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ソラが女子高校生だった頃。私が助けるよ!

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「貴女、優し過ぎだわ。ワタクシは貴女を散々いじめたのよ…。それなのに自分の危険を顧みずこんなワタクシを守ってくれた…。」

顔を隠して泣くかつらの頭を優しく撫でた。

カツカツカツ…

「しっ。砂城院さん、近くで足音が聞こえてくる。」

カツ…。

「足音が止まったわ。もしかして…。」

2人はマツダイラに気づかれたのではないかと戦々恐々せんせんきょうきょうの思いで息を殺した。

途中で止まった足音は進む気配がなくずっと同じ所で留まっている。

震えるかつらは恐怖に耐えられず、ソラの胸元に顔を埋めた。

止まっていた足音は再び歩き出した。

カツカツカツ…

歩き出すのを確認した2人は顔を見合わせて、ほっとしている。

「もしかしたら、先生かもしれない。私、見てくる。」

立ち上がって廊下側へ向かおうとした。

「気をつけてね。」

「うん。」体育座りをしているかつらにソラは振り返って頷いた。

くノ一が憑依ひょういしたかのように、ソラは壁際から身を隠しながら偵察している。

背を向けて歩いているのはマツダイラではなく姫君の校長だった。

すぐにかつらを起き上がらせて2人は二人三脚のような歩行で校長の元へ駆け寄った。



****


学校側はソラとかつらから事件の話を丁寧に聞き、カウンセリングも行われた。

安全であるべき学校でこのような事は絶対にあってはならない。

マツダイラは即退学処分となったのは当然だ。



誰もが葉ばかりの桜の木を美しいとは口にしなくなり、目先のゴールデンウィークが話題の中心になっても、かつらはずっと学校を休んでいた。

「砂城院さん、あれから学校に来ないわね。」

「相当ショックだったと思うわ…。」

「あたしが電話しても繋がらないのよね。」

「まさか学校を辞めるなんて事、あるのかな?」

教室内で話す取り巻き達はかつらを心配している。

ガラガラガラ
教室のドアが開き、ソラが入ってきた。

「あっソラだ、おはよう。」

取り巻きの中でおかっぱが1番早くソラが教室に来たのを気付いて挨拶をした。

その後、すぐ他の取り巻き達もソラに挨拶をする。

「おはよぉ。」

ソラも取り巻き達に挨拶を返した。

マツダイラに襲われた事件以降、取り巻き達はかつらを身をていして守ったソラに過去の自分達の悪行を心から深く謝罪をした。
そしてソラも彼女達を快く受け入れていたのだ。

カバンを自分の机に置き、ふとかつらが座っていた席を見た。

あの日から時が止まったかのように、かつらが座っていた席だけ色褪せたように見えてしまう。

担任の花見や校長に聞いても詳細は教えてくれず、いつも言葉を濁されて会話を終わらされてしまう。

本人と連絡する手段もなく、かつらがどのような心理状態かソラにはわからなかった。

「ソラ、おはよっす!」

「あっウミィ!おはよぉ。」

ソラはウミの背中を優しく叩いた。



























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