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ユウシン&トモキVS変態ミカミ
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(ライブ終了後)
「クッソ~!何度かミスっちまった。ありえねえよ。」
ウミはタオルを頭から被って独り言のように言った。
「おまえが精彩をかくのは珍しいな。」
だらんと垂れたタオルからウミがドラマーを見る。
「カズ?カズから見て今日の俺はどうだったよ?今の俺には客観的に自分を見れねえんだわ。」
「おっ!これまた珍しい。ぜってーに俺らのアドバイスに耳を傾けなかったウミが相談をしてくるとは。」
「そんなんいいから早く答えろよ。」
「まぁ、おまえより歳上の俺から言わせてもらうと技術的な理由ってよりメンタル的な部分じゃないかな?
ギグになるとおまえは目の色変えて歌ってギターを弾いていたのに、どうも集中力が散漫している気がするんだよね。
心ここに在らずっていうかさ。」
電子タバコをふかしながらカズは続けて言った。
「後ろから太鼓を叩いていてもよくわかるよ。今のウミにはパッションがない。ぶっちゃけ言わせてもらうと死んでいる。」
「俺が死んでるって?ふざけんなタコ助!」
カズの胸元を掴んで恫喝している。
「待てよ!おまえが俺に意見を求めたから本音を言ったまでだ!別におまえと喧嘩をしたくて言ったわけじゃないんだ。」
ウミは手を離してため息をついた。
「おめえがオススメしたこの店の料理はちっとも美味くなかった。だから今日のとこはカズよ!おまえの奢りだ。」
「なんじゃそりゃふざけんなよ!割り勘だろ!」
結局、その場の勘定はドラマーのカズが支払う事になった。
自宅に着くと部屋は真っ暗。
同じアパートの隣に住むミカミも不在だった。
「ソラのバカ。もう帰ってこないつもりかよ。ちっとも返信してこないじゃないか。」
スマホを見ながらウミは呟いた。
「技術的な部分は日々成長を実感している。
ギグでも余計な緊張はねぇ。そうなると、やっぱしカズの野郎が言ったとおりメンタル面か…。」
ウミは手に持ったスマホをしばらく見つめた後、ソラに通話をした。
「はっ!ウミからだ!」
ソラはミカミが襲ってきた事件のせいで、眠れずにいた。
「姉貴?早く出なよ。」
ベッドで横になっているセラが言う。
同じくセラもミカミの件で熟睡できずにいる。
「まだ早いわ。私はウミの電話はまだでない。」
ベッドから起き上がりお姉さん座りの姿勢から、ソラは満面の笑みを浮かべている。
「めちゃくちゃ喜んでいるくせに電話に出ないって変だよ。あたしだったら着信が来た瞬間に出るわ。」
「だって色々事情があったんだもん。ウミが頭を下げて私を探さない限り出ないんだから。」
「あー姉貴のそういうとこマジで理解に苦しむ…。」
「ソラ…俺が悪かったよ。これからちゃんとソラの言う事を聞いていくよ。だから戻ってきて…ウミが私にそう言ったら私はすぐに戻る。きゃあ、ウミ可愛い!!」
「愛も深いと色々な問題が生じるんだな。」
スマホから鳴り響くウミの着信を嬉しそうに無視をするソラを見てセラはボソッと呟いた。
「クッソ~!何度かミスっちまった。ありえねえよ。」
ウミはタオルを頭から被って独り言のように言った。
「おまえが精彩をかくのは珍しいな。」
だらんと垂れたタオルからウミがドラマーを見る。
「カズ?カズから見て今日の俺はどうだったよ?今の俺には客観的に自分を見れねえんだわ。」
「おっ!これまた珍しい。ぜってーに俺らのアドバイスに耳を傾けなかったウミが相談をしてくるとは。」
「そんなんいいから早く答えろよ。」
「まぁ、おまえより歳上の俺から言わせてもらうと技術的な理由ってよりメンタル的な部分じゃないかな?
ギグになるとおまえは目の色変えて歌ってギターを弾いていたのに、どうも集中力が散漫している気がするんだよね。
心ここに在らずっていうかさ。」
電子タバコをふかしながらカズは続けて言った。
「後ろから太鼓を叩いていてもよくわかるよ。今のウミにはパッションがない。ぶっちゃけ言わせてもらうと死んでいる。」
「俺が死んでるって?ふざけんなタコ助!」
カズの胸元を掴んで恫喝している。
「待てよ!おまえが俺に意見を求めたから本音を言ったまでだ!別におまえと喧嘩をしたくて言ったわけじゃないんだ。」
ウミは手を離してため息をついた。
「おめえがオススメしたこの店の料理はちっとも美味くなかった。だから今日のとこはカズよ!おまえの奢りだ。」
「なんじゃそりゃふざけんなよ!割り勘だろ!」
結局、その場の勘定はドラマーのカズが支払う事になった。
自宅に着くと部屋は真っ暗。
同じアパートの隣に住むミカミも不在だった。
「ソラのバカ。もう帰ってこないつもりかよ。ちっとも返信してこないじゃないか。」
スマホを見ながらウミは呟いた。
「技術的な部分は日々成長を実感している。
ギグでも余計な緊張はねぇ。そうなると、やっぱしカズの野郎が言ったとおりメンタル面か…。」
ウミは手に持ったスマホをしばらく見つめた後、ソラに通話をした。
「はっ!ウミからだ!」
ソラはミカミが襲ってきた事件のせいで、眠れずにいた。
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ベッドで横になっているセラが言う。
同じくセラもミカミの件で熟睡できずにいる。
「まだ早いわ。私はウミの電話はまだでない。」
ベッドから起き上がりお姉さん座りの姿勢から、ソラは満面の笑みを浮かべている。
「めちゃくちゃ喜んでいるくせに電話に出ないって変だよ。あたしだったら着信が来た瞬間に出るわ。」
「だって色々事情があったんだもん。ウミが頭を下げて私を探さない限り出ないんだから。」
「あー姉貴のそういうとこマジで理解に苦しむ…。」
「ソラ…俺が悪かったよ。これからちゃんとソラの言う事を聞いていくよ。だから戻ってきて…ウミが私にそう言ったら私はすぐに戻る。きゃあ、ウミ可愛い!!」
「愛も深いと色々な問題が生じるんだな。」
スマホから鳴り響くウミの着信を嬉しそうに無視をするソラを見てセラはボソッと呟いた。
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