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神園ウミVS変態ミカミ
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ウミは自宅に戻りもう一度、電話をした。
「アイツなんで出ねえんだよ!」
ウミはカッカしてスマホを部屋の壁にぶつけようとしたが、歯を食いしばって自制をした。
「俺と話すのがそんなに嫌ならトークならどうだ?」
深呼吸をした後、ウミはスマホを使いソラにメッセージを入れた。
さっきアパートの駐車場で見つけた不審なミカミと取っ組み合いになった。
いつ頃の動画かわからないが、ベランダがウチではないから家出をした後だと思う。
内容は洗濯物を干すソラをミカミの野郎がスマホで盗撮していやがったんだ。
豚みたいなお巡りが余計な事をしたせいで、ミカミを取り逃してしまった。
今後もミカミはソラを狙うはずだ。
おまえが今、どこに住んでいるかなんて俺にはわからないがおまえを守れるのは俺だけなんだぜ。
連絡を待っているよ。
「すぐ既読はつかないかもな。」
スマホを座布団に放りなげた後、ぐったり横になりながら天井を見上げた。
「セラ、食べ過ぎじゃない?ちょっとは遠慮しなきゃダメよ。」
「あのね、姉貴。ご家族3人だけであれだけボリューミーな料理が食べられると思う?
あたしらの為に用意してくれたわけ。
ユウシンママだって遠慮しないで全部食べてと言っていたんだしさ。
残さず食べなかったら、失礼だよ。」
腹をポンポン叩きながらソラに言った。
エレベーターのボタンを連打して上階に上がる。
チン
「いやー食べた食べた!美味しかったわぁ。シャワー浴びて明日の準備して寝よう!」
「そうね、明日は仕事だもんね。」
コツコツコツコツ
「ん?足音がする。姉貴、後ろに下がってて。」
静かに呟き、ソラの前に出た。
「やだ…またミカミなの?」
「姉貴はこれを持っていて。なんかあったら躊躇なくコイツで刺すんだよ。」
セラは家の鍵をソラに手渡す。
真剣な表情で話したセラを見て頼もしいと思ったのと同時に深刻な事態に直面している気がして恐怖が増した。
「足音が近づいてくる…。」
ソラは鍵を握る手に力が入った。
コツコツコツコツ
通路側から姉妹がいるエレベーター付近に姿を現したのは2人の職場の上司に当たるヒロコだった。
「ヒロコさん!」
2人は声を弾ませた。
「あっ、セラちゃん!お姉ちゃんもいるわね。たったいま電話が通じなかったからセラちゃんのお家でお話をしようと思ってたんだけどお留守だったのよ。」
「ごめんなさーい!あたし達、船木さんに誘われて夕飯をご馳走になっていたんです。
その時、うっかりスマホを家に置きっぱにして出て来ちゃって。」
姉妹はヒロコにわざわざ家まで来させてしまった事にバツの悪さを感じている。
「その船木さんから聞いたわよ。変質者にストーキングされているんだってね。
さっそくだけど、明日は2人ともお休みにした方がいいわ。こんな状態で2人を出勤させるわけにはいかないよ。
大切な従業員を危険な目に合わせたくないからね。
犯人が捕まるまで自宅待機していてほしいの。」
「でも、明日は業務が立て込んでいますよね?なので休むわけにはいかないです。」
「姉貴の言う通り!明日も通常通り出勤します!」
「でも何かあってからじゃ遅いわよ。ウチ、2人の事すっごく心配なんだ。」
ヒロコは深刻な顔で言った。
「仮に仕事を休んだとしても、買い物だってしなきゃだしなんだかんだ外出はしなければならないんです。
だから仕事をさせてください。」
ヒロコは俯いて考えている。
「ヒロコさん…。私のせいで、私の…せいで仕事に支障をきたしてしまってすいません…。」
「お姉ちゃんは悪くないわ!事の元凶は全て女の子をつけ回す変態ストーカー男なんだから!
だからね、お姉ちゃんは謝らないで。ウチからのお願いよ。」
ヒロコはニコッと優しく微笑んだ。
「ヒロコさぁん…。うぅぅぅ。うわああん!」
ヒロコの優しさに感極まりソラは思わず抱きついた。
「あぁん。泣かないで。ねぇ?お姉ちゃん。心を強く持つのよ。」
「はぁい!心を、心を強く持つぅ!」
ソラがヒロコの胸で号泣しているのを見てセラも抱きついた。
「あたしもー!ヒロコさん好きー!」
「あは!セラちゃんまでどうしちゃったの?」
ヒロコは2人を強く抱きしめてあげた。
「アイツなんで出ねえんだよ!」
ウミはカッカしてスマホを部屋の壁にぶつけようとしたが、歯を食いしばって自制をした。
「俺と話すのがそんなに嫌ならトークならどうだ?」
深呼吸をした後、ウミはスマホを使いソラにメッセージを入れた。
さっきアパートの駐車場で見つけた不審なミカミと取っ組み合いになった。
いつ頃の動画かわからないが、ベランダがウチではないから家出をした後だと思う。
内容は洗濯物を干すソラをミカミの野郎がスマホで盗撮していやがったんだ。
豚みたいなお巡りが余計な事をしたせいで、ミカミを取り逃してしまった。
今後もミカミはソラを狙うはずだ。
おまえが今、どこに住んでいるかなんて俺にはわからないがおまえを守れるのは俺だけなんだぜ。
連絡を待っているよ。
「すぐ既読はつかないかもな。」
スマホを座布団に放りなげた後、ぐったり横になりながら天井を見上げた。
「セラ、食べ過ぎじゃない?ちょっとは遠慮しなきゃダメよ。」
「あのね、姉貴。ご家族3人だけであれだけボリューミーな料理が食べられると思う?
あたしらの為に用意してくれたわけ。
ユウシンママだって遠慮しないで全部食べてと言っていたんだしさ。
残さず食べなかったら、失礼だよ。」
腹をポンポン叩きながらソラに言った。
エレベーターのボタンを連打して上階に上がる。
チン
「いやー食べた食べた!美味しかったわぁ。シャワー浴びて明日の準備して寝よう!」
「そうね、明日は仕事だもんね。」
コツコツコツコツ
「ん?足音がする。姉貴、後ろに下がってて。」
静かに呟き、ソラの前に出た。
「やだ…またミカミなの?」
「姉貴はこれを持っていて。なんかあったら躊躇なくコイツで刺すんだよ。」
セラは家の鍵をソラに手渡す。
真剣な表情で話したセラを見て頼もしいと思ったのと同時に深刻な事態に直面している気がして恐怖が増した。
「足音が近づいてくる…。」
ソラは鍵を握る手に力が入った。
コツコツコツコツ
通路側から姉妹がいるエレベーター付近に姿を現したのは2人の職場の上司に当たるヒロコだった。
「ヒロコさん!」
2人は声を弾ませた。
「あっ、セラちゃん!お姉ちゃんもいるわね。たったいま電話が通じなかったからセラちゃんのお家でお話をしようと思ってたんだけどお留守だったのよ。」
「ごめんなさーい!あたし達、船木さんに誘われて夕飯をご馳走になっていたんです。
その時、うっかりスマホを家に置きっぱにして出て来ちゃって。」
姉妹はヒロコにわざわざ家まで来させてしまった事にバツの悪さを感じている。
「その船木さんから聞いたわよ。変質者にストーキングされているんだってね。
さっそくだけど、明日は2人ともお休みにした方がいいわ。こんな状態で2人を出勤させるわけにはいかないよ。
大切な従業員を危険な目に合わせたくないからね。
犯人が捕まるまで自宅待機していてほしいの。」
「でも、明日は業務が立て込んでいますよね?なので休むわけにはいかないです。」
「姉貴の言う通り!明日も通常通り出勤します!」
「でも何かあってからじゃ遅いわよ。ウチ、2人の事すっごく心配なんだ。」
ヒロコは深刻な顔で言った。
「仮に仕事を休んだとしても、買い物だってしなきゃだしなんだかんだ外出はしなければならないんです。
だから仕事をさせてください。」
ヒロコは俯いて考えている。
「ヒロコさん…。私のせいで、私の…せいで仕事に支障をきたしてしまってすいません…。」
「お姉ちゃんは悪くないわ!事の元凶は全て女の子をつけ回す変態ストーカー男なんだから!
だからね、お姉ちゃんは謝らないで。ウチからのお願いよ。」
ヒロコはニコッと優しく微笑んだ。
「ヒロコさぁん…。うぅぅぅ。うわああん!」
ヒロコの優しさに感極まりソラは思わず抱きついた。
「あぁん。泣かないで。ねぇ?お姉ちゃん。心を強く持つのよ。」
「はぁい!心を、心を強く持つぅ!」
ソラがヒロコの胸で号泣しているのを見てセラも抱きついた。
「あたしもー!ヒロコさん好きー!」
「あは!セラちゃんまでどうしちゃったの?」
ヒロコは2人を強く抱きしめてあげた。
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