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ソラが女子高校生だった頃。未来の旦那様と2人で初登校
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身支度が済んだ2人は姫君学院の制服を着て朝食を食べている。
「2人とも、朝はしっかり食べるのよ。」
4人掛けのダイニングテーブルに向かい合わせに腰掛けたソラとウミは、たっぷりのウィンナーチーズ、小瓶に入ったエッグスラット、フランスパン、オニオンスープ、サラダボウルにはミニトマト、レタス、アボカド、ブロッコリーが盛られている。
「いただきまーす!」
「すみません、ありがとうございます。いただきます。」
カーテンを開けた出窓から、キラキラした光が料理とテーブルを暖かく照らす。
「ウミとこうして朝を迎えるってほんと不思議。私の中で1番嬉しい朝だよぉ。」
リスのように頬張ったソラは笑顔で言った。
「ウミ君。お味はいかが?」
「はい!こんなに美味しい物は初めて食べました!」
ウミは素直に答えた。
「初めて食べたなんてお世辞が上手ねぇ。でも良かった、喜んでもらえてとっても嬉しいわ。」
「いえ、お世辞なんかではなく本当に美味しいです。」
「このままウミ君はウチの子になっちゃう?ソラもセラも女の子でしょ、私とパパはね、男の子が欲しかったのよ。」
コーヒーメーカーで作った淹れたてのコーヒーを持ってソラの隣に座った。
「それはヤダ!だってウミと兄妹になっちゃうから。結婚できないじゃん。」
「結婚?そこまで話が進展していたのねぇ。」
コーヒーを飲みながら言った。
「ねぇ、ウミ?高校を卒業したら私達は結婚する約束だもんね。」
「えっ?」
ウミはそんな約束はした覚えがなく動揺している。
「ウミ君の顔を見ると初耳って表情じゃない。」
母はクスッと笑った。
「ママの前だから照れてるだけだし。ウミと結婚したら、男の子を2人産む約束だってしてるんだから。」
「男の子2人?そうなの?ウミ君。」
「ウミィ、約束したよね?」
「あ…しました。」
ソラの迫力に押されたウミは同意した。
「ほらね!だから言ったでしょ。ママ。」
「お姉ちゃんに言わされたようにも思えるなぁ~。ウフフ。仲良くするのは良い事よ。
ウミ君、お姉ちゃんの事を、ソラをよろしくね。」
「あっはい、わかりました。」
ソラはストローでオレンジジュースを飲みながら、恥ずかしそうにしているウミを見つめていた。
広々としたモダンな玄関でソラとウミはカバンを背負っている。
「シュゴー、ウミィ、忘れ物はない?ちゃんと確認したの?」
「か、確認したよ。」
「おトイレは?電車の中でオシッコしたくなると嫌でしょ。」
「すませたよぉ…。」
ウミは目をキョロキョロ泳がせている。
「そういうお姉ちゃんこそ忘れ物ない?」
「はぁ?シュゴー、ママったら私が忘れ物をするわけないでしょ?」
「ウミ君の前でよく言うわねぇ~。こないだお姉ちゃんだってスカートを履き忘れて、パンティ姿のまま玄関ドアを開けようとした事を忘れたの?」
「えぇ?」と言いながらウミはソラを見た。
「シュゴー、ママはいつから私の足を引っ張るようになったのよぉ!シュゴー、もうほんとに信じられないわ!」
「あら?ちょっと待って。」
母がウミの元に近づいた。
「なによぉ?ママ。」
ソラは怪訝な表情だ。
「ブレザーの襟が立ってるわよ。後、ネクタイも曲がってる。」
母は手際良く身だしなみを整えた。
「昨日の大雨のせいでびしょ濡れだった制服は乾いたはずだけど、どう?濡れてないでしょ?」
「はい、乾いていますよ。おかげで助かりました。」
「制服も皺くちゃだったから、アイロン掛けしておいたわ。」
「新品みたいになりました。ソラのおばさん、ありがとうございます。」
ウミは深々とお辞儀をした。
「気にしないでね、男の子だもの。また皺ができたらママがやってあげるわ。」
ウミは照れくさそうにしている。
「ちょっと…私の事を無視しないでよね…。」
ソラはポンプからシュゴ、シュゴと激しく息を吐いて2人の間に割り込むように入っていく。
「ウミは私の彼氏なの!今のもぜんぶ私がやるんだからママは出しゃばらないでちょうだい!」
「はいはい。」
ソラはわざわざウミのブレザーの襟を立たせた後、ネクタイを外して一からソラが身だしなみを整えた。
「若いわねぇ。」
母は明るく笑った。
「2人とも、朝はしっかり食べるのよ。」
4人掛けのダイニングテーブルに向かい合わせに腰掛けたソラとウミは、たっぷりのウィンナーチーズ、小瓶に入ったエッグスラット、フランスパン、オニオンスープ、サラダボウルにはミニトマト、レタス、アボカド、ブロッコリーが盛られている。
「いただきまーす!」
「すみません、ありがとうございます。いただきます。」
カーテンを開けた出窓から、キラキラした光が料理とテーブルを暖かく照らす。
「ウミとこうして朝を迎えるってほんと不思議。私の中で1番嬉しい朝だよぉ。」
リスのように頬張ったソラは笑顔で言った。
「ウミ君。お味はいかが?」
「はい!こんなに美味しい物は初めて食べました!」
ウミは素直に答えた。
「初めて食べたなんてお世辞が上手ねぇ。でも良かった、喜んでもらえてとっても嬉しいわ。」
「いえ、お世辞なんかではなく本当に美味しいです。」
「このままウミ君はウチの子になっちゃう?ソラもセラも女の子でしょ、私とパパはね、男の子が欲しかったのよ。」
コーヒーメーカーで作った淹れたてのコーヒーを持ってソラの隣に座った。
「それはヤダ!だってウミと兄妹になっちゃうから。結婚できないじゃん。」
「結婚?そこまで話が進展していたのねぇ。」
コーヒーを飲みながら言った。
「ねぇ、ウミ?高校を卒業したら私達は結婚する約束だもんね。」
「えっ?」
ウミはそんな約束はした覚えがなく動揺している。
「ウミ君の顔を見ると初耳って表情じゃない。」
母はクスッと笑った。
「ママの前だから照れてるだけだし。ウミと結婚したら、男の子を2人産む約束だってしてるんだから。」
「男の子2人?そうなの?ウミ君。」
「ウミィ、約束したよね?」
「あ…しました。」
ソラの迫力に押されたウミは同意した。
「ほらね!だから言ったでしょ。ママ。」
「お姉ちゃんに言わされたようにも思えるなぁ~。ウフフ。仲良くするのは良い事よ。
ウミ君、お姉ちゃんの事を、ソラをよろしくね。」
「あっはい、わかりました。」
ソラはストローでオレンジジュースを飲みながら、恥ずかしそうにしているウミを見つめていた。
広々としたモダンな玄関でソラとウミはカバンを背負っている。
「シュゴー、ウミィ、忘れ物はない?ちゃんと確認したの?」
「か、確認したよ。」
「おトイレは?電車の中でオシッコしたくなると嫌でしょ。」
「すませたよぉ…。」
ウミは目をキョロキョロ泳がせている。
「そういうお姉ちゃんこそ忘れ物ない?」
「はぁ?シュゴー、ママったら私が忘れ物をするわけないでしょ?」
「ウミ君の前でよく言うわねぇ~。こないだお姉ちゃんだってスカートを履き忘れて、パンティ姿のまま玄関ドアを開けようとした事を忘れたの?」
「えぇ?」と言いながらウミはソラを見た。
「シュゴー、ママはいつから私の足を引っ張るようになったのよぉ!シュゴー、もうほんとに信じられないわ!」
「あら?ちょっと待って。」
母がウミの元に近づいた。
「なによぉ?ママ。」
ソラは怪訝な表情だ。
「ブレザーの襟が立ってるわよ。後、ネクタイも曲がってる。」
母は手際良く身だしなみを整えた。
「昨日の大雨のせいでびしょ濡れだった制服は乾いたはずだけど、どう?濡れてないでしょ?」
「はい、乾いていますよ。おかげで助かりました。」
「制服も皺くちゃだったから、アイロン掛けしておいたわ。」
「新品みたいになりました。ソラのおばさん、ありがとうございます。」
ウミは深々とお辞儀をした。
「気にしないでね、男の子だもの。また皺ができたらママがやってあげるわ。」
ウミは照れくさそうにしている。
「ちょっと…私の事を無視しないでよね…。」
ソラはポンプからシュゴ、シュゴと激しく息を吐いて2人の間に割り込むように入っていく。
「ウミは私の彼氏なの!今のもぜんぶ私がやるんだからママは出しゃばらないでちょうだい!」
「はいはい。」
ソラはわざわざウミのブレザーの襟を立たせた後、ネクタイを外して一からソラが身だしなみを整えた。
「若いわねぇ。」
母は明るく笑った。
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