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ソラが女子高校生だった頃。鍵をかけて2人きり

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「開けなさい!大嵐さん!ドアを今すぐ開けなさい!神園君をそそのかして2人きりになるなんて最低よ!」

かつらは気が触れたように力いっぱいドアを叩いている。

「おまえらドアを開けろぉ!砂城院さんの言う事が聞けないのか!」

マツダイラも加勢してドアを叩き始めた。

「しつこい奴らだ。おまえ、あんな奴らと友達なのか?」

ウミがドアに人差し指を指して言うと、ソラは顔を横にブンブン振って否定している。

ジャガジャーン!

「カスに構ってる場合じゃなかったな。いくぜっ!」

エレキギターでオリジナルの曲を弾き始めたウミはどこか神秘的な表情に変わり躍動感のある音を奏でている。

一曲、ソラに披露した後、「どうだい幻想的な曲だったろう?」
ソラに感想を求めた。

「うん!」

ソラは首を縦に振って自然と拍手を送っていた。

繊細な音色を聴いた事で、エレキギターに抱いていた破壊的なイメージがガラリと変わった。

「なぁなぁ?俺が弾き始めたら、アイツら随分静かになったな。聴き惚れたのかもしんねぇな!」


気分を良くしたウミは飛び跳ねたり寝っ転がったり激しくギターを掻き鳴らし、そのまま2曲目に突入。
先ほどの曲と比べて、ラウドなサウンドだ。

「これは俺が先輩のバイクに同乗していた時、飲酒運転していたオッサンの車が俺らめがけて衝突してきやがったんだ。
バイクからぶっ飛んだ瞬間に閃いた曲なのさ。」

演奏が終わると目に入るほどの汗を袖で拭った。

ソラはウミのうるさくて、はちゃめちゃであるが絶妙なテクニックと独創性の高いギタープレイにただただ脱帽した。
部屋のなかで誰にも遠慮せず、暴れ回りながらギターを弾く姿がソラには全てを曝け出して裸になっているように思えた。

パチパチパチパチ

「神園君てすっごい人だったんだね!シュゴー、私も転げ回ってみたくなっちゃったよ。」

「アハハハ!音よりそっちかい!おまえ素直で可愛いな。」
褒められたのが嬉しくて即興でインパクトのあるギターリフを奏でた。

「えっ。」

まさかウミに可愛いと言われるとは夢にも思わなかったソラは内股になってモジモジしている。

「よし、この曲はどうだ?」

昨日、運び込んだ椅子にでんと座ってギターを弾き始める。

ウミの表情はこれまでとは異なり、星空を眺めるような切ない顔になっている。

メロウな曲に自然とソラは胸に手を当てた。



「大嵐、どうだった?ぜんぶ俺のオリジナル曲だったんだぜ。」

「すごく良かったよぉ。特にラストの曲が甘く切なくて…。」

「ありがとう。これは俺が便所で踏ん張っている時に閃いた曲でさ、そん時、紙がなくなって…。」

「やめてぇー!せっかくの曲のイメージが壊れちゃうよぉ!」

ソラはウミの胸元を掴んだ。

「確かにおまえの言う通りだな!いちいち語らない方がいい。これからそうすっか。」

「うん。そうして。気づくのが遅いくらいよ。」

ギタープレイが終了後、改めて部屋中を見回すと素朴な疑問が湧いた。

「シュゴー、神園君、ここは昨日まで旧校舎の音楽室だったよね。
電気がないはずなのにどうしてアンプからエレキギターの音が聴こえるの…?シュゴー、照明器具もあるし。」

「あ、ああ。コレね。ちょいとお借りしているのさ…。俺はここの生徒だし部外者ではないから、問題ないと思うよ…たぶん。」

頭をポリポリかきながら、強引に話題を変えた。

「担任の花見が今朝、大嵐の名前言ってたけどさ、名前なんつったっけ?忘れちまってさ。」

「私はソラ。大嵐ソラだよ。」

「ソラか。これからソラって呼ぶよ。大嵐だとなげぇもん。俺の事はウミでいいから。」

「シュゴー、ソラとウミ、お互い文字数は2文字だね。」

それだけの事であったがウミと打ち解けたソラは嬉しくて、はしゃいでいる。


ぐぅぅ

「あっ?」

ソラは昼食を持ってきてなかったウミに弁当をあげていたので、腹ペコになっていた。

「…今の聞こえた?」

恥ずかしそうにウミに聞いた。

「あぁ。聞こえたよ。
俺のせいだな。ごめんよソラ。
ちょっと待ってろ!近くにコンビニにがあるだろ。ちょっくら行ってくる。」

「でも、お金がないんでしょ?何にも買えないよ。」

「ちょっとの間、弁当を店から失敬するんだ。
でも返さねぇわけじゃない。金が手に入ったら必ず返すぜ。
ちゃんと約束は守る男だからよ!」

「レジを通さずお店を出たらそれは泥棒だよぉ!
勝手な自分ルールは通用しません!」



























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