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ソラが女子高校生だった頃。宗成の逆襲
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ソラは武装の下で顔が真っ赤になった。
自分の顔を隠しておいて良かった、ソラは思った。
「シュゴ、それはそうでしょ。シュゴ、だって席は隣同士だし、こうやって2人きりでいるんだよ?ウミの事、色々詳しくなるよ。シュゴ。」
ソラはウミにバレないよう嘘をついた時点で、ウミを本気で好きになっている自分がわかった。
「なあんだ。そういう事か。」
ウミは立ち上がりカーテンレールに掛けておいたハンガーからブレザーを取り、袖を通した。
「なあんだって?」
「別になんでもないって。」
そっけない態度でウミは言った。
「あれー?なにかを期待したような言い方だったよー?」
丸椅子からソラも立ち上がってウミの背後に回った。
「シュゴー、さっきの"なあんだ"の意味を教えてくれなきゃ、私は帰らないよぉ。」
細身ながら引き締まったウミの脇腹を背後から掴んだ。
「ねぇ、ちゃんと私に教えて!なあんだはどういう意味のなあんだだったの?シュゴー。」
「もう真っ暗じゃんか!ほら帰る支度しろよ。家まで送るぜ。」
ソラがしつこく問いただしてくる為、話題を変えた。
「ねぇねぇ!なんで私を送るの?シュゴー、なんでかなぁ?ウフフ。」
ウサギのようにピョンピョン飛び跳ねてウミに、ベッタリくっついている。
「だって、おまえ、暗い時は1人で帰るのが怖いって言うからよ。」
「シュゴー、それは私を心配しているからだよね?」
「ほら早く来いよ?」
ソラはニコニコしながら、表へ出た。
「よし。戸締りOK!」
スタジオのドアの鍵をかけて、2人は駅へと向かって歩いた。
「ウミィ!明日のお昼は何が食べたいの?」
「俺、ハンバーグがいい!」
「ハンバーグね!任せなさい!」
「本当にいいのかい?けっこう手間がかかってるんだろ?すげぇ嬉しいけど、やっぱ申し訳ないわ。」
ウミが珍しく気まずそうにしている。
「そんなに申し訳ないって思ってるんなら、さっきの"なあんだ"の意味を教えなさいよぉ!」
「またその話かよ。もうやめてくれぇ!」
青い髪を手でクシャクシャにしながら、ソラから離れた。
「あん!逃げたな、待ちなさーい!」
宗成は2人が楽しそうに身体を密着させながら歩く姿を中庭の木陰から覗いていた。
「大嵐ソラ…やはりキミは青髪が好きなんだな。
初めての経験だ。この俺が女の事でこんなにもジェラシーを燃え上がらせたのは…。」
銀色の金属バットを手に持ってウミが占拠しているスタジオへ向かった。
「あの野郎。姫君の伝統をこんな音楽スタジオ紛いのもんにしやがって!」
自分の顔を隠しておいて良かった、ソラは思った。
「シュゴ、それはそうでしょ。シュゴ、だって席は隣同士だし、こうやって2人きりでいるんだよ?ウミの事、色々詳しくなるよ。シュゴ。」
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丸椅子からソラも立ち上がってウミの背後に回った。
「シュゴー、さっきの"なあんだ"の意味を教えてくれなきゃ、私は帰らないよぉ。」
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