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ソラが女子高校生だった頃。女子トイレの攻防!
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「また逃げるつもり!?」
砂城院がソラに言う。
ドア付近には砂城院の取り巻きの女子生徒が腕を広げて通せんぼをしている。
「そうよ!逃げるなんて卑怯だわ。大嵐さんは砂城院さんに謝りなさいよ!」
おかっぱの女子生徒がソラを睨んで言う。
「謝る?私が?」
ソラは何の話かまったく見当がつかない。
「この後に及んでしらばっくれる気?自分のした事を胸に手を当てて考えたらどう?」
おかっぱに続いてツインテールの女子生徒が蔑むように言った。
「私、私は何もしていない…。」
ソラは昇降口で左足の甲を砂城院に踏み付けられた事を言おうか迷ったが彼女らに教えたところで、信じてはもらえないのは明白だ。
開きかけた唇は落胆とともに閉じてしまった。
「貴女がワタクシにした事…忘れたとは言わせないわ。」
深くため息をついた砂城院は腕を組んで言った。
「ここは国内でも屈指の進学校である姫君学院よ。
本意ではないけれど、場合によっては制裁を加えるかもしれないわ。
ワタクシの言っている意味、わかるかしら?」
取り巻きの女子生徒達はコクリと頷いた。
ニヤッと嫌味たらしい笑みを浮かべた後、砂城院はソラを女子トイレに連れて行くよう命じた。
左右から取り巻きらがガッチリ、ソラの腕を掴む。
「もう逃げらないわよ。」
ボブカットの女子生徒が言った。
「砂城院さんのお許しが出るまで帰れないと心得ておく事ね。」
カチューシャを付けた女子が言った後、ボブカットの女子生徒と互いに顔を見合わせている。
砂城院が先頭を歩く。
逮捕された容疑者を連行するかのようにソラを女子トイレまで連れて行った。
女子トイレに着くと、個室に見知らぬ女子生徒が入っていた。
「どなた?早く出て行ってくれないかしら?」
ドンドン
砂城院がイラついた口調でトイレを乱暴にノックする。
突然、堰をきったように取り巻き達は声を荒げ、早く出るように叫び出した。
ジャァァァ
水洗トイレを流す音と同時に、個室の中から泣きベソをかいた小柄の女子生徒がドアを開けて出てきた。
涙を流す女子生徒は手で目元を押さえながら駆け足でトイレから出て行った。
「鈍臭い女ね!」
砂城院は吐き捨てるように言った。
取り巻き達も共感しているようで何度も頷いている。
まるで独裁者と盲目的に従う親衛隊のようだ。
ソラは先ほどの、個室トイレから強制的に追い出された女子生徒への暴力を目の当たりにして、この人達のやっている事は正気の沙汰ではないと思い知らされた。
そして女子トイレという逃げ場のない場所で私はこの人達に蹂躙される…。
ソラは絶望した。
砂城院がソラに言う。
ドア付近には砂城院の取り巻きの女子生徒が腕を広げて通せんぼをしている。
「そうよ!逃げるなんて卑怯だわ。大嵐さんは砂城院さんに謝りなさいよ!」
おかっぱの女子生徒がソラを睨んで言う。
「謝る?私が?」
ソラは何の話かまったく見当がつかない。
「この後に及んでしらばっくれる気?自分のした事を胸に手を当てて考えたらどう?」
おかっぱに続いてツインテールの女子生徒が蔑むように言った。
「私、私は何もしていない…。」
ソラは昇降口で左足の甲を砂城院に踏み付けられた事を言おうか迷ったが彼女らに教えたところで、信じてはもらえないのは明白だ。
開きかけた唇は落胆とともに閉じてしまった。
「貴女がワタクシにした事…忘れたとは言わせないわ。」
深くため息をついた砂城院は腕を組んで言った。
「ここは国内でも屈指の進学校である姫君学院よ。
本意ではないけれど、場合によっては制裁を加えるかもしれないわ。
ワタクシの言っている意味、わかるかしら?」
取り巻きの女子生徒達はコクリと頷いた。
ニヤッと嫌味たらしい笑みを浮かべた後、砂城院はソラを女子トイレに連れて行くよう命じた。
左右から取り巻きらがガッチリ、ソラの腕を掴む。
「もう逃げらないわよ。」
ボブカットの女子生徒が言った。
「砂城院さんのお許しが出るまで帰れないと心得ておく事ね。」
カチューシャを付けた女子が言った後、ボブカットの女子生徒と互いに顔を見合わせている。
砂城院が先頭を歩く。
逮捕された容疑者を連行するかのようにソラを女子トイレまで連れて行った。
女子トイレに着くと、個室に見知らぬ女子生徒が入っていた。
「どなた?早く出て行ってくれないかしら?」
ドンドン
砂城院がイラついた口調でトイレを乱暴にノックする。
突然、堰をきったように取り巻き達は声を荒げ、早く出るように叫び出した。
ジャァァァ
水洗トイレを流す音と同時に、個室の中から泣きベソをかいた小柄の女子生徒がドアを開けて出てきた。
涙を流す女子生徒は手で目元を押さえながら駆け足でトイレから出て行った。
「鈍臭い女ね!」
砂城院は吐き捨てるように言った。
取り巻き達も共感しているようで何度も頷いている。
まるで独裁者と盲目的に従う親衛隊のようだ。
ソラは先ほどの、個室トイレから強制的に追い出された女子生徒への暴力を目の当たりにして、この人達のやっている事は正気の沙汰ではないと思い知らされた。
そして女子トイレという逃げ場のない場所で私はこの人達に蹂躙される…。
ソラは絶望した。
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