私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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第3部 眠りから目覚めた後

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「ちっきしょう!」

散らかった部屋でウミはくだを巻いている。

「ニシみてぇなクソ野郎に洗脳されやがって!」

飲み干したコーラのペットボトルをキッチンに投げ捨てた。

「何もかも上手くいかねぇな。俺が中心のバンドなのにクビを宣告されちまうし…。ソラのヤツも出て行ってどこで何をしているのかもわからねえしよ。」

ウミのスマホから着信音が鳴った。

「あっソラか?」

ソラからの着信かと思った時、ウミは胸が高鳴った。

「コイツかよ。なんでぇ今更。」

先日まで一緒に活動をしていたドラマーからの着信だった。
電話にでるべきか躊躇したが何もやましい事はしていないと自負をしているウミは通話をする事にした。

「もしもし。」

「今、時間ある?おまえとどうしてもサシで話したくってさ。」

「クビになって暇だからいくらでもあるよ。」


ピンポン

玄関からチャイムが鳴った。

ソラが帰ってきたのか?

ドラマーとの通話なんて気にもせず、狭い部屋を小走りで玄関まで向かいドアスコープを覗くとスマホを持った元バンドメンバーが立っている。

「コイツかよ…。」

少しでも期待した自分が哀れに思えた。

「玄関先にいるなら電話なんかしねえで、チャイム鳴らせや!」

「おまえの機嫌がどんなんか確認しておきてぇだろ?」

「俺はいつでもご機嫌斜め。」

「ウミよ、今後はどうするつもりだ?」

「今後だぁ?なんも考えてねえよ。
ただし、今ハッキリ言える事はニシやおまえらに何度、説得されようと俺は譲歩しねえからな。
曲は使わせねえし、バンドにも復帰するつもりもない。」

「だろうな。でも俺がサシでおまえに会いに来たのは別の理由だ。」

ドラマーは持参したペットボトルのコーヒーを飲みながら言った。

「何のようだ?ニシみてえに回りくどい言い方をせず簡潔に言えよ。」

「随分、トゲトゲしい言い方をするやっちゃな。じゃあ望み通り簡潔に言うとだな…。」

ドラマーは一呼吸置いてから話した。

「俺もバンドを脱退した!」

「あっ、なんで?」

「奴らから聞いたわけじゃねぇから真相は知らないが、俺の態度がどうもにみえたらしい。
こう見えて俺はおまえを庇っていたんだぜ?
それがバンドメンバーやニシには背任行為に値したようでね。そんで干された。」

「リズム隊の要を切って残った2人だけでやんのかよ?」

「俺らより優秀なメンバーを新たに加えて再出発だとさ。」

「優秀なんて言われている奴は凡人だ。」

「お、ウミ語録が久しぶりに聞けた。」

「おめえはこれからどうすんだ?まだ音楽やるんだろ?」

コーヒーをがぶ飲みして、空にした後ドラマーは言った。

「おまえから聞いてくれたのはありがたい。
これも簡潔に言うぞ。
ウミ、俺と新しいバンドを結成しよう!」




























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