はぁ、はぁ。悪臭で死ぬかと思った…。なんちゅう野郎だよ。」
玄関先でしばらく深呼吸したウミは自分の部屋に入り、ミカミのゴミ屋敷に潜入した際にこびりついた匂いを消す為、シャワーを浴びた。
シャー
「なかなかソラの所在を掴めねぇ!イライラするぜ!いったいどこにいんだよ?ソラ!」
シャワーを浴びた後、ウミは着替えを済ませて居間に行き、スマホを握りしめた。
「まどろっこしい事は苦手だ!直接、コイツに聞けばいい!またシカトするなら根比だ。
意地張って電話にでるまでかけてやる!」
気合いを入れたウミはソラに電話をかけた。
****
「ん?」
セラはソラのスマホの着信に気付き、スマホを見るとウミからの電話だとわかった。
「姉貴!お義兄さんからだよ!」
トイレに入ったばかりのソラに急いで声をかけた。
「えっ?ウミから!?でも私ならまだ電話に出るつもりはないわ。」
「まだそんな事を言っているの?お義兄さんにこれ以上、心配をかけてどうすんのさ?」
前回と違い、着信は切れる事はなくずっと鳴り響いている。
「お義兄さんの身になんかあったんじゃないの?」
「まさか?ウミに限ってそんな事…。」
ソラはデニムを脱いでショーツのまま便座に座っている。
「お義兄さんは車を運転しているだろ?
もしかしたら事故ったかもしれないし、場合によっては離婚の話かもしれないんだよ!」
セラはトイレの前で語気を強めて言った。
「やだぁぁぁ!ウミと離婚はやだぁぁぁ!」
トイレのドアが勢いよく開き、膝下まで脱ぎかけたデニムのせいで歩きづらそうにしながらソラは泣き叫んだ。
「姉貴、ほら!」
セラはスマホを手渡した。
「もしもし?ウミィ?お願いだから私を捨てないで!離婚するなんて言ったらウミィの目の前で死んでやるぅぅぅ!」
開口一番、ソラは叫んだ。
「ソラ!?やっと繋がったな。おまえの声が聞けてほっとしたよ!
おまえは今、どこに居るんだい?」
「…へ?私の居場所?それはまだ言いたくないの。
でも、離婚はしたくない。お願いだから私を捨てないでよ!」
ベッドに座り込んだセラは呆れた顔でタンクトップの中に手を入れてポリポリ掻いている。
「さっきから何言ってんだ?
なんで俺がおまえと離婚をしなきゃならないんだよ。
そんな話ではなく、おまえが心配なんだ。
ミカミがおまえを狙ってやがる。
だから、どこにいるか教えろよ。おまえを守れるのは俺だけだ。」
ウミは素直な気持ちをストレートに伝えた。
「ウミィ…いつもありがとうね。こんな私の心配をしてくれてさ…。」
ソラは涙目になりながら、自然と内股になりプリッとした白いショーツを履いた尻を小刻みに振っている。
セラはウミの声が殆ど聞こえていないがソラの会話の内容から察して、夫婦喧嘩も一件落着かなと思い笑みを浮かべていた。
足の踏み場もないゴミ屋敷では、ソラの居場所を示す手がかりを見つけ出すのは海賊が隠した金銀財宝を見つけるのと同じくらい難しいだろう。
「こんなに散らかしやがって!変態野郎めが!」
苛立ったウミは手当たり次第に部屋中の物に当たり散らした。
締め切った部屋で埃が舞い上がり、強烈な臭いがウミの鼻を刺激する。
「ぐわぁ!だめだ、もう限界だぜ…。」
両手で鼻と口を押さえながらミカミの部屋を出た。
「はぁ、はぁ。悪臭で死ぬかと思った…。なんちゅう野郎だよ。」
玄関先でしばらく深呼吸したウミは自分の部屋に入り、ミカミのゴミ屋敷に潜入した際にこびりついた匂いを消す為、シャワーを浴びた。
シャー
「なかなかソラの所在を掴めねぇ!イライラするぜ!いったいどこにいんだよ?ソラ!」
シャワーを浴びた後、ウミは着替えを済ませて居間に行き、スマホを握りしめた。
「まどろっこしい事は苦手だ!直接、コイツに聞けばいい!またシカトするなら根比だ。
意地張って電話にでるまでかけてやる!」
気合いを入れたウミはソラに電話をかけた。
****
「ん?」
セラはソラのスマホの着信に気付き、スマホを見るとウミからの電話だとわかった。
「姉貴!お義兄さんからだよ!」
トイレに入ったばかりのソラに急いで声をかけた。
「えっ?ウミから!?でも私ならまだ電話に出るつもりはないわ。」
「まだそんな事を言っているの?お義兄さんにこれ以上、心配をかけてどうすんのさ?」
前回と違い、着信は切れる事はなくずっと鳴り響いている。
「お義兄さんの身になんかあったんじゃないの?」
「まさか?ウミに限ってそんな事…。」
ソラはデニムを脱いでショーツのまま便座に座っている。
「お義兄さんは車を運転しているだろ?
もしかしたら事故ったかもしれないし、場合によっては離婚の話かもしれないんだよ!」
セラはトイレの前で語気を強めて言った。
「やだぁぁぁ!ウミと離婚はやだぁぁぁ!」
トイレのドアが勢いよく開き、膝下まで脱ぎかけたデニムのせいで歩きづらそうにしながらソラは泣き叫んだ。
「姉貴、ほら!」
セラはスマホを手渡した。
「もしもし?ウミィ?お願いだから私を捨てないで!離婚するなんて言ったらウミィの目の前で死んでやるぅぅぅ!」
開口一番、ソラは叫んだ。
「ソラ!?やっと繋がったな。おまえの声が聞けてほっとしたよ!
おまえは今、どこに居るんだい?」
「…へ?私の居場所?それはまだ言いたくないの。
でも、離婚はしたくない。お願いだから私を捨てないでよ!」
ベッドに座り込んだセラは呆れた顔でタンクトップの中に手を入れてポリポリ掻いている。
「さっきから何言ってんだ?
なんで俺がおまえと離婚をしなきゃならないんだよ。
そんな話ではなく、おまえが心配なんだ。
ミカミがおまえを狙ってやがる。
だから、どこにいるか教えろよ。おまえを守れるのは俺だけだ。」
ウミは素直な気持ちをストレートに伝えた。
「ウミィ…いつもありがとうね。こんな私の心配をしてくれてさ…。」
ソラは涙目になりながら、自然と内股になりプリッとした白いショーツを履いた尻を小刻みに振っている。
セラはウミの声が殆ど聞こえていないがソラの会話の内容から察して、夫婦喧嘩も一件落着かなと思い笑みを浮かべていた。
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