私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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ソラが女子高校生だった頃。ウチで生活しよっ!ね?

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「やだ。雨が降ってきた。」

「あぁ、マジで最悪だぜ…。」

ウミは顔を両手で覆った。

「ウミィ、私のお家においでよ。」

泣き崩れそうになるウミを見てソラは決心した。

「ええっ!?おまえの家にかい?」

目を見開いて驚いている。

「シュゴー、私のお家ならちゃんとした暮らしができるよ。ご飯も食べられるし、お風呂にも入れる。」

「それはありがたい話しだけどよぉ、なんつーか、その…。」

「なんつーかなによ?まさかこの期に及んで、いつまでも居られると思っているの?シュゴー。」

中腰になりながら左手を腰に添えて右手の人差し指でウミの顔をビシッと指した。
乳房がブレザーから飛び出すように揺れる。

「…そりゃもうここには居られねぇけどさ、おまえの家族に迷惑をかけちゃうだろ?
それに年頃の男女が一つ屋根の下で暮らすってのは問題つーかさ…。
俺は頭が悪りぃから上手く言えねぇけど、やっぱり、ほら。」

「こんな変な所に勝手に住んだり、平気で喧嘩したりいっつもメチャクチャな事をやっているくせに私と住むのはできないってわけ?」

「嬉しいけど、でもなぁ…。」

苦笑いを浮かべ、断る意味で腕を伸ばしソラに弱々しい抵抗をみせた。

「なにこれ?いいわよぉ。手を引っ張ってあげる。よいしょっ!」

「そういう意味じゃないんだけどな。アハハ。」

座り込んでいたウミはソラによって立ち上がった。

「シュゴー、照れてる場合じゃないでしょ。横殴りの雨で制服が濡れちゃったわ。
さぁ荷物をまとめて早くここを出発しなきゃ。」

ウミは何も言えず瞬きばかりしている。

ソラはウミの手をギュッと握った。
雨粒で濡れて冷えた手はどちらも同じ体温だったが、2人が手を合わせた事でぽかぽか暖かくなった。



「忘れ物はないね?」

破壊されて散らかった部屋をソラは確認する。

「あぁ、忘れ物はないよ…ただ俺のぶっ壊されたギターが…。」

俯き、顔を歪ませた。

「クソ野郎にぶっ壊されたうえに、小便をかけられたギターが可哀想でよぉ…。俺、ギターを助けてやれなかった。」

「ウミィ…。」

「ほんとならギターアイツも連れていきたい…。こんな所に、置いてけぼりにしたかない…。アイツも寂しそうだろ。」

「あぁぁぁぁん!!」

ウミのギターを愛する気持ち、跡形もなく破壊されたギターを部屋に置いていくのが寂しそうだと言ったウミの言う通り、ソラの瞳にもいたく寂しげ見えた。

「ソラ!?突然泣いてどうした?」

目を真っ赤にしたウミは鼻を啜っている。

「ギターがね、シュゴ、シュゴ、ほんとに、ほんとにほんとに寂しそう。私、家族や大切な人を見捨てるみたいな気持ちになって…シュゴ。」   











































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