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大嵐セラVS変態ミカミ
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「どんな男だったんですか?」
「ミカミって言う名前で七三分けの髪型をしていてね、出っ歯でネズミみたいな顔の奴。」
セラが言った。
「ネズミ顔で七三分け…。ひょっとして上下デニムの服を着ていませんでしたか?」
顔まではわからなかったが七三分けの男はエレベーター内で乗り合わせていたので、もしやと思いユウシンは質問をした。
「着てたよ!デニム生地の服を着てた!お兄さんはネズミの事を知ってるの?」
ユウシンに言ったあと、セラがソラに目を合わせた。
「知り合いではないのですが、事件が起きる前にエレベーターで一緒になった男が七三分けで上下デニムの格好だったんです。」
「ネズミはこのマンションによく出入りしてるのかな?」
「僕は生まれた頃からここに住んでますがネズミは初めて見ましたよ。
たぶん住んではいないはずです。
母はマンションの住民には詳しいですから後で聞いてみようと思います。」
「そうかありがとう。ところでお兄さんの名前は?あたしは大嵐、そっちは姉の神園。」
「僕は船木優心と言います。えっとお二人は姉妹ですよね?それなのに苗字は違うんですね。」
「うん、双子の姉妹だよ。苗字が違うのはね、私が結婚したから。」
「姉貴は18歳の人妻だから。」
セラが笑って言った。
「ご結婚されていたんですね…。」
ソラが既婚者だと告げられたユウシンは突然降り出したスコールのような心模様だ。
「うん!今は別々に暮らしているけどね。」
ソラに恋心を抱いていたユウシンはショックが大きかった為、その場を離れようとタイミングを伺っていた。
「長く話してしまいすみません。僕はそろそろ帰ろうと思います。」
「いきなり呼んでごめんね。ユウシン君、ユウシン君も変な人には気をつけるんだよ。」
「そうだよ。ユウシン君が男だからとか関係なくおかしな奴って何をしでかすかわからないからね!」
「あっはい。お二人ともありがとうございます。」
ユウシンはそう言って歩き出し、すぐ振り返って姉妹に頭を下げた。
通路を歩きエレベーターに乗った。
自分の家があるフロアのボタンを押す手が弱々しい。
「まだ未成年でもあんなに綺麗で優しそうな人だから結婚していても不思議じゃないよね…。」
僕の恋は終わった。ユウシンは寂しげに自分が住んでいる家のドアを開けた。
「ユウシンお帰りなさい。」
「うん…。」
「うん、じゃなくてただいまでしょ?」
「…ただいま。」
ユウシンは逃げるように自室に向かってドアノブを捻った。
「パトカーが来た理由はわかったの?」
沈んだ顔からハッとした表情に変わり、ユウシンは母の元へ行き、ネズミ顔のミカミについて聞いた。
「ネズミ顔のミカミ?そんな男はこのマンションには住んでいないわ。
ここの住人じゃなくても他所から女の子を襲うような不審者がいたんじゃ怖いわね。
母さんがご近所さん達にユウシンが教えてくれた話をしてみるわ。大事な事よ。」
「ミカミって言う名前で七三分けの髪型をしていてね、出っ歯でネズミみたいな顔の奴。」
セラが言った。
「ネズミ顔で七三分け…。ひょっとして上下デニムの服を着ていませんでしたか?」
顔まではわからなかったが七三分けの男はエレベーター内で乗り合わせていたので、もしやと思いユウシンは質問をした。
「着てたよ!デニム生地の服を着てた!お兄さんはネズミの事を知ってるの?」
ユウシンに言ったあと、セラがソラに目を合わせた。
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「ネズミはこのマンションによく出入りしてるのかな?」
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たぶん住んではいないはずです。
母はマンションの住民には詳しいですから後で聞いてみようと思います。」
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「うん、双子の姉妹だよ。苗字が違うのはね、私が結婚したから。」
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「ご結婚されていたんですね…。」
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ソラに恋心を抱いていたユウシンはショックが大きかった為、その場を離れようとタイミングを伺っていた。
「長く話してしまいすみません。僕はそろそろ帰ろうと思います。」
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「そうだよ。ユウシン君が男だからとか関係なくおかしな奴って何をしでかすかわからないからね!」
「あっはい。お二人ともありがとうございます。」
ユウシンはそう言って歩き出し、すぐ振り返って姉妹に頭を下げた。
通路を歩きエレベーターに乗った。
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「…ただいま。」
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沈んだ顔からハッとした表情に変わり、ユウシンは母の元へ行き、ネズミ顔のミカミについて聞いた。
「ネズミ顔のミカミ?そんな男はこのマンションには住んでいないわ。
ここの住人じゃなくても他所から女の子を襲うような不審者がいたんじゃ怖いわね。
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