34 / 275
気にはしている?
33
しおりを挟む
「けっ!つまらん野郎どもが!ロックをやりたくてバンドを組んだんじゃねえのかよ!」
自宅に着いたウミはシャワーを浴びた後、布団に寝転んでバンドメンバーとのいざこざを思い出し苛立っている。
「ソラのヤツもなに考えてやがんだ。
いきなりキレて、ヘンテコな置き手紙をおいて出ていきやがって!
クソ!クソクソ!どいつもこいつも、みんな俺の邪魔ばっかりしやがる!」
ソラが昼寝する時、折り曲げて枕がわりに使っていた座布団をキッチンに投げた。
ガッチャン
枕はキッチンに置いてあった秒針を刻むのが、うるさい安物の時計に当たって地面に落下した。
落下した衝撃で時計の裏から乾電池が外れ散らばった。
「はぁ。」
キレて暴れても何の意味もねぇ。
時計を片付ける手間が増えただけだ。
惨めな気持ちが雨雲のように心の中を覆った。
ウミは座布団と時計を手にして6畳の部屋に持ってきた。
電池を入れるとカチカチ動き始める。
故障はしてなさそうだ。
安物の時計で時刻を合わせる。
朝までレコーディングしていたウミは、明日の仕事ーーーー吐き気がするほどのつまらない職場に行かねばならない。
自分の理想をかなぐり捨てて、ニシのプロデュースの元、"売れる為だけのバンド"であれば、経験豊富なニシに黙って従えばいいかもしれない。
しかしそれはウミにとっては敗北を意味する。
「はぁ。」
ふと棚に飾ってある写真立てを見る。
笑顔のウミとソラが肩を組んでいる写真だ。
「アイツ、いつ帰ってくんのかな…?》
1週間後ーーーー
「お疲れ。また来週からよろしくね。」
姉妹はヒロコに対して同時に挨拶を交わした。
「お疲れさまでした!」
「息ピッタリ!双子らしさを垣間見れた瞬間ね。」
ヒロコは手を振り、静かに玄関ドアを閉めた。
「今日も終わったぁ。明日から働きだして初めてのお休みね。私、けっこう疲れちゃった。」
疲労困憊で背筋の良いソラが猫背になってエレベーターに乗った。
「けっこう体力が必要だった。覚える事も多かったし。」
「でもセラのおかげで充実してる。感謝してるよぉ。ありがとうね!」
「愛しのお姉様の為なら、アタクシ、なんだってお手伝いしますわ!」
と言いながら、いたずらっ子な表情を浮かべたセラはソラの乳房を下から持ち上げるように手で弾ませた。
「ちょっとぉ。疲れてるんだからやめてよ。ありえないわ。」
「おっきいわ。本当おっきいわ。プルンプルン揺れてるもん。」
「いや、アンタとサイズ同じだから。」
エレベーターはセラが借りているフロアに止まると、2人は互いの身体を触ったり特徴について話ながら笑っている。
エレベーター内の右側に立つ帽子を深く被り、黒いマスクをした男がボタンを押して姉妹を待っていた。
「ありがとうございます!」
2人は挨拶を交わしてエレベーターを降りて行く。
男は黙ったままだ。
すぐにボタンを押して、そのまま1つ上の6階で男は降りた。
「女神達は5階に住んでいるんだな…。やっと2人を見つけ出す事ができた。」
エレベーターに漂う姉妹の残り香を嗅ぎながら、降りていくソラとセラの胸に異常なまでの憧れを抱いている。
男は再度エレベーターで1階に降りるとマンションの近くにある漫画喫茶へ入っていった。
自宅に着いたウミはシャワーを浴びた後、布団に寝転んでバンドメンバーとのいざこざを思い出し苛立っている。
「ソラのヤツもなに考えてやがんだ。
いきなりキレて、ヘンテコな置き手紙をおいて出ていきやがって!
クソ!クソクソ!どいつもこいつも、みんな俺の邪魔ばっかりしやがる!」
ソラが昼寝する時、折り曲げて枕がわりに使っていた座布団をキッチンに投げた。
ガッチャン
枕はキッチンに置いてあった秒針を刻むのが、うるさい安物の時計に当たって地面に落下した。
落下した衝撃で時計の裏から乾電池が外れ散らばった。
「はぁ。」
キレて暴れても何の意味もねぇ。
時計を片付ける手間が増えただけだ。
惨めな気持ちが雨雲のように心の中を覆った。
ウミは座布団と時計を手にして6畳の部屋に持ってきた。
電池を入れるとカチカチ動き始める。
故障はしてなさそうだ。
安物の時計で時刻を合わせる。
朝までレコーディングしていたウミは、明日の仕事ーーーー吐き気がするほどのつまらない職場に行かねばならない。
自分の理想をかなぐり捨てて、ニシのプロデュースの元、"売れる為だけのバンド"であれば、経験豊富なニシに黙って従えばいいかもしれない。
しかしそれはウミにとっては敗北を意味する。
「はぁ。」
ふと棚に飾ってある写真立てを見る。
笑顔のウミとソラが肩を組んでいる写真だ。
「アイツ、いつ帰ってくんのかな…?》
1週間後ーーーー
「お疲れ。また来週からよろしくね。」
姉妹はヒロコに対して同時に挨拶を交わした。
「お疲れさまでした!」
「息ピッタリ!双子らしさを垣間見れた瞬間ね。」
ヒロコは手を振り、静かに玄関ドアを閉めた。
「今日も終わったぁ。明日から働きだして初めてのお休みね。私、けっこう疲れちゃった。」
疲労困憊で背筋の良いソラが猫背になってエレベーターに乗った。
「けっこう体力が必要だった。覚える事も多かったし。」
「でもセラのおかげで充実してる。感謝してるよぉ。ありがとうね!」
「愛しのお姉様の為なら、アタクシ、なんだってお手伝いしますわ!」
と言いながら、いたずらっ子な表情を浮かべたセラはソラの乳房を下から持ち上げるように手で弾ませた。
「ちょっとぉ。疲れてるんだからやめてよ。ありえないわ。」
「おっきいわ。本当おっきいわ。プルンプルン揺れてるもん。」
「いや、アンタとサイズ同じだから。」
エレベーターはセラが借りているフロアに止まると、2人は互いの身体を触ったり特徴について話ながら笑っている。
エレベーター内の右側に立つ帽子を深く被り、黒いマスクをした男がボタンを押して姉妹を待っていた。
「ありがとうございます!」
2人は挨拶を交わしてエレベーターを降りて行く。
男は黙ったままだ。
すぐにボタンを押して、そのまま1つ上の6階で男は降りた。
「女神達は5階に住んでいるんだな…。やっと2人を見つけ出す事ができた。」
エレベーターに漂う姉妹の残り香を嗅ぎながら、降りていくソラとセラの胸に異常なまでの憧れを抱いている。
男は再度エレベーターで1階に降りるとマンションの近くにある漫画喫茶へ入っていった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています
オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。
◇◇◇◇◇◇◇
「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。
14回恋愛大賞奨励賞受賞しました!
これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございました!
ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。
この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる