私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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大嵐セラVS変態ミカミ

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ソラとセラに夢中になった事で、うっかりエレベーターに同乗してしまった事をトモキに散々揶揄からかわれた。

「はぁ、トモキ君を本当に友達認定していいのかな?ちょっと性格に問題がある気がする。」

ユウシンはトモキを見送った後、自分が住んでいるフロアに戻る為、再びエレベーターに乗ろうとした時、背後から気配を感じた。

振り返って見ると、上下デニムを着て髪を七三分けにした男は開いたドアに素早く入り込み、前にいたユウシンより先に中へ入った。

男は後ろの隅で壁にもたれて身動き一つしない。

旧型のエレベーターは音を鳴らして上に昇った。

チン

ドアが開くと男は先ほどとは違ってユウシンを追い越して前を歩く事はしない。

ユウシンは再び振り返って見ると、エレベーターのボタンを連打している男がいた。



「2度も振り返って俺を見ていたな。失礼なガキだ。」

ユウシンとエレベーターに同乗していたミカミはソラとセラが住むフロアへ向かった。

「あれから俺は考えを改めた。
コソコソせずに正面から女神と話そう。
今の俺なら女神も振り向いてくれるはずだ。」

玄関前で胸ポケットから櫛を取り出して髪を整え、香水を吹きかけた。

「さぁご対面だ。」

ピンポン

「はぁい。」

ソラは玄関を開けようとしたが、ウミに言われた事を思い出してマンションに備え付けられているインターフォンで対応した。

「どなた様ですか?」

「以前、お隣に住んでいたミカミです。ソラさんに会いに来ました。」

「ミカミさんが?私にどのようなご用ですか?」

「気持ちはインターフォンで伝わりません。玄関を開けてもらえませんか?」

「姉貴?誰?」

プロテインを飲んでいたセラがソラに聞いた。

手で受話器を押さえたソラは「以前アパートに住んでいたミカミさん。でも様子が変なのよね。気持ちはインターフォンで伝わらないから玄関を開けてだって。」

「怪しいなぁ。姉貴は出なくていいよ。ちょっとあたしに代わって。」

セラはソラに変わり受話器を耳に当てた。

「もしもし?こちらでご用件をお伺いしてもよろしいですか?」

「ソラさん。玄関を開けてください。一世一代、俺の愛の告白を無碍むげにしないでくださいよ。」

セラはソラにしかめっつらをしてコイツはヤバイぞといった表情で伝えた。

「コイツはけっこうヤバイ奴だと思うから、あたしがでるよ。」

「セラ!」

「大丈夫任しておいて!」

意気揚々と玄関のドアを開けた。

ガチャ

「なんの用?」

つっけんどんな言い方でミカミに話した。

「びっくりした!妹ちゃんの方か?まさかソラちゃんがそんな態度を取るわけないもんね。驚かせないでよ。」

「だからなんの用だって聞いてるんだよ?」

セラはミカミをギロッと睨んだ。

「お姉ちゃんを呼んで欲しい。俺はソラちゃんと結婚したいんだ。今すぐこの婚姻届にサインをしてくれ。」

ミカミはニヤニヤ気味の悪い笑みを浮かべながら、トートバッグから取り出した婚姻届を広げている。

ドアの奥で隠れて見ているソラは久しぶりに心の中が恐怖で支配されているのを感じた。

「とっととここから失せろ!でなきゃ警察を呼ぶぞ!」

「なんで君が怒るんだい?
ははぁ、ソラちゃんばかりをチヤホヤするからヤキモチを焼いているんだろう?
君は双子の妹なだけあって超絶美女だ。
しかし君はお淑やかさのカケラもない。
もし、俺の女になりたいなら部屋に入れろ。
先ほどの無礼を土下座して詫びるんだ。
そして全裸になって泣きながら忠誠を誓え。
男性であるミカミ様に敵いません、これからは女らしく振る舞いますと。
俺好みに調教してやる。」

セラは肘打ちをミカミの顔面に食らわせた。

「気持ち悪りぃうえに弱いんだな。アンタそんなんじゃただのカスじゃん。」

「ぐぇぇぇぇ!」

ムエタイの肘打ちを食らったミカミは痛みでのたうち回っている。

「姉貴に2度と付き纏うなよ!この変態が!」

ソラは警察を呼び、全ての事情を話した。

通報を受けて駆けつけたパトカーはセラ達が住むマンションに止まった。

2名の警官がマンションの中に入っていく。


プログラミングを学んでいたユウシンはパトカーが自宅のマンションに停まったのを不審に思い、窓を開けた。

「事件かな?」

部屋の窓からでは見えづらいので、スリッパを履いて玄関へ出た。











































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