98 / 275
ソラがまだ女子高校生だった頃。ママ邪魔しないで!
97
しおりを挟む
パタッ
「ソラか?」
「あれ、まだ起きてたの?寝心地はどう?」
フローリングに布団を敷いて寝ているウミの足を踏まないよう端を慎重に歩いた。
「とっても暖かくて抜群の心地良さだよ。
たださ、ずっとここでお世話になるわけにはいかねぇよ。」
「もう、ウミはそればっかり。ママの態度を見たでしょ。パパだって反対はしないはずよ。」
ウミは布団を顔まで被った。
いつも通り、ソラは二段ベッドの下に潜った。
ソラは自然と隣で横になっているウミに視線がいく。
「ウミィ?もう眠い?」
「…まだ。」
「私からウチに呼んでおいて言うのもなんだけど、ウミが隣で寝ているのがとっても不思議。いつもは学校でしか会えないんだもん。」
「うん。」
「ウミって普段は髪を立ててるでしょ。たまに無造作にもなるよね。
でもシャンプーした後はサラサラのストレートヘアがおでこに垂れてるの。
幼稚園児みたいで可愛い!
もしウミが歳の離れた弟だったら抱っこして、ほっぺたにキスしちゃうかも。」
ウミは寝返りをうってソラに背を向けた。
「あん、やだ~。可愛い顔をこっちに向けてよ。
私が寝るまでお話ししたいぃぃ。まだ10時49分だよぉ。」
ウミは顔をソラに向き直した。
「リビングにいた時、ソラは俺の事を学校に居る時と違うって言ったけどさ、おまえも家と学校では性格がまるっきり違うよな。」
「学校では武装をして顔を隠しているもん。心だって隠しているかもしれない。
でも、家族とウミの前では隠す必要がないから。」
「俺、信用されてるんだな。」
「ウミだけよ。私の武装した顔を見ても何も言わなかったのは。
他の人達は、なぜそんな格好をしているの?って聞いてくる。
パパやママだって初めは驚いていたんだからね。
でも、ウミは私の顔について聞いてこないし、驚きもしなかった…。ウミってすごい男の子だわ。」
「言われるまでソラの見た目の事、考えた事もなかったなぁ…。
もしかしたら俺は自分のギターや音楽に夢中で気づかなかっただけかもしれないけど。
人それぞれの生き方や触れて欲しくない事情もあるだろ?
だから指摘しなかったのかもな。
でもよぉ、シュゴー、シュゴー、って呼吸音はうるせえなぁと思ってた。」
ソラは自分とセラの部屋の電気をつけた。
カチカチ
「うわぁ、眩しい。なんだよ、急に明かりをつけて。」
ウミは再び布団を被った。
「ウミィ、私の素顔を見て。」
「ソラの素顔?」
「うん。新生活が始まってから家族以外には見せてないよぉ。クラスメイトだって私の顔は見た事ないんだから。」
そう言ってソラはウミの寝ている足元まで行き、両手で綺麗な黒髪を後ろに流した。
「ねぇ、ウミィ。こっち見て。」
眩しさに耐え、目を擦りながらウミは掛け布団を捲り上半身を起こした。
「えっ?」
ソラはウミと目が合うと優しく微笑んだ。
「おまえ、すごく美人だったんだな…。テレビに出てくる人っつーか…いや、それ以上だよ。」
嘘をつかず見たままを言った素直なウミの発言に、ソラは喜んだ。
「ウミに褒められて私、すごく嬉しい!!」
立ち上がったソラは全身で喜びを表して、張りのある乳房をプルンプルン揺らしながら、その場で飛び跳ねている。
「お、おい?いくら細身のおまえでもそんなに跳ねたら下に響くぜ?」
「ねぇ?ウミィ…私の事、もっと知ってよぉ。ウミの事もたくさん私に教えて。」
ソラはウミが寝ている布団の上に座り込み顔を近づけた。
好きなウミの前で本能に従ったソラは何かが弾けた。
「ちょっ?ソラ、俺の腹に跨ってどうしたんだよ?」
ガタン!
「はい!お姉ちゃん、アウト!」
突然、母がソラの部屋に入ってきた。
「ママ!お部屋に入る時はノックしてよ!プライバシーの侵害だわ!」
「男子を信用せず今まで毛嫌いしていたアンタがここまでウミ君を大好きになった事、母として喜ばしいわ。
しかしながら、この続きはアウトよ。」
「私、ウミに顔を近づけただけじゃない!変な想像しないでよね!ママなんか大っ嫌い!!」
ソラは母に枕を投げつけた。
「ウミ君、ママがいるから安心してお休みなさい。」
「あぁあ、はい…。」
女子にまったく免疫のないウブなウミは染めた青い髪より青ざめていた。
「ソラか?」
「あれ、まだ起きてたの?寝心地はどう?」
フローリングに布団を敷いて寝ているウミの足を踏まないよう端を慎重に歩いた。
「とっても暖かくて抜群の心地良さだよ。
たださ、ずっとここでお世話になるわけにはいかねぇよ。」
「もう、ウミはそればっかり。ママの態度を見たでしょ。パパだって反対はしないはずよ。」
ウミは布団を顔まで被った。
いつも通り、ソラは二段ベッドの下に潜った。
ソラは自然と隣で横になっているウミに視線がいく。
「ウミィ?もう眠い?」
「…まだ。」
「私からウチに呼んでおいて言うのもなんだけど、ウミが隣で寝ているのがとっても不思議。いつもは学校でしか会えないんだもん。」
「うん。」
「ウミって普段は髪を立ててるでしょ。たまに無造作にもなるよね。
でもシャンプーした後はサラサラのストレートヘアがおでこに垂れてるの。
幼稚園児みたいで可愛い!
もしウミが歳の離れた弟だったら抱っこして、ほっぺたにキスしちゃうかも。」
ウミは寝返りをうってソラに背を向けた。
「あん、やだ~。可愛い顔をこっちに向けてよ。
私が寝るまでお話ししたいぃぃ。まだ10時49分だよぉ。」
ウミは顔をソラに向き直した。
「リビングにいた時、ソラは俺の事を学校に居る時と違うって言ったけどさ、おまえも家と学校では性格がまるっきり違うよな。」
「学校では武装をして顔を隠しているもん。心だって隠しているかもしれない。
でも、家族とウミの前では隠す必要がないから。」
「俺、信用されてるんだな。」
「ウミだけよ。私の武装した顔を見ても何も言わなかったのは。
他の人達は、なぜそんな格好をしているの?って聞いてくる。
パパやママだって初めは驚いていたんだからね。
でも、ウミは私の顔について聞いてこないし、驚きもしなかった…。ウミってすごい男の子だわ。」
「言われるまでソラの見た目の事、考えた事もなかったなぁ…。
もしかしたら俺は自分のギターや音楽に夢中で気づかなかっただけかもしれないけど。
人それぞれの生き方や触れて欲しくない事情もあるだろ?
だから指摘しなかったのかもな。
でもよぉ、シュゴー、シュゴー、って呼吸音はうるせえなぁと思ってた。」
ソラは自分とセラの部屋の電気をつけた。
カチカチ
「うわぁ、眩しい。なんだよ、急に明かりをつけて。」
ウミは再び布団を被った。
「ウミィ、私の素顔を見て。」
「ソラの素顔?」
「うん。新生活が始まってから家族以外には見せてないよぉ。クラスメイトだって私の顔は見た事ないんだから。」
そう言ってソラはウミの寝ている足元まで行き、両手で綺麗な黒髪を後ろに流した。
「ねぇ、ウミィ。こっち見て。」
眩しさに耐え、目を擦りながらウミは掛け布団を捲り上半身を起こした。
「えっ?」
ソラはウミと目が合うと優しく微笑んだ。
「おまえ、すごく美人だったんだな…。テレビに出てくる人っつーか…いや、それ以上だよ。」
嘘をつかず見たままを言った素直なウミの発言に、ソラは喜んだ。
「ウミに褒められて私、すごく嬉しい!!」
立ち上がったソラは全身で喜びを表して、張りのある乳房をプルンプルン揺らしながら、その場で飛び跳ねている。
「お、おい?いくら細身のおまえでもそんなに跳ねたら下に響くぜ?」
「ねぇ?ウミィ…私の事、もっと知ってよぉ。ウミの事もたくさん私に教えて。」
ソラはウミが寝ている布団の上に座り込み顔を近づけた。
好きなウミの前で本能に従ったソラは何かが弾けた。
「ちょっ?ソラ、俺の腹に跨ってどうしたんだよ?」
ガタン!
「はい!お姉ちゃん、アウト!」
突然、母がソラの部屋に入ってきた。
「ママ!お部屋に入る時はノックしてよ!プライバシーの侵害だわ!」
「男子を信用せず今まで毛嫌いしていたアンタがここまでウミ君を大好きになった事、母として喜ばしいわ。
しかしながら、この続きはアウトよ。」
「私、ウミに顔を近づけただけじゃない!変な想像しないでよね!ママなんか大っ嫌い!!」
ソラは母に枕を投げつけた。
「ウミ君、ママがいるから安心してお休みなさい。」
「あぁあ、はい…。」
女子にまったく免疫のないウブなウミは染めた青い髪より青ざめていた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません
ゆうき
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。
そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。
婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。
どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。
実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。
それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。
これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。
☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

忘れられたら苦労しない
菅井群青
恋愛
結婚を考えていた彼氏に突然振られ、二年間引きずる女と同じく過去の恋に囚われている男が出会う。
似ている、私たち……
でもそれは全然違った……私なんかより彼の方が心を囚われたままだ。
別れた恋人を忘れられない女と、運命によって引き裂かれ突然亡くなった彼女の思い出の中で生きる男の物語
「……まだいいよ──会えたら……」
「え?」
あなたには忘れらない人が、いますか?──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる