私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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ソラが女子高校生だった頃。やっと友達になれたのに…

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「ウミはさゴールデンウィーク期間中、シュゴー、どこかお出かけするの?」

「どっこボォいんがずぉにぎだぁのれんぶぅうぉずるどみ。(どこも行かずにギターの練習をするのみ。)

ソラが作った弁当をガツガツ無心で食べている。

「また早食いしてるなぁ。シュゴー、あまりがっつかなくてもお弁当は逃げていかないよぉ?」

「うぅ、うんがうが。」

顔を赤くしながら苦しそうに胸をバシバシ叩いている。

「ほらほら、だから言ったじゃない。」

水筒のお茶をウミに手渡した。

「ゴホッゴホッ。悪りぃな。」

ウミはよほど苦しかったようで涙目になっている。

「シュゴー、ちょっとぉ動かないで。口の周りがベタベタじゃない。」

クマのイラストが描かれているハンカチを取り出して、ウミの口を拭いてあげている。

それを見ていた取り巻き達は声をかけてきた。

「もうさ、オシドリ夫婦って感じよね!」

カチューシャがニヤニヤしながら言う。

「良いなあラブラブでさぁ、あたしは独りぼっちだもん。」

おかっぱが羨ましそうに言った。

「カップルって言うよりママとキッズって感じがして可愛い!」

ツインテールは笑って言った。

ソラは敏感に反応して顔を赤くしていたが、ウミはソラの弁当が美味くてそれどころではないという感じだった。


キンコーンカーンコーン

下校の時間になり、ソラは背もたれに寄りかかりながら大きく伸びをした。

少し前までは学校でリラックスなんてできなかったんだよね。
ソラは天井の蛍光灯を見ながら思った。

かつらから強烈ないじめを加えられていたが、あの日、涙ながらの謝罪をされた事で、今ではやられた事より、かつらが学校へ来ない事を心配するようになっていた。

取り巻き達や他のクラスメイトともあの日を境に仲良くなって、憧れの高校生活をエンジョイできている。

そして、隣で寝ている神園ウミにソラは恋心を抱いていた。

「グゥ~、グゥ~。」

「ウミィ、もう下校の時間よぉ!起きなさい。」

「…あとちょっとだけ寝かせて。」

「もぉ~。起こす身にもなってよね。」

取り巻き達が後ろでキャッキャしている。

「やっぱさカップルってより完全にママとキッズじゃん!めっちゃ可愛いんだけど。」

ツインテールが手を叩いて笑っている。

「神園君はソラの母性本能をくすぐったようね!なかなかやるわ。」

おかっぱは分析したような顔だ。

「ねぇソラ?神園君はまだハイハイしたての赤ちゃんだから、ママらしくオッパイでもあげたら?」

カチューシャは母乳をあげるようなポーズを取ると一同、爆笑している。

「ちょっとぉ!みんなからかわないでよぉ!」

ソラは恥ずかしくなって教室を抜け出した。


























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