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ソラが女子高校生だった頃。大嵐家へようこそ!
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「おばさん。お風呂ありがとうございました。
突然やってきたのに、美味しい夕飯やパジャマや下着まで頂いてしまって申し訳ないです。」
まだ緊張はしているが、冷え切った身体は入浴して暖まり心地良くなっている。
「気にしなくっていいのよ。それよりソラから聞いたわ。今日は泊まって行くんでしょ?」
普段は破茶滅茶なロック少年であるウミだが恋愛に関してはとても保守的であり、色欲の強い宗成とは対照的で女子に対して奥手だった。
「うん。その事なんだけどさ、ちょっと話せば長くなる悲しい事情があったの。
それでねママ、今夜は一泊するわけだけど、ウミの事をしばらくウチで面倒みれない?」
「ウミ君をウチで?それは一緒に生活をともにするって事?」
「ソラ、そんな厚かましい事を俺は望んでいないよ。だからこの話はなかった事にしてほしい。」
ウミはソラの大胆な発言にソラの母が不快になってしまうのではと思い、ビクビクしながらソラに言った。
「ウミは黙ってて。」
顔を動かさず下からウミを目だけで見上げた。
「私は大丈夫よ。
ただ、今はパパが出張中だからね。」
「パパはいつ帰ってくるんだっけ?4日後って言ってなかった?」
「4日じゃないわ。パパなら3日後よ。」
「シュゴー、それなら、とりあえずパパが出張から戻ってくる3日間は泊まらせてあげて。」
ウミは2人の間でまごまごしている。
「その間、ウミ君のご両親は心配するんじゃないかしら?」
「…ウミは両親がいないの。おばあちゃんに育てられて今は1人だから…。シュゴー。」
「ウミ君、まだ高校生なのに苦労しているみたいね…。
お姉ちゃん、パパには私の方からも伝えておくわ。またゆっくり話しましょう。
もう遅いから2人とも休みなさい。」
「シュゴー、ありがとう。ママ。」
「す、すみません。」
2人に礼と謝罪を言われた母は、いえいえと微笑を浮かべた。
「ウミ君のお布団はソラの二段ベッドの隣に敷いておいたわよ。」
「あの、ご迷惑ばっかりかけて、本当に…」
「シュゴー、ウミはさっきから謝ってばっかりね!大丈夫よぉ!」
ペコペコするウミにソラは少しイラつき気味だ。
「そんな言い方しなくてもいいじゃない。ウミ君は遠慮しているのよね。
そういえばアンタ、まだお風呂に入ってないでしょ?早く制服を脱いで入ってらっしゃい。」
「私はお風呂入ってくるからウミは先に私の部屋で寝てて。」
「あっはい。」
ウミの声は裏返った。
「なんで私にまで敬語なのよ?ウミは学校にいる時と違い過ぎるわ。」
いつもと違い怯えるウミの顔が可愛く見えて、つい意地悪をした。
「お姉ちゃん、ウミ君の事をいじめちゃダメよ。ウチに来たばかりで緊張しているんだから。ねっ?」
「はい…。」
「わ、私、いじめてなんかないもん!」
母に図星を突かれて「さすがママだわ。」とソラは思った。
「ウミ君、お姉ちゃんのペースに引きずり込まれているわよ。
なんかあったら、ママの私に言うのよ。」
「あ、はい…。」
ウミは力が抜けたような鼻声で言った。
「アンタ、寝る前に無理やり嫌がるウミ君の身体を触ったり、自分のオッパイやお尻で誘惑しちゃダメよ。」
「ママ、最低!!もう嫌いだから!!」
完熟したトマトのように顔を真っ赤にして怒鳴るソラは、いつもより足音を響かせて2階に上がりパジャマと下着を取りに行った。
ソラとは反対にウミは真っ青な顔で貧血気味な表情だった。
突然やってきたのに、美味しい夕飯やパジャマや下着まで頂いてしまって申し訳ないです。」
まだ緊張はしているが、冷え切った身体は入浴して暖まり心地良くなっている。
「気にしなくっていいのよ。それよりソラから聞いたわ。今日は泊まって行くんでしょ?」
普段は破茶滅茶なロック少年であるウミだが恋愛に関してはとても保守的であり、色欲の強い宗成とは対照的で女子に対して奥手だった。
「うん。その事なんだけどさ、ちょっと話せば長くなる悲しい事情があったの。
それでねママ、今夜は一泊するわけだけど、ウミの事をしばらくウチで面倒みれない?」
「ウミ君をウチで?それは一緒に生活をともにするって事?」
「ソラ、そんな厚かましい事を俺は望んでいないよ。だからこの話はなかった事にしてほしい。」
ウミはソラの大胆な発言にソラの母が不快になってしまうのではと思い、ビクビクしながらソラに言った。
「ウミは黙ってて。」
顔を動かさず下からウミを目だけで見上げた。
「私は大丈夫よ。
ただ、今はパパが出張中だからね。」
「パパはいつ帰ってくるんだっけ?4日後って言ってなかった?」
「4日じゃないわ。パパなら3日後よ。」
「シュゴー、それなら、とりあえずパパが出張から戻ってくる3日間は泊まらせてあげて。」
ウミは2人の間でまごまごしている。
「その間、ウミ君のご両親は心配するんじゃないかしら?」
「…ウミは両親がいないの。おばあちゃんに育てられて今は1人だから…。シュゴー。」
「ウミ君、まだ高校生なのに苦労しているみたいね…。
お姉ちゃん、パパには私の方からも伝えておくわ。またゆっくり話しましょう。
もう遅いから2人とも休みなさい。」
「シュゴー、ありがとう。ママ。」
「す、すみません。」
2人に礼と謝罪を言われた母は、いえいえと微笑を浮かべた。
「ウミ君のお布団はソラの二段ベッドの隣に敷いておいたわよ。」
「あの、ご迷惑ばっかりかけて、本当に…」
「シュゴー、ウミはさっきから謝ってばっかりね!大丈夫よぉ!」
ペコペコするウミにソラは少しイラつき気味だ。
「そんな言い方しなくてもいいじゃない。ウミ君は遠慮しているのよね。
そういえばアンタ、まだお風呂に入ってないでしょ?早く制服を脱いで入ってらっしゃい。」
「私はお風呂入ってくるからウミは先に私の部屋で寝てて。」
「あっはい。」
ウミの声は裏返った。
「なんで私にまで敬語なのよ?ウミは学校にいる時と違い過ぎるわ。」
いつもと違い怯えるウミの顔が可愛く見えて、つい意地悪をした。
「お姉ちゃん、ウミ君の事をいじめちゃダメよ。ウチに来たばかりで緊張しているんだから。ねっ?」
「はい…。」
「わ、私、いじめてなんかないもん!」
母に図星を突かれて「さすがママだわ。」とソラは思った。
「ウミ君、お姉ちゃんのペースに引きずり込まれているわよ。
なんかあったら、ママの私に言うのよ。」
「あ、はい…。」
ウミは力が抜けたような鼻声で言った。
「アンタ、寝る前に無理やり嫌がるウミ君の身体を触ったり、自分のオッパイやお尻で誘惑しちゃダメよ。」
「ママ、最低!!もう嫌いだから!!」
完熟したトマトのように顔を真っ赤にして怒鳴るソラは、いつもより足音を響かせて2階に上がりパジャマと下着を取りに行った。
ソラとは反対にウミは真っ青な顔で貧血気味な表情だった。
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