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気にはしている?
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ソラは面接をした席に座りスマホでウミから連絡があったか確認している。
「連絡なし…。」
ウミは私を心配していないのかな?
逆にいなくなって清々したと思っているのかな?
そんな不安が頭を過ぎる。
「ウミィ。私を心配して探してよぉ…。そもそも、約束を破るウミが悪いんだから…。」
一方、夫のウミはーーーー
レコーディングスタジオで夜明けを迎えたメンバーは帰る前にミーティングをしていた。
「ニューアルバムのレコーディング、お前ら的にはどう?」
ウミはメンバー3人に聞いた。
「どうって、ニシさんの言うとおりやってカッチリまとめられてると思うよ。」
「機材もすごくいいのを使わせて貰えているしチューニングにもうるさいから、曲のクオリティというんかな、それは格段に良くなったよね。」
「そう。荒々しいロックではなくなったけど、耳障りの良さがまずバァンとくるっていうかさ。」
3人の意見を聞いてウミは、やはりなと思っていた。
「俺もお前らとほぼ同じ感想だ。
設備も整っているし、高いメシ屋にも連れて行ってくれたり至れり尽くせりだ。
でもよ、ズバリいうとよ、これってロックか?」
「まあ、今までの俺達のサウンドではないよな。1発取りの緊張感もないし。」
「そう、それだよ。ヒリヒリした危なさがねぇんだ。ライブバンドで上がってきたのに、これじゃ普通のバンドと変わらねえよ。
それに、あのおっさんは俺らのサウンドや歌詞、ファッションにまで口を出してきやがる!
髪を黒に戻せだとよ。アホかってんだ。」
「ウミの言うのは明白だな。今までのバンドの方向性がガラッと変わった。でもさ…。」
リードギターがウミに言った。
「でもなんだ?」
「俺達、バンドで売れたいって気持ちがクソ強い人間の集まりだ。
ウミも同じで憧れた歴代のロックスター達のような派手な生活を夢見ているわけだろ。
俺もニシさんをウゼエと思う時は多々あるけどプロデューサーとして、売れるバンドにはしようと尽力してくれているから文句はないな。」
ウミがリードギターを担当するメンバーに反論しようとした時、ベーシストが口を開いた。
「まだレコーディングも始まったばかりだし、とりあえず従おうと思う。」
「従うだと!?お前らマジで言ってんのか?確かに俺は売れたい!だがよ、てめえの理想とする音で売れてぇんだよ!こんなロックでもないもんで売れたって意味がねえだろが!」
飛沫を飛ばし、ものすごい剣幕でベーシストに怒鳴る。
「ウミ、落ち着けって。これはミーティングだぜ?それぞれの意見を尊重しろよ。」
リードギターが腕を掴み止めに入るとウミは掴まれた腕を払った。
「だいたい、従うってなんだ?おい?従うってなんだって聞いてんだよ。お前さっき言ったよな?俺によ。」
「たぶん、コイツはそういう意味で言ったんじゃねえさ。しばらく様子を見ようって意味だよ。な?」
リードギターがベーシストに聞くと、ベーシストは「そうだ」と答えた。
「コイツはな、牙を折られつつあるんだ。だからそんな言葉をチョイスしちまうんだよ。
ロックバンドで飼い慣らされてどうするよ?お子ちゃまバンドじゃあるまいし。」
「お子ちゃまバンドだぁ?ウミ!おめえも最初はニシの話に乗っていたじゃねえか?
ちょっと想像と違ってきたからってよ、俺らに八つ当たりか?ふざけんなよ!」
今度はベーシストと一触即発のピンチに陥っている。
しばらく口を閉じていた2歳上のドラマーが、仲裁に入りその場の揉め事を鎮火させたが、ウミと他のメンバー間にしこりを残してしまった。
「連絡なし…。」
ウミは私を心配していないのかな?
逆にいなくなって清々したと思っているのかな?
そんな不安が頭を過ぎる。
「ウミィ。私を心配して探してよぉ…。そもそも、約束を破るウミが悪いんだから…。」
一方、夫のウミはーーーー
レコーディングスタジオで夜明けを迎えたメンバーは帰る前にミーティングをしていた。
「ニューアルバムのレコーディング、お前ら的にはどう?」
ウミはメンバー3人に聞いた。
「どうって、ニシさんの言うとおりやってカッチリまとめられてると思うよ。」
「機材もすごくいいのを使わせて貰えているしチューニングにもうるさいから、曲のクオリティというんかな、それは格段に良くなったよね。」
「そう。荒々しいロックではなくなったけど、耳障りの良さがまずバァンとくるっていうかさ。」
3人の意見を聞いてウミは、やはりなと思っていた。
「俺もお前らとほぼ同じ感想だ。
設備も整っているし、高いメシ屋にも連れて行ってくれたり至れり尽くせりだ。
でもよ、ズバリいうとよ、これってロックか?」
「まあ、今までの俺達のサウンドではないよな。1発取りの緊張感もないし。」
「そう、それだよ。ヒリヒリした危なさがねぇんだ。ライブバンドで上がってきたのに、これじゃ普通のバンドと変わらねえよ。
それに、あのおっさんは俺らのサウンドや歌詞、ファッションにまで口を出してきやがる!
髪を黒に戻せだとよ。アホかってんだ。」
「ウミの言うのは明白だな。今までのバンドの方向性がガラッと変わった。でもさ…。」
リードギターがウミに言った。
「でもなんだ?」
「俺達、バンドで売れたいって気持ちがクソ強い人間の集まりだ。
ウミも同じで憧れた歴代のロックスター達のような派手な生活を夢見ているわけだろ。
俺もニシさんをウゼエと思う時は多々あるけどプロデューサーとして、売れるバンドにはしようと尽力してくれているから文句はないな。」
ウミがリードギターを担当するメンバーに反論しようとした時、ベーシストが口を開いた。
「まだレコーディングも始まったばかりだし、とりあえず従おうと思う。」
「従うだと!?お前らマジで言ってんのか?確かに俺は売れたい!だがよ、てめえの理想とする音で売れてぇんだよ!こんなロックでもないもんで売れたって意味がねえだろが!」
飛沫を飛ばし、ものすごい剣幕でベーシストに怒鳴る。
「ウミ、落ち着けって。これはミーティングだぜ?それぞれの意見を尊重しろよ。」
リードギターが腕を掴み止めに入るとウミは掴まれた腕を払った。
「だいたい、従うってなんだ?おい?従うってなんだって聞いてんだよ。お前さっき言ったよな?俺によ。」
「たぶん、コイツはそういう意味で言ったんじゃねえさ。しばらく様子を見ようって意味だよ。な?」
リードギターがベーシストに聞くと、ベーシストは「そうだ」と答えた。
「コイツはな、牙を折られつつあるんだ。だからそんな言葉をチョイスしちまうんだよ。
ロックバンドで飼い慣らされてどうするよ?お子ちゃまバンドじゃあるまいし。」
「お子ちゃまバンドだぁ?ウミ!おめえも最初はニシの話に乗っていたじゃねえか?
ちょっと想像と違ってきたからってよ、俺らに八つ当たりか?ふざけんなよ!」
今度はベーシストと一触即発のピンチに陥っている。
しばらく口を閉じていた2歳上のドラマーが、仲裁に入りその場の揉め事を鎮火させたが、ウミと他のメンバー間にしこりを残してしまった。
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