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ソラが女子高校生だった頃。宗成の凶行
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「お帰りなさいませ。宗成さん…はっ?」
家政婦は驚いて息をのんだ。
「さぁ、歩け。俺の部屋にくるんだ。」
「放して!」
ソラは叫んだ。
「放してと言われて放すバカはいないだろう。」
宗成は、カッカッカッと笑った。
「シュゴー、黙れ!変態!ウミに何かあったら殺してやるから!」
手錠をかけられたソラは自分の心配をする事より催涙スプレーを噴射され、警棒で殴られたウミの事が不安で仕方なかった。
「叫べ叫べ!おまえを痛ぶるのに俄然やる気がでる。」
「あの、宗成さん。そのお嬢さんは…?」
とても大きな玄関で若い家政婦が恐る恐る聞いた。
「これかい?」
ソラを指差して宗成は言った。
「ずっと手に入れたかった日本一のメスさ。」
****
ウミはぼんやりした視界から女の顔が見える。
「マキ!この子、目が覚めたみたいよ。」
マキと呼ばれる人物がベッドで横たわるウミに近づいた。
「目が覚めて良かった。アンタ、失神していたんだよ。」
「ソラはどこにいる?」
「ソラって、あの変な格好をした女の子だよね?あの娘なら宗成に連れていかれちまったよ。」
マキと呼ばれている金髪女子は悲痛な表情で言った。
「チクショー、助けにいかねぇと…。」
起きあがろうとするウミは頭を抱えた。
「アンタ、警棒で頭を殴られてんだよ。そんな身体じゃ動けやしない。」
「うるせえ!助けにいかなきゃ、あの野郎に何をされるかわかんねえだろが!」
「マキ、警察に通報しようよ!それっきゃウチらができることはほかにないわ。」
「やっぱそうよね。あたし、今から通報するよ。」
マキはスマホを持って連絡をしようとした時、養護教諭の女性と校長が現れた。
「警察に連絡をするのだけは、待ってくれないか?」
校長がハンカチで汗を拭いながら言う。
「なんで?」
マキは低い声で聞いた。
「3年生の砂城院宗成の素行は前々から気にはしていたが、彼の悪行は目を瞑るよりほかないんだ。」
「そんな筋の通らない説明なんかじゃ納得いかないね。
宗成の悪行に目を瞑るわけを言いなよ。」
マキは苛立ちながら言った。
「砂城院家は世界をリードする有名な財閥でね…。国内のみならず世界的な権力者と繋がっている。」
校長は眼鏡の位置を人差し指で整えた。
「所謂、世間では陰謀論と呼ばれる事件や奇怪な話がある。
キミらも、もしかしたらいくつか耳にした事があるんじゃないか?
あれら陰謀の半分は砂城院家が関わっており、実際に闇に葬った事件も数知れず。
恐ろしい一族なんだよ。」
「関係ないわ!あたしゃ警察に通報する。」
「待ってくれ!一応は法治国家である以上、警察へ通報をすればきっと捜査はするだろう。
砂城院家から賄賂を貰わず、孤独な戦いをする捜査員もいるはずだ。
しかしながら、通報した場合なぜだかわからないが通報した者の情報が漏れて一家離散やあらぬ容疑をかけられて逮捕、不審死を遂げた事件が一時期あとを立たなかった。」
「なんだい?あたしらを脅すつもり?」
「これは脅しではない。
そもそも10代の君に国を動かすそのような一族と渡り合える力はあるのかね?
通報した者だけではない、家族や友人やらさほど関わっていない人物にも被害が及ぶ。
キミには全てを犠牲にしてでも砂城院家と争う覚悟はあるのか?」
校長の話を聞いた金髪女子のマキは黙ってしまった。
家政婦は驚いて息をのんだ。
「さぁ、歩け。俺の部屋にくるんだ。」
「放して!」
ソラは叫んだ。
「放してと言われて放すバカはいないだろう。」
宗成は、カッカッカッと笑った。
「シュゴー、黙れ!変態!ウミに何かあったら殺してやるから!」
手錠をかけられたソラは自分の心配をする事より催涙スプレーを噴射され、警棒で殴られたウミの事が不安で仕方なかった。
「叫べ叫べ!おまえを痛ぶるのに俄然やる気がでる。」
「あの、宗成さん。そのお嬢さんは…?」
とても大きな玄関で若い家政婦が恐る恐る聞いた。
「これかい?」
ソラを指差して宗成は言った。
「ずっと手に入れたかった日本一のメスさ。」
****
ウミはぼんやりした視界から女の顔が見える。
「マキ!この子、目が覚めたみたいよ。」
マキと呼ばれる人物がベッドで横たわるウミに近づいた。
「目が覚めて良かった。アンタ、失神していたんだよ。」
「ソラはどこにいる?」
「ソラって、あの変な格好をした女の子だよね?あの娘なら宗成に連れていかれちまったよ。」
マキと呼ばれている金髪女子は悲痛な表情で言った。
「チクショー、助けにいかねぇと…。」
起きあがろうとするウミは頭を抱えた。
「アンタ、警棒で頭を殴られてんだよ。そんな身体じゃ動けやしない。」
「うるせえ!助けにいかなきゃ、あの野郎に何をされるかわかんねえだろが!」
「マキ、警察に通報しようよ!それっきゃウチらができることはほかにないわ。」
「やっぱそうよね。あたし、今から通報するよ。」
マキはスマホを持って連絡をしようとした時、養護教諭の女性と校長が現れた。
「警察に連絡をするのだけは、待ってくれないか?」
校長がハンカチで汗を拭いながら言う。
「なんで?」
マキは低い声で聞いた。
「3年生の砂城院宗成の素行は前々から気にはしていたが、彼の悪行は目を瞑るよりほかないんだ。」
「そんな筋の通らない説明なんかじゃ納得いかないね。
宗成の悪行に目を瞑るわけを言いなよ。」
マキは苛立ちながら言った。
「砂城院家は世界をリードする有名な財閥でね…。国内のみならず世界的な権力者と繋がっている。」
校長は眼鏡の位置を人差し指で整えた。
「所謂、世間では陰謀論と呼ばれる事件や奇怪な話がある。
キミらも、もしかしたらいくつか耳にした事があるんじゃないか?
あれら陰謀の半分は砂城院家が関わっており、実際に闇に葬った事件も数知れず。
恐ろしい一族なんだよ。」
「関係ないわ!あたしゃ警察に通報する。」
「待ってくれ!一応は法治国家である以上、警察へ通報をすればきっと捜査はするだろう。
砂城院家から賄賂を貰わず、孤独な戦いをする捜査員もいるはずだ。
しかしながら、通報した場合なぜだかわからないが通報した者の情報が漏れて一家離散やあらぬ容疑をかけられて逮捕、不審死を遂げた事件が一時期あとを立たなかった。」
「なんだい?あたしらを脅すつもり?」
「これは脅しではない。
そもそも10代の君に国を動かすそのような一族と渡り合える力はあるのかね?
通報した者だけではない、家族や友人やらさほど関わっていない人物にも被害が及ぶ。
キミには全てを犠牲にしてでも砂城院家と争う覚悟はあるのか?」
校長の話を聞いた金髪女子のマキは黙ってしまった。
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