私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

文字の大きさ
上 下
129 / 275
大嵐セラVS変態ミカミ

128

しおりを挟む
「どんな男だったんですか?」

「ミカミって言う名前で七三分けの髪型をしていてね、出っ歯でネズミみたいな顔の奴。」

セラが言った。

「ネズミ顔で七三分け…。ひょっとして上下デニムの服を着ていませんでしたか?」

顔まではわからなかったが七三分けの男はエレベーター内で乗り合わせていたので、もしやと思いユウシンは質問をした。

「着てたよ!デニム生地の服を着てた!お兄さんはネズミの事を知ってるの?」

ユウシンに言ったあと、セラがソラに目を合わせた。

「知り合いではないのですが、事件が起きる前にエレベーターで一緒になった男が七三分けで上下デニムの格好だったんです。」

「ネズミはこのマンションによく出入りしてるのかな?」

「僕は生まれた頃からここに住んでますがネズミは初めて見ましたよ。
たぶん住んではいないはずです。
母はマンションの住民には詳しいですから後で聞いてみようと思います。」

「そうかありがとう。ところでお兄さんの名前は?あたしは大嵐、そっちは姉の神園。」

「僕は船木優心と言います。えっとお二人は姉妹ですよね?それなのに苗字は違うんですね。」

「うん、双子の姉妹だよ。苗字が違うのはね、私が結婚したから。」

「姉貴は18歳の人妻だから。」

セラが笑って言った。

「ご結婚されていたんですね…。」

ソラが既婚者だと告げられたユウシンは突然降り出したスコールのような心模様だ。

「うん!今は別々に暮らしているけどね。」

ソラに恋心を抱いていたユウシンはショックが大きかった為、その場を離れようとタイミングを伺っていた。

「長く話してしまいすみません。僕はそろそろ帰ろうと思います。」

「いきなり呼んでごめんね。ユウシン君、ユウシン君も変な人には気をつけるんだよ。」

「そうだよ。ユウシン君が男だからとか関係なくおかしな奴って何をしでかすかわからないからね!」

「あっはい。お二人ともありがとうございます。」

ユウシンはそう言って歩き出し、すぐ振り返って姉妹に頭を下げた。


通路を歩きエレベーターに乗った。
自分の家があるフロアのボタンを押す手が弱々しい。

「まだ未成年でもあんなに綺麗で優しそうな人だから結婚していても不思議じゃないよね…。」

僕の恋は終わった。ユウシンは寂しげに自分が住んでいる家のドアを開けた。

「ユウシンお帰りなさい。」

「うん…。」

「うん、じゃなくてただいまでしょ?」

「…ただいま。」

ユウシンは逃げるように自室に向かってドアノブを捻った。

「パトカーが来た理由はわかったの?」

沈んだ顔からハッとした表情に変わり、ユウシンは母の元へ行き、ネズミ顔のミカミについて聞いた。

「ネズミ顔のミカミ?そんな男はこのマンションには住んでいないわ。
ここの住人じゃなくても他所から女の子を襲うような不審者がいたんじゃ怖いわね。
母さんがご近所さん達にユウシンが教えてくれた話をしてみるわ。大事な事よ。」
























しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。 自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。 彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。 そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。 大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】愛くるしい彼女。

たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。 2023.3.15 HOTランキング35位/24hランキング63位 ありがとうございました!

処理中です...