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ソラが女子高校生だった頃。旧校舎の音楽室で…

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「学校で何かあったのだろう?」

父がソラを心配して問いただす。

廃墟と化した旧校舎の音楽室へ連れ込まれそうになった事を伝えるべきかソラは迷っていた。

「お姉ちゃん、黙っていたらダメよ。ママとパパに話してみなさい。」

母はとても心配をした表情で言った。

「ソラ、僕らは反省したんだよ。
以前のように僕らはおまえを放ったらかしにしたくないんだ。
今更ながらあの日の朝、おまえに言われてようやく気が付いた。
もっとコミュニケーションを取らなければ…まだ未成年のソラを守るべきだとね。」

父は本音でソラに話した。

「すごく嬉しい。でも私をしてくれている事、それだけで充分なの。
パパとママの想像通り、学校の子達とは上手くいってはいないよ。
でも…上手く言えないけど、大丈夫だから…。」

「やっぱり学校だったのね!」

母は語気を強めた。

「お姉ちゃん、そのお粗末な説明でママ達が納得いくとでも思っているの?
内容によって、担任の先生にも相談をしなければならないわ。
いじめられているのなら、絶対にいじめっ子を許しちゃいけないの。
もう分別がつく年齢なのよ。」

母は憤りを感じている。

「ママ、ごめんね。でも今は見守っていて欲しい…。」

ソラは声を振り絞るように話した。

「…どうしても納得いかないわ。」

「うむ。ママの気持ちはパパには痛いほどわかる。しかし、本人がここまで家族の協力を拒むとなると、ソラの言う通り今は見守ってあげるのが良いのかもしれないな。」

「あなた、それは無責任だわ!」

母は父の発言に怒り出してテーブルをてのひらで叩いた。

「パパもママもいつもは仲良しなのに…私のせいで、ごめんね…。」

「ソラが謝ることなんかないさ。」

「強い口調になってごめんね。でもママもパパと同様、反省したわ…。ソラが苦しんでいるのに寄り添ってあげれなかったからね。
だからこそ協力をしたいのよ。
ソラがどうしてもっていうのなら、学校に連絡するのは今の段階では保留にしておくけれど、いざとなったらすぐ学校に連絡をするからね。」

「うん。私、そろそろお部屋に行くわ。」

「もうこんな時間なのね。」

「ソラ、おやすみ。無理はするなよ。」
「おやすみなさい。家族がいるのを忘れないで。」

「ありがとう。おやすみなさい。」


自分の部屋に行き、すぐベッドに入った。

旧校舎の音楽室に連れ込まれそうになった事は、本来であれば伝えるべきだったと思う。
砂城院達の暴力はエスカレートをしていくだろう。
ソラだけの力ではどうする事もできない。
それなのに、両親に今日あった出来事を伝えたくなかった。

「私、明日も学校へ行くよ。何にも悪い事はしていないのだから謝る必要もない。」

決して強気になったわけではないが、ソラには家族がいる。
両親だけでない。
双子の妹セラもいる。
学校では激しいいじめにあって孤立しているが、時折、テレパシーのように助言を求めるとセラが助けてくれる。

「今日も助けてもらったわ。その後もピンチではあったけど。」

セラが寝ていた二段ベッドの下で眠りにつく前に考え始めた。

廃墟の音楽室前でいたあの人、砂城院かつらの兄、宗成。
かつらの兄だから、はなから信用できないというわけではない。
助けてくれたのは感謝している。
しかし、ソラは直感的に関わってはいけない人だと感じていた。






























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