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ソラが女子高校生だった頃。逃亡先は新横浜
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雑踏の中、2人は当てもなく街中を駆け回った。
「シュゴ、シュゴ、もう私、限界だよ。どこかで休みたい。シュゴ、シュゴ。」
「はぁ、はぁ、駅やタクシー乗り場は異様に人がいて俺らを捕まえようと張ってるんじゃないのか?」
「ウミィ、これからどうすればいいの…。」
ソラが抱きついてきた。
「…あそこのビルで身を隠そう。」
注意深く周りを警戒しながらソラの手を引いて雑居ビルの中へ入った。
街中を輩達に追われたソラは疲れ果てて、雑居ビルの階段で座り込んだ。
チン
一階のエレベータードアが開く。
雑居ビルの共有スペースで身を隠す2人は、エレベーターから降りてきた作業服姿の男3人とウミは目が合った。
「あ、コイツ?青髪のガキだ!」
「おぉー!大嵐ソラちゃんじゃん?昨日も写真でお世話になりました。」
「クソ、まただ。」
「シュゴー、ウミィ、もう私、歩けない…。」
ソラは作業服を着た男達が近づいて来ても、座り込んだままで動けなくなっている。
「そんなら早く乗れよ!さぁ早く!」
「ウミィ…。」
「泣いている場合じゃねえ!」
ソラをおぶって、再び当てもなく走り出した。
体力には自信があるウミだが、細身とはいえソラをおぶった状態で追ってから走って逃げるのは至難の業だ。
ウミもまた限界を感じていた。
「うぅ、はぁ、クソ…キツイな…。」
2人はまたビルの中に入っていく。
「また、こんなとこに居たってさっきみたく襲われるぞ。」
汗だくのウミは息を切らしながら言った。
ウミにおぶられていたソラはお礼を言って背中から降りると辺りを見渡した。
制服を着たフロントスタッフがキャリーケースを携えた宿泊客に笑顔で対応している。
「ウミ、ここってホテルみたいだよ。」
「ビジネスホテルか?」
「たぶんそうだと思う。」
自動ドアのある出入り口付近にいたウミはソラの隣まで行き、フロントを見た。
「ホテルだな。外国人観光客らしき人もいるし。」
「ここで休もう。私はもう足が痛くて歩けないよ…。」
「確かに外にいるよりホテルの方が安心かもな。ただ、未成年でも泊まれるもんか?部屋は空いてんのか?」
ウミは疑問を口にした。
「…とりあえず私、フロントで宿泊の手続きをしてみるね。」
ソラはヨロヨロした足取りでフロントへ向かう。
かなり足が痛いようで右足を庇いながら歩いている。
遅れてウミもフロントへ向かった。
すぐにソラに追いついて2人でフロントで宿泊手続きをした。
****
「あいつら、ネットがどうたら言ってたけど、これの事か。」
ソラと一緒にスマホの画面を覗いた。
「こんなに詳しく俺らの足取りが書かれてやがるとは、さすがに俺も怖えよぉ。」
「雑居ビルで見かけた後、行方不明。
どこにいるかわからない。
神隠しみたいに消えた…。
この書き込みを読むと私達がホテルで宿泊しているのは気付かれてないみたい。」
ソラは掲示板に書かれた言葉を読んだ。
「これくらいじゃあ安心できねえけど、居場所が特定されていないだけマシだな。」
ウミはスプリングの効いたベッドの上で大の字になった。
ソラの身体は振動で揺れた。
「シュゴ、シュゴ、もう私、限界だよ。どこかで休みたい。シュゴ、シュゴ。」
「はぁ、はぁ、駅やタクシー乗り場は異様に人がいて俺らを捕まえようと張ってるんじゃないのか?」
「ウミィ、これからどうすればいいの…。」
ソラが抱きついてきた。
「…あそこのビルで身を隠そう。」
注意深く周りを警戒しながらソラの手を引いて雑居ビルの中へ入った。
街中を輩達に追われたソラは疲れ果てて、雑居ビルの階段で座り込んだ。
チン
一階のエレベータードアが開く。
雑居ビルの共有スペースで身を隠す2人は、エレベーターから降りてきた作業服姿の男3人とウミは目が合った。
「あ、コイツ?青髪のガキだ!」
「おぉー!大嵐ソラちゃんじゃん?昨日も写真でお世話になりました。」
「クソ、まただ。」
「シュゴー、ウミィ、もう私、歩けない…。」
ソラは作業服を着た男達が近づいて来ても、座り込んだままで動けなくなっている。
「そんなら早く乗れよ!さぁ早く!」
「ウミィ…。」
「泣いている場合じゃねえ!」
ソラをおぶって、再び当てもなく走り出した。
体力には自信があるウミだが、細身とはいえソラをおぶった状態で追ってから走って逃げるのは至難の業だ。
ウミもまた限界を感じていた。
「うぅ、はぁ、クソ…キツイな…。」
2人はまたビルの中に入っていく。
「また、こんなとこに居たってさっきみたく襲われるぞ。」
汗だくのウミは息を切らしながら言った。
ウミにおぶられていたソラはお礼を言って背中から降りると辺りを見渡した。
制服を着たフロントスタッフがキャリーケースを携えた宿泊客に笑顔で対応している。
「ウミ、ここってホテルみたいだよ。」
「ビジネスホテルか?」
「たぶんそうだと思う。」
自動ドアのある出入り口付近にいたウミはソラの隣まで行き、フロントを見た。
「ホテルだな。外国人観光客らしき人もいるし。」
「ここで休もう。私はもう足が痛くて歩けないよ…。」
「確かに外にいるよりホテルの方が安心かもな。ただ、未成年でも泊まれるもんか?部屋は空いてんのか?」
ウミは疑問を口にした。
「…とりあえず私、フロントで宿泊の手続きをしてみるね。」
ソラはヨロヨロした足取りでフロントへ向かう。
かなり足が痛いようで右足を庇いながら歩いている。
遅れてウミもフロントへ向かった。
すぐにソラに追いついて2人でフロントで宿泊手続きをした。
****
「あいつら、ネットがどうたら言ってたけど、これの事か。」
ソラと一緒にスマホの画面を覗いた。
「こんなに詳しく俺らの足取りが書かれてやがるとは、さすがに俺も怖えよぉ。」
「雑居ビルで見かけた後、行方不明。
どこにいるかわからない。
神隠しみたいに消えた…。
この書き込みを読むと私達がホテルで宿泊しているのは気付かれてないみたい。」
ソラは掲示板に書かれた言葉を読んだ。
「これくらいじゃあ安心できねえけど、居場所が特定されていないだけマシだな。」
ウミはスプリングの効いたベッドの上で大の字になった。
ソラの身体は振動で揺れた。
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