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不機嫌なレスポール
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チリリリリン
チリリリリン
「だぁ、うるせぇなあ!もうちょい寝かせてくれたっていいだろうが!」
ソラが置いていったクマがデザインされた目覚まし時計に文句を言って止めた後、布団の中でうつ伏せになった。
「ソラが作ってくれた朝飯が食いてえなぁ…。」
そう呟くとすぐさま、うつ伏せから寝返りをうち、仰向けになると天井を眺めた。
天井は相変わらず汚れが目立っている。
「…ソラはいくら掃除したって、天井の汚れが取れないって言ってたっけ。」
ウミはプイと首を傾けて右隣を見る。
今までなら、可愛らしい寝息をたててソラは隣で眠っていたのだ。
かつての癖が染み付いていて、右側にスペースを開けてしまう。
「ソラのヤツ、どこで何をしているんだか。
たぶんセラちゃんも一緒にいるんだろうが安心はできねぇよ。
強い俺がいなかったらあの女はイカれた野郎どもの性的な餌食になっちまう。」
布団の中に突っ込んだクマの時計を取り出して現在の時刻を見た後、ウミは今日をどのように過ごすか迷う事なく決めた。
「あ、もしもし?おはようございます。
神園ですが今朝から頭が痛いんです。
スイヤセンが休ませていただけませんか。
はい、はい。あっ、スイヤセン。
はい、ありがとうございます。それでは失礼します。」
スマホを布団に放り投げた後、枕元にあった炭酸切れのコーラをグビグビ飲んでいる。
「マジィィ!クソマジィィィ!」
炭酸が抜けた不味いコーラが眠気覚ましになったようで、そのおかげかスイッチが入ったかの如く素早い動きでテキパキ身支度を済ませた。
リーバイスのスリムなブラックジーンズを履き、クシャクシャなシャツを脱いだ後、引き締まったボディの上からニューヨーク・ドールズのTシャツを着た。
「おっと、汚ねえ髭面を剃ってねぇ!」
窓に映った自分の無精髭を見て気付き、洗面所に向かった。
量販店で買った安物の髭剃りを使って顔の髭を剃っていく。
「イッテ、顎先をカットしちっまった。」
顎先から右斜め上に数センチほどの切り傷を作ってしまった。
傷跡から血が少し遅れて流れてきた。
鏡を見たウミは最初にできた痛みは我慢できても、後からやってくるヒリヒリしたような痛みの方が苦手だと改めて気付かされた。
濡れた手をブラックジーンズで拭い水気をとった後、そのまま洗面所を出てすぐ玄関へ向かいドアの鍵をかけた。
ガチャ
「戸締りよし!」
ウミは隣に住むミカミの玄関先を睨んだ。
ミカミの郵便受けは封筒やポスティングされた宅配寿司やピザのチラシでごちゃごちゃになっている。
しばらくの間、帰宅した形跡はない。
現在もミカミは不在だった。
「ミカミがソラをスマホで撮影した場所はいってぇどこなんだ?
それがわかりゃソラの居場所を特定できんだけどなぁ。」
ふと、ウミはミカミが住んでいる部屋まで歩み寄り、玄関ドアのドアノブに手をかけた。
チリリリリン
「だぁ、うるせぇなあ!もうちょい寝かせてくれたっていいだろうが!」
ソラが置いていったクマがデザインされた目覚まし時計に文句を言って止めた後、布団の中でうつ伏せになった。
「ソラが作ってくれた朝飯が食いてえなぁ…。」
そう呟くとすぐさま、うつ伏せから寝返りをうち、仰向けになると天井を眺めた。
天井は相変わらず汚れが目立っている。
「…ソラはいくら掃除したって、天井の汚れが取れないって言ってたっけ。」
ウミはプイと首を傾けて右隣を見る。
今までなら、可愛らしい寝息をたててソラは隣で眠っていたのだ。
かつての癖が染み付いていて、右側にスペースを開けてしまう。
「ソラのヤツ、どこで何をしているんだか。
たぶんセラちゃんも一緒にいるんだろうが安心はできねぇよ。
強い俺がいなかったらあの女はイカれた野郎どもの性的な餌食になっちまう。」
布団の中に突っ込んだクマの時計を取り出して現在の時刻を見た後、ウミは今日をどのように過ごすか迷う事なく決めた。
「あ、もしもし?おはようございます。
神園ですが今朝から頭が痛いんです。
スイヤセンが休ませていただけませんか。
はい、はい。あっ、スイヤセン。
はい、ありがとうございます。それでは失礼します。」
スマホを布団に放り投げた後、枕元にあった炭酸切れのコーラをグビグビ飲んでいる。
「マジィィ!クソマジィィィ!」
炭酸が抜けた不味いコーラが眠気覚ましになったようで、そのおかげかスイッチが入ったかの如く素早い動きでテキパキ身支度を済ませた。
リーバイスのスリムなブラックジーンズを履き、クシャクシャなシャツを脱いだ後、引き締まったボディの上からニューヨーク・ドールズのTシャツを着た。
「おっと、汚ねえ髭面を剃ってねぇ!」
窓に映った自分の無精髭を見て気付き、洗面所に向かった。
量販店で買った安物の髭剃りを使って顔の髭を剃っていく。
「イッテ、顎先をカットしちっまった。」
顎先から右斜め上に数センチほどの切り傷を作ってしまった。
傷跡から血が少し遅れて流れてきた。
鏡を見たウミは最初にできた痛みは我慢できても、後からやってくるヒリヒリしたような痛みの方が苦手だと改めて気付かされた。
濡れた手をブラックジーンズで拭い水気をとった後、そのまま洗面所を出てすぐ玄関へ向かいドアの鍵をかけた。
ガチャ
「戸締りよし!」
ウミは隣に住むミカミの玄関先を睨んだ。
ミカミの郵便受けは封筒やポスティングされた宅配寿司やピザのチラシでごちゃごちゃになっている。
しばらくの間、帰宅した形跡はない。
現在もミカミは不在だった。
「ミカミがソラをスマホで撮影した場所はいってぇどこなんだ?
それがわかりゃソラの居場所を特定できんだけどなぁ。」
ふと、ウミはミカミが住んでいる部屋まで歩み寄り、玄関ドアのドアノブに手をかけた。
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